トルコを代表する家庭料理「マントゥ」ってどんな味?簡単レシピもご紹介
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.09.25
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トルコの定番家庭料理「マントゥ(Manti)」は、ヨーグルトソースやトマトソースなどをかけて食べる、中国の水餃子のような料理。トルコでは「おふくろの味」ともいえる人気メニューです。
マントゥとは一体どのような味で、どのように調理されるのでしょうか。ここでは、マントゥの魅力を、歴史や簡単な作り方と併せて徹底解説します。
Contents
トルコの伝統料理!マントゥとは?
マントゥは、小麦粉で作った皮でひき肉などの具を包んで茹でた小さな水餃子のような料理です。餡には牛肉や羊肉などが使われ、肉の臭みを消すために数種類のスパイスが加えられる場合もあります。
バターやオイルが入ったトマトソース、塩やニンニクを加えたヨーグルトソースなどをかけて食べるのが定番です。好みでチリパウダーやドライミントなどもトッピングします。
またトルコでは、マントゥの皮も餡も、手間暇をかけて家庭で作るのが一般的です。そのため味や形、作り方などは、それぞれの家庭や地域ごとに異なります。
トルコ・カイセリの名物
マントゥはトルコ全土で食べられている伝統料理ですが、とりわけ有名なのがカイセリです。
カイセリはトルコの中央部、エルジェス山の北側に位置する内陸の街。長い歴史を誇り、ヒッタイトやセルジューク時代には要地として繁栄しました。
現在では、トルコを代表する人気観光地「カッパドキア」への玄関口としても知られています。
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セルジューク時代の建物やトルコ絨毯、パストラミの原型といわれる「パストゥルマ」も有名です。
美味しい手作りマントゥは料理上手な証
そんなカイセリのマントゥは小さいのが特徴。茹でる際に使用したスープを飲んでからいただくこともあります。
また、カイセリには結婚前に花嫁が姑にマントゥを作るというユニークな伝統もあります。マントゥが小さければ小さいほど料理上手な理想の花嫁だとみなされ、1つのスプーンに40個ものるほど小さいマントゥを作れるのが理想だといわれています。
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美味しくて簡単!マントゥのレシピ
それでは、マントゥはどのように作るのでしょうか。日本でも作れる、美味しくて簡単なレシピを紹介します。
材料をチェック
◆皮
- 小麦粉…200g
- 卵…1個
- 水…約1/4カップ~
- 塩…小さじ1/4
◆餡
- 牛ひき肉(ラムでも)…200g
- 玉ねぎ…1/2個
- パセリ…大さじ山盛り1
- 塩…小さじ1/2
- クミン…小さじ1/2
- こしょう…少々
◆ヨーグルトソース
- プレーンヨーグルト…500g
- ニンニク…2~3片
- 塩…お好みで
◆トマトソース
- バター…40g
- トマトペースト…小さじ1
- 塩…お好みで
◆仕上げ
- チリパウダー(パプリカパウダー)
- ドライミント(生ミント)
- パセリ
マントゥの美味しい作り方
- 水を少しずつ加えながら皮の材料を混ぜ、耳たぶくらいの固さになるまでこねます。生地ができたらラップで包み、冷蔵庫で約30分ねかせましょう。
- 生地を休ませている間に餡