「ヘナ」はカラーや白髪染め、タトゥーに人気!効果や危険性、歴史まで紹介
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.06.20
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ヘナとは、ヘアカラーなどに使用される天然の染料で、北アフリカや中東、インド近辺ではなじみの深い植物です。日本では、ミソハギ科に分類され「指甲花」(しこうか)もしくは「ツマクレナイノキ」と名前がついています。
暑さに強いことが特徴で大きいものでは6mほどにも育ち、花は独特の香りがするため、香水などに用いられることもあります。
一般的にカラーやシャンプーに使われるヘナは、この植物の葉を乾燥させて粉にしたもので、オレンジ色に染まる色素により発色します。
自然由来の染料であるヘナは、髪にどのような効果があるのでしょうか。今回はヘナのメリット・デメリットや歴史まで詳しく紹介します。
Contents
ヘナカラーやシャンプーのメリット
負担なく白髪染めができる
ヘナカラーで髪が染まるのは、葉に含まれる天然の赤色酵素色素「ローソン」と呼ばれる成分の効果です。「ローソン」は、たんぱく質に絡みつく性質を持っており、髪の主成分であるケラチン=たんぱく質に働きかけます。いわば、藍染めなどの草木染めと同じような原理と考えると分かりやすいでしょう。
天然の色素であること、髪にダメージを与えることなく髪を染められることから、髪質が気になる人にも負担がかかることなく、白髪を綺麗に染めることができます。
また、ヘナには洗浄効果や髪を健康に保つ効果もあることから、ヘアカラーではなくシャンプーに使われることもあります。
髪につやが出る(トリートメント効果)
ヘナのメリットは、髪を美しく健康的に染められるだけではありません。ヘナが、髪に含まれるケラチンに絡む反応を起こすとき、髪の表面に薄い膜を作ります。これで、髪につやを与えてくれるのです。
また、膜を作ってコーティングすることで紫外線などから髪を守り、細い髪にもハリやコシが生まれます。つまり、シャンプーにヘナの成分を使うことで、トリートメント効果もバッチリというわけですね。カラーをするときにも、髪をいたわって健康な状態で美しく染めることが可能です。
髪のくせが抑えられる
髪にくせがある人でも、ヘナのコーティング効果のおかげでくせを落ち着かせることができるといわれています。これは、ヘナがケラチンと反応することで起こる収れん作用で、うねった髪を抑えてまっすぐに近い髪質になる人もいるとのこと。
今、ストレートパーマをかけようとしている人は、まずヘナシャンプーやヘナカラーを試してみると、悩みが意外と簡単に解決できるかもしれません。
使い続けると頭皮環境が良くなる
ヘナの効果は、髪そのもののほかに頭皮の健康にも役に立ちます。ヘナには、毛穴に詰まった汚れや皮脂などを吸着する働きがあって、ちょうど泥パックと同じような状態になります。また、ヘナの殺菌作用も加わって頭皮のフケやかゆみ、においを取り去ってくれるのです。
健康な髪が生えてくるには、頭皮環境を整えることが大切です。髪は、毛根から死んだ細胞が押し出されるようにして育ちます。毛穴が綺麗で正常な状態なら、髪が健やかに育ちやすいので、ヘナを使い続けると頭皮環境の改善が期待できるというわけです。薬ではないため即効性のある劇的な変化は難しいのですが、生薬を成分としている漢方薬と同じように地道に使い続けるイメージを持つとよいですね。
ヘナカラーのデメリット
染めるのに時間がかかる
ヘナで髪を染めるとき、放置する時間はおよそ1時間ほどです。通常のヘアカラーよりも、だいたい2倍くらいの時間を要します。サロンで染めてもらうと待ち時間が大変ですし、白髪染めをこまめにしている人にとっては少し面倒かもしれません。
ヘナカラーに時間がかかるのは、天然由来の色素・ローソンが穏やかに髪に作用しているからです。髪の健康を第一に考える人にとっては、多少の待ち時間は仕方ないと思うでしょう。
黒髪を染めることができない
ヘナは、ケラチンと結合することで髪に色が出ますが、この色は黒い色素が抜けた状態で現れてくれます。だから、白髪染めにはよく使われるのです。一方、黒い色素が残った状態だと、ヘナの色はうまく出ません。そのため、黒髪にヘナを塗っても黒いままです。もし自宅でヘナカラーを試したいというときは、ヘナカラーだけでは色が出ないので注意してください。
ただ、すでにカラーリングで多少ブリーチをしている人なら、色のトーンを変えることができます。髪をいたわりながらファッションカラーを楽しみたいときは、ヘナ専門のサロンに行って相談するといいですね。
白髪部分だけオレンジ色が目立つ
もともと、ヘナの色素成分「ローソン」は、オレンジ色に発色する性質があります。そのため、黒い色素が抜けた白髪を染めると、色素成分の色がそのまま発色してしまいます。これが、ヘナカラーで白髪の部分だけがオレンジ色になってしまう理由です。
