不思議な食感の伝統菓子ハルヴァとは?食べ方や日本での購入方法もご紹介!
更新日:2023.04.04
投稿日:2022.03.31
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トルコで味わえる伝統菓子「ハルヴァ」は、世界中で食べられているお菓子でもあります。日本では、ロシア語通訳者で作家の米原万里さんの『旅行者の朝食』というエッセイの中で登場したことで知られるようになりました。
最近ではホロホロしっとりした食感が不思議でおいしいとSNSでも話題に!そこで今回は、日本でも食べられるようになってきたハルヴァの特徴や食べ方、日本での購入方法などについても解説していきます!
Contents
ハルヴァとはどんなお菓子?
ハルヴァは、日本の落雁や無添加のピーナッツバターにも似た不思議な食感のトルコの伝統菓子です。ここでは、ハルヴァがどんなお菓子なのかがわかる基本情報をご紹介。特徴や作り方から食べ方などについて解説していきます。
ハルヴァの特徴
ハルヴァは「タヒン」という中東の伝統的なゴマペーストと砂糖を混ぜて作るお菓子。ハルヴァの語源はアラブ語の「甘い」、タヒンは「胡麻」からきています。
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ハルヴァは13世紀頃のオスマン帝国で生まれ、その領土の中で広まったお菓子。そのため現在でもトルコはもちろん、かつてオスマントルコ帝国の領土であった場所にある中東の国々など、世界各地で食べられています。
ハルヴァには、小麦粉やスターチに水と油を加えて加熱しながら練っていくタイプと、ゴマペーストで作るタイプの2種類があります。現在のトルコで多く食されているのは後者のゴマペーストで作られるもの。こちらは熱を加えないで作る一種の練り菓子で、タヒンハルヴァと呼ばれています。
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ハルヴァのレシピ・作り方
ここでは、トルコで一般的に販売されている、ゴマペーストを使うハルヴァの作り方をご紹介します。
- 鍋に水と砂糖、レモンを入れ、弱火でじっくり火を通しながら粘り気が出るまで混ぜ合わせていきます
- ゴマペーストを入れた鍋に①を入れます
- さらに粘り気が出るまで混ぜ合わせていきます
- 長い糸のように持ち上げられるようになったら型に押し入れて冷やして固めてできあがり
食べ過ぎに注意!ハルヴァの食べ方
トルコのハルヴァは不思議な食感。ホロホロしていながらしっとりしていて、無添加のピーナッツバターのようでもあります。
ゴマの味がするプレーンタイプのものがベーシックな味わいですが、さまざまなタイプの商品があります。トルコの名産品でもあるピスタチオが練り込まれたものが高級とされていて、チョコレートやオレンジ風味のものなどもおいしいですよ。
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食べるときは好みの大きさにスライスして、そのままいただきます。トルコでは、ハルヴァジュというタヒンハルヴァの専門店もあるぐらいポピュラーな食べ物で、スイーツとしてだけではなく、簡単な昼食のおかずとしてパンと一緒に食ベることもあります。ほかに、クラッカーやクッキーなどにのせてもおいしい!
ただし、カロリーがかなり高いので食べ過ぎには注意してください。どれくらい高いかというと、Dogtatというメーカーのハルヴァプレーンの表示を確認したところ、100グラムで517キロカロリーもありました! これは、生ビール中ジョッキ2杯分以上のカロリーにあたります。おいしいのでついつい手が伸びるハルヴァですが、食べるときは分量に気をつけていただきましょう。
日本でハルヴァが知られるようになったきっかけ
ハルヴァは、ロシア語通訳者で作家の米原万里さんのエッセイ『旅行者の朝食』に登場したことで、日本でも知られるようになりました。
エッセイの中で米原さんは、幼少期にソ連出身の同級生がお土産に持ってきたという青い缶に入ったハルヴァの虜になり、大人になってから思い出の味のハルヴァを探すというエピソードを紹介しています。
ソ連出張のお土産にお父さんが購入してきたロシアのハルヴァは硬く「ヌガーに胡麻油を染みこませて乾燥させたみたいな味ね」という母の言葉で味が表現されていて、おいしいとは言い難いものだったよう。
それ以外にも、中央アジアのサマルカント、ウズベキスタン、シチリアなど、さまざまな地域のハルヴァの話が登場しますが、どれも思い出の味とは違い、米原さんの納得するハルヴァにはなかなか出会えません。最終的には、友人が持ってきたギリシャのハルヴァが思い出の味に近いと感じたことが記されています。
このエッセイを読んでいると、さまざまな国にさまざまなハルヴァがあることがわかりおもしろい。さらに、米原さんの思い出の味のハルヴァとはどんなお菓子なのだろうと食べたくなってしまう!興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
ハルヴァを日本で手にいれる方法
ここでは、日本でハルヴァを手に入れる方法をいくつかご紹介します。「ハルヴァをぜひ食べてみたい!」という方は、購入するのに役立てて実際に味わってみてください。
カルディや業務スーパー、成城石井でハルヴァは買えるのか?