ヘナカラーで、地毛に近い状態に染めたい人は、インディゴと呼ばれる藍色の色素を混ぜればトーンダウンできます。どれくらいのトーンにするかは、ヘナ専門サロンで相談すれば、好みの色になるよう調合してくれますよ。
独特のにおいがする
ヘナは、植物の葉を乾燥させて作るカラー材のため、草むらにいるような独特のにおいがあります。もしかすると、このにおいが苦手な人がいるかもしれません。特に、香料が入った市販のシャンプーに慣れている人にとっては、違和感があるものでしょう。
ただ、ヘナの染料に精油を混ぜたりすることで、においを和らげることはある程度できます。サロンに相談すれば、対応してくれるところもあります。
初めてヘナを使うと髪がきしむ
ヘナには、頭皮の汚れや皮脂を吸着させる強い効果があります。なので、初めてヘナを使う人は、髪に必要な油脂を持っていかれて髪がきしんでしまい、違和感を覚えることも。また、ヘナは天然の弱酸性なので、アルカリ性に寄っている髪に使うときしみやすくなってしまうのです。
これが、いわゆる「ヘナショック」と呼ばれるものですが、トリートメントやオイルを使って髪をコーティングすると収まってくれます。また、シリコンなどのコーティング成分が入っているシャンプーを使っている人は、ヘナの使い始めは特にきしんでしまいますが、数回ヘナを使い続けていると慣れていきます。
「ヘナは体に悪い」と言われる理由
ヘナの危険性とは
ときどき、「ヘナには体に有害な物質が含まれていて、特に染まりがいいヘナには危険がある」という話を聞いたり目にしたりすることはないでしょうか。美容師を名乗る人のサイトでも、そのような情報が書かれていることがあります。
でも、その情報はかなり昔に広まった噂でしかなく、実際にはまったくの誤解です。100%天然成分で作られたヘナであれば、一般的に危険な成分は含まれていません。天然成分のヘナを使った化粧品は厚生労働省でも認可されていて、使い方に十分注意すればほぼ問題ないでしょう。
自然のものにかぶれる人も
ただ、天然成分だから必ず安全であるとも言い切れず、100%植物由来だとしても、その植物に含まれる成分でかぶれてしまう人もいます。漆など自然界で自生しているものにかぶれてしまう人がいるのと同じようなことです。
市販のシャンプーや化粧品などの化学物質でかぶれる人もいますが、植物由来だからといって信じ切るのもよくありません。
ちなみに、近年注目されているオーガニック(有機体)を謳った商品も必ずしも安全、万人に合うとは言い切れず、特にシャンプーや化粧品では、オーガニックの定義はあいまいです。オーガニック=安全というイメージが先行していることが多いので、注意してください。
ヘナの健康効果
女性ホルモンのバランスを整える
ヘナには、特に女性が乱れがちな女性ホルモンのバランスを整える作用があるといわれています。古くより中東やアフリカ、アジア圏で愛用されてきたヘナは、特に女性にとっては欠かせないものでした。ヘナを用いることで、女性が健やかに過ごせることを先人も知っていたのです。
ヘナには「ナフトキノン」と呼ばれる成分が含まれていて、これが頭皮から全身に浸透して子宮の働きを活性化し、ホルモンバランスを調整してくれるといいます。「ナフトキノン」によって、生理不順やPMS(月経前症候群)の改善、更年期障害の緩和などにつながったという声もあります。
浄化作用が期待できる
ヘナの作用のひとつに、体内の毒素を排出してくれるというものもあります。いわゆるデトックス効果で、体内に潜んでいる老廃物や身体に有害な物質を体外に排出できるというものです。
ヘナの色素成分である「ローソン」は、頭皮から体内に浸透して毒素の解毒を行う肝臓の動きを活発にする働きを持ちます。また、血中の毒素と「ローソン」が結合し、血中から体外に排出させるともいわれています。
いずれにしても、身体に含まれる毒素を浄化できるとされていることで、疲労回復やアンチエイジングにつながると期待されています。
血流の促進が期待できる
浄化作用と少しつながりますが、ヘナのハーブとしての効果で、血流促進もあげられています。健やかでスムーズな血流を維持することで、毒素の排出もすんなり行われています。
血流がよくなることで、身体中の健康状態が改善されます。頭皮をはじめ肌のターンオーバー、頭痛や疲労回復、集中力の持続など、身体のあらゆる機能を活性化してくれるのがヘナなのです。
リラックス作用がある
ヘナに含まれる「ローソン」には、まだまだ身体にいいとされる作用があります。「ローソン」は、自律神経のバランスを取る効果が期待されていて、神経作用で崩れがちな体調もすっきり整えてくれるといわれています。
また、緊張状態から解放されてリラックスできるので、ストレスやイライラした気分も穏やかにし、睡眠時には快適で深い眠りにつけるという声も多いのが特徴のひとつです。ヘナカラーやシャンプーで癒されるのには、こういう理由があったのです。
抗菌・消炎・消臭作用がある
ヘナには頭皮を健やかにする作用がありますが、その理由は、頭皮の汚れなどを吸着して落とす効果のためで、そのほかにも抗菌作用や炎症を鎮める作用もあるといわれています。また、雑菌や炎症が解消されることで、頭皮のにおいも軽減し、健やかな状態を保てるのです。
これらのヘナの効果を利用し、古来より皮膚の怪我や炎症を改善する薬草として使われていたという記録が残っています。
ヘナの選び方・おすすめ商品やサロン
天然ヘナ100%を選ぶ
一般的にヘナとして市場に出回っている商品には、天然由来成分100%のものと、染色効果や防腐効果などを高めるために化学物質を調合しているものがあります。せっかく髪や頭皮に優しいヘナを使うのに、ともすれば健康を害する恐れのある化学物質が混ざっていては、ヘナ本来の作用を十分に発揮できません。
そのため、自分でヘナ商品を選ぶときは、成分表示をよく確認することをおすすめします。
パッチテストが推奨されているか確認する
ヘナの成分は自然由来であるとはいえ、ときにアレルギーを起こす人もいます。そのため、ヘナを使うときは成分表示を確認するとともに、事前にパッチテストをすることが厚生労働省より推奨されています。パッチテストとは、カラー材やシャンプーなどでアレルギー反応が起こるかどうか、薬剤を少量肌につけて様子を見るものです。
サロンでも、施術の48時間前にパッチテストをすすめるところがほとんどです。48時間置く理由は、アレルギー反応が時間を置いて出てくることがあるためです。
市販のヘナ商品でも、試供品があったりパッチテストのキットを販売していたりするので、パッチテストが推奨されている商品を選ぶようにします。
サロンなら専門店を選ぶ
ヘナカラーの施術をしてくれるサロンを選ぶときは、ヘナ専門店にするのがおすすめです。専門店のスタッフなら、ヘナの特徴やメリット・デメリットも詳しく教えてくれるので、納得した上で安心してヘナカラーを使うことができます。
また、自分の髪色からどんな色のトーンにしたいかなどの相談も、ヘナを知り尽くしているスタッフなら適切なアドバイスをしてくれて、希望通りの色になるよう薬剤を調合してくれるでしょう。
おすすめのヘナカラー・シャンプー
ハナヘナ シャンプー/天然100%ヘナ
「ハナヘナ」は、プロの美容師が新鮮な状態のヘナだけを厳選したブランドで、使う分だけをインドから輸入しています。新鮮な天然100%のヘナは、独特の草木のにおいもいい香りとして鼻から抜けていきます。
また、ヘナを粉にするときには茎や枝などの不要なものが混ざらないよう、葉だけを手作業で選別しているので、より高い純度のヘナを作り出すことができます。
「ハナヘナ」の新鮮で純度の高いヘナであれば、髪や頭皮をより優しくいたわりながらシャンプーできるでしょう。
名称 | ハナヘナ シャンプー |
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公式サイト | https://hana-henna87.com/ |
マヘンディヘナシャンプー/ナチュラルヘアトリートメント ヘナ
「マヘンディ」のヘアシャンプー・トリートメントには、インドのヘナ産地であるラジャスタン地方で契約農家が栽培しているヘナが使われています。契約農家が大切に育てた天然ヘナ100%だからこそ純度が高く、また農薬を一切使わない有機栽培なので安全です。
インドの大地の栄養と太陽の光をたくさん浴びて育ったヘナだからこそ、ヘナシャンプーやトリーメントの効果を最大限に引き出すことができます。
名称 | マヘンディヘナシャンプー/ナチュラルヘアトリートメント ヘナ |
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公式サイト | http://eiwamkt.jp/publics/index/26/ |
おすすめのヘナサロン
ジャパン ヘナ
オーナー自ら、何度もインドを訪れて現地で健やかに育ったヘナを厳選して使っているサロンです。また、オーナーのインドでの経験を生かし、お客さんへヘナの魅力を伝えるためにおもてなしにも力を入れています。
直営店は複数あり、ヘナ専門サロンとしてカラーやトリートメントの施術を行ってくれるほか、商品を購入することもできます。
名称 | ジャパン ヘナ |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿南1-11-19中島ビル1F(本店) |
公式サイト | https://j-henna.com/salon.html |
オーガニックヘアサロン コロリエ
関東を中心に複数店舗を構え、ヘナ専門サロンとして施術を行っています。天然由来だからこそ使い方が難しいヘナの知識を豊富に持っていて、お客さんの疑問や不安にスタッフが丁寧に答えてくれるサロンです。
カウンセリングがしっかりしているからこそ、ヘナの効果を最大限に引き出すことができ、ハイライトも含めた多様なヘナカラーのメニューからトリートメント、マッサージなどのトータルケアを提供しています。