業務スーパーにハルヴァ売ってるんだね!中央アジアはひまわりの種のハルヴァが多い印象だけど、売っているのはトルコ産のゴマのハルヴァ。ホロホロした食感と濃厚な甘さがクセになるほどおいしい✨ pic.twitter.com/IHwaE2Bsvr
— Asako@おいしい中央アジア協会代表理事 (@AsalhonCooking) October 19, 2020
カルディ、業務スーパー、成城石井ともに、以前はハルヴァを販売していました。業務スーパーや成城石井のハルヴァはSNSなどでも話題となりましたが、2022年3月現在では公式サイトでの取り扱いはありませんでした。
オンラインショップで購入できる!
ハルヴァはオンラインショップで購入できます。アマゾンや楽天などでも販売がありましたが、2022年3月現在、昨今の世界情勢もあってか値段がちょっとお高めになっていました。
ハラールフードやトルコの食材などを取り扱っているオンラインショップなら1,000円前後で販売されていますので、チェックしてみてくださいね。
東京ジャーミイハラールマーケット:https://halalmarket.tokyocamii.org/search?type=article%2Cpage%2Cproduct&q=halva*
トルコ人にとってハルヴァとは?
ハルヴァは世界各地で食べられている伝統菓子ですが、トルコではどのようにハルヴァを食べているのか。ここでは、トルコ人にとってハルヴァがどのような意味を持つお菓子なのか紐解いていきます。
ハルヴァはトルコの生活に密接したお菓子
トルコではハルヴァは贈答用のお菓子としてはもちろん、アッラーに捧げるお供え用のお菓子として、また葬儀の際に振る舞われる祭事食としてなど、さまざまなシーンで食されます。
メッカ巡礼の旅立ちや巡礼からの帰還を祝って親戚や近所の人にふるまわれるほかにも、冠婚葬祭など節目節目の慶弔時に食されるお菓子がハルヴァなのです。トルコの人にとっては、身近でありながらとても重要なお菓子といえます。
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オスマントルコ帝国時代のハルヴァ
オスマントルコ帝国時代は、現代のトルコで食べられているゴマペーストで作るタイプではなく、小麦粉やスターチなどに油と水を加えて加熱しながら練り上げるタイプのハルヴァを食べていたようです。
オスマントルコ帝国の時代には、当時の貴族や上流階級の人たちがハルヴァを食べながら語り合う「ハルヴァ・ソフベティ」という文化も生まれました。特に、華美な文化が花開いた18世紀前半には、時の皇帝アフメッド三世により、文化人や知識人が招かれるハルヴァ・ソフベティが頻繁に開かれていたとも伝えられています。
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お土産にもおすすめ!トルコでハルヴァを味わってみよう!