名称 | オーガニックヘアサロン コロリエ |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前6-10-8原宿NAビル5F(表参道店) |
公式サイト | https://www.hennasalon-colorier.com/ |
ヘナ ファクトリー
高品質のヘナを提供することにこだわるこのサロンでは、特に良質なヘナが育つインドのラジャスタン州で栽培されるヘナを使っています。また、国内の検査機関で毒性、刺激性などの厳しい基準を設けた成分分析を行って、合格したものだけを使って安全性の確保に努めているサロンです。
ヘナカラーやヘアパックメニューには、ハーブオイルでの頭皮マッサージも含まれます。ヘナの施術だけではなく、マッサージでリラックスタイムを過ごせるでしょう。
名称 | ヘナ ファクトリー |
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住所 | 東京都北区十条仲原1-28-11 日本堂ビル1F |
公式サイト | https://henna-factory.com/ |
ヘナの歴史や役割
ヘナは古代よりあるハーブ
ヘナの歴史は深く、最古の記録ではおよそ5,000年前から薬草や防腐剤として使われてきたことがわかっています。紀元前に発祥したメソポタミア文明においても、ヘナはさまざまな使い方をされてきました。
エジプトを治めていたプトレマイオス朝の女王・クレオパトラも、ヘナを爪や髪に使っていたほか、当時のミイラの腐食を防ぐために布をヘナで染めていたという記録も残っています。
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トルコ・アナトリア半島や北アフリカ、モロッコやインドでは、ヘナと深い縁があり、とくにヒンドゥー教やイスラム教が広まった地域では、ヘナは宗教的に「聖なる力を持つハーブ」と信仰されていました。紀元前1000年頃には、ヒンドゥー教の女性たちが毛染めやボディペインティングにヘナを用いていた、とされています。その名残は、現代にも色濃く受け継がれているのです。
一時的なタトゥーができる
ヘナは、たんぱく質と結合する性質を持つため、髪だけではなく肌や爪を染めることもできます。紀元前から、宗教の儀式やファッションとしてヘナタトゥー(メヘンディ)が浸透していて、一般的な刺青と違い肌を傷つけることがないため、現代でも気軽にヘナタトゥーを入れることが可能です。
肌のターンオーバーとともに、1ヵ月程度で消えるタトゥーなので、日本でもファッションに取り入れたり、フェスやイベントの際に一時的に描いたりする人が多いですよ。
いわば、しばらくの間楽しめるボディペインティングのようなもので、自然に消えていけばまた新しい絵柄を入れられるのも人気のポイントです。
ヘナはアーユルヴェーダの万能薬
インドに伝わる伝統的な医学・アーユルヴェーダでも、ヘナはさまざまな疾患や怪我を治癒する万能薬として用いられています。アーユルヴェーダとは、サンスクリット語の「アーユス」(生命)と「ヴェーダ」(知識)を組み合わせた言葉で、心身の健康のみならず生き方そのものにも影響する考え方です。
ヘナが持つ抗菌作用や抗炎症作用を応用し、皮膚炎や皮膚病、やけどなどの治癒ができる薬草として重宝されてきたのです。
ヘナは魔除けの効果を持つ
インドなどのヘナが栽培されている地域では、ヘナは魔除けの力を持つと言い伝えられています。そのため、これからの幸せな人生を歩む結婚式や、豊かな生活を望むお祭りなどでは、不幸や惨事が訪れないよう、魔除けとしてメヘンディ(ヘナタトゥー)を入れる習慣が今も根付いています。
メヘンディには、装飾の意味合いのほかにも、厚い信仰から来る人々の願いが込められていることがわかりますね。
イスラム教では幸運をもたらす植物
古来より、イスラム教ではヘナは幸福を呼ぶ聖なる力が宿るとされていて、さまざまな神事や儀式に登場しています。人生の門出を迎える人や儀式に参加する人に、幸福や安全を祈願し心からの祝福をする意味合いでメヘンディを入れるのです。
また、自然信仰が浸透しているモロッコでも、イスラム教発祥以前にはすでにヘナを信仰の対象として崇めていたという話もあります。
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トルコでは結婚前夜の花嫁に
トルコでは、結婚式の前日に花嫁に縁のある女性たちだけが集まる儀式「クナ・ゲジェスイ」が行われるのが一般的です。「クナ」とはヘナのこと、「ゲジェ」は夜を指し、ヘナを用いた前夜祭のようなものです。女性たちは宴を楽しみ、ヘナを使って花嫁に美しいメヘンディを施します。
これは、結婚生活の幸せを願う古来よりの儀式で、女性たちに祝福されながら、花嫁は結婚式当日を迎えます。
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トルコではお土産にもおすすめ!
トルコでは、「エジプシャン・バザール」と呼ばれるイスタンブールの市場でヘナを販売しています。「エジプシャン・バザール」は、昔からイスタンブールの生活に密着していて、成立当初には香辛料を取り扱う店が大半を占めていたことから「スパイス・バザール」とも呼ばれます。
「エジプシャン・バザール」では、現代ではトルコの伝統工芸品などとともにヘナが並んでいるので、トルコのお土産のひとつとしてヘナを選ぶのもおすすめですよ。
ヒンドゥー教では女神が好む植物
ヒンドゥー教では、ラクシュミーと呼ばれる女神がヘナを愛用していたと伝えられています。ラクシュミーは、美や富、幸運の女神といわれていて、それに倣って古来より女性がヘナでメヘンディを施し、お祝いや神事、儀式で華やかな装飾を添えていました。
現代でも、ラクシュミーの言い伝えにのっとってメヘンディの習慣が残っているほか、爪を染めるマニキュアとしても利用されています。
そして、ヒンドゥー教圏のインドでも、結婚式ではヘナを使ったメヘンディを施す習慣があります。
インドではお祭りにも欠かせない
インドには、「カルバチョート」と呼ばれるヒンドゥー教の儀式があります。「カルバチョート」は、満月の前日に既婚女性が完全に断食をして夫の無病息災を祈り、満月が顔を出した夜に夫が妻に食事のひと口目を食べさせる習慣です。この儀式の数日前から、妻たちはメヘンディを施して当日を待つのです。
「カルバチョート」の断食の間は、女性はサリーでおしゃれをしたり宴を開いたりと、楽しい時間を過ごします。メヘンディはいつか消えるものですが、装飾が長く残ることで夫の長寿を占えるという側面もあります。
一見ストイックな儀式ですが、実は夫婦の絆を再確認する大切な日なのです。
ターバン必須のシーク教でもヘナは重要
ヒンドゥー教から派生したシーク教も、インドでは一般的な宗教のひとつです。シーク教の教えとして、ターバンを巻くことが義務付けられていて、髪や髭を切らない習慣が根付いています。そのため、灼熱の夏になると、シーク教徒はターバンと髪による暑さに耐えなければなりません。
そこで、ヘナの体温を下げる作用を利用すれば、頭にヘナを塗ることで涼しさを得られます。シーク教徒にとっても、ヘナの存在は欠かせないのです。
また、頭を冷やせば効率的に全身の血液も冷やされるので、理にかなっているともいえますね。
ヘナカラー・シャンプーでつややかで健康な髪を目指そう
古来より、人々の生活に根付いてきたヘナの文化は、聖なる植物として崇めるだけではなく、ヘナの持つ効果効能を有効に活用するために発達してきました。そして現代でも、ヘナを利用した習慣が色濃く残っている地域があるのです。
ヘナがもたらす美や健康の効果は日本にも伝わり、ヘナカラーやシャンプーとして髪と頭皮を健やかに保つ目的で使われています。ヘナは、身体に優しく美しさを引き立ててくれる願ってもない大地の恵みです。
興味のある方は、ヘナカラーやヘナシャンプーで美しい髪を手に入れてみてはいかがでしょうか。
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