ここでは、実際にトルコを旅したときにハルヴァを食べるのにおすすめの店や、お土産におすすめの有名お菓子メーカーなどをご紹介します。
現地トルコ人がおすすめする、実際にトルコ旅したときに訪れて欲しい、イスタンブールでおいしいハルヴァが食べられるおすすめ店をご紹介します。
Haci Bekir(ハジュ・ベキル)
現代ロクムの始祖でもあるシェケルジ・ハジュ・ベキル・エフェンディが1777年に開業した老舗中の老舗。ターキッシュ・デライトが有名な店ですが、トルコの伝統菓子、ハルヴァも販売しています。
おすすめは、トルコ名産のピスタチオの入ったもの。トルコ国内に複数の店舗がありますので、公式サイトでチェックしてみてくださいね。
店舗名 | Haci Bekir(ハジュ・ベキル) |
---|---|
住所 | Katip Mustafa Çelebi, İstiklal Cd. No:83, 34433 Beyoğlu/İstanbul, トルコ |
公式サイト | https://www.hacibekir.com/ |
Hazer Baba(ハゼル・ババ)
1888年創業の老舗でターキッシュ・デライトの有名ブランド。イスタンブールのエジプシャン・バザールにも店舗があります。トルコ名産のアーモンドやピスタチオが入ったハルヴァも販売しています。パッケージもキレイなので、お土産にもおすすめです。
店舗名 | Hazer Baba(ハゼル・ババ) |
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住所 | Vişnezade, Dolmabahçe Cd., 34357 Beşiktaş/İstanbul |
公式サイト | https://hazerbaba.com.tr/ |
Abdurrahman Tatlıcı(アブドゥラフマン・タトルジュ)
1910年創業のハルヴァで有名な菓子メーカー。トルコでよく食べられているタヒンハルヴァ以外のハルヴァも販売しています。缶に入ったハルヴァは、特にお土産におすすめです。
店舗名 | Abdurrahman Tatlıcı(アブドゥラフマン・タトルジュ) |
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住所 | Altınordu Cd. No:16, 06935 Sincan Osb/Sincan/Ankara, トルコ |
公式サイト | https://abdurrahmantatlici.com/helvalar/ |
ハルヴァはトルコのスーパーでも気軽に買える
トルコ土産にハルヴァを購入する場合、おすすめはKOSKA(コスカ)ブランドの商品です。KOSKAは、1907年創業の老舗有名メーカーで、トルコの伝統菓子を製造販売しています。トルコ国内のショップやスーパーでも手に入りやすいです。
KOSKA(コスカ):https://www.koska.com/en
小さな袋の食べきりサイズの商品などもありますので、バラマキ土産にもおすすめです。
世界のハルヴァはどんなお菓子?
ハルヴァはトルコ以外の国々でも食べられていて、それぞれ材料や味わいなどもちがいます。ここでは、トルコ以外の国のハルヴァについていくつかご紹介します。
ギリシャのハルヴァ
ギリシャのハルヴァはゴマペーストで作られていて、「八百屋のハルヴァ」と呼ばれています。テッサロニキでは、焼きリンゴにハルヴァを詰めることも。ハルヴァ・ファルサロンという、コーンスターチで作った固いカラメルのかかったハルヴァもあるそうです。
ちなみに、米原万里さんが、思い出の味に一番近いと記したハルヴァはギリシャのハルヴァでした。
イスラエルのハルヴァ
伝統的なゴマペーストのタヒニで作られるものが有名で、チョコレートでコーティングされたものもあります。洋菓子の材料にも用いられているそうです。
インドのハルヴァ
インドでは、ハルヴァはおもに北インドで、食後のデザートやブランチで食べられています。結婚式などのパーティで作られるセモリナ粉のハルヴァや、にんじんのハルヴァ、セモリナ粉とひよこ豆から作るハルヴァが有名で、油脂にはギーを使用しています。
バングラデシュのハルヴァ
バングラデシュには、にんじんや瓜、卵や肉のハルヴァがあります。シャベバラットという祝日の翌日に食べる習慣があり、米粉で作った平焼きパンに色々なハルヴァを付けて食べます。
トルコに思いをはせながらハルヴァを味わおう!
この記事では、トルコの伝統菓子ハルヴァについて紹介してきました。ハルヴァはオスマントルコ帝国時代から食されてきた、世界的にも有名な伝統菓子です。甘くて不思議な食感のハルヴァを味わって、トルコ菓子の魅力にはまってみませんか?ネットなどを利用すれば日本でも手に入るので、気になる人はチェックしてくださいね。
トルコ人にも愛されるお菓子のハルヴァを味わいながら、トルコへの旅に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
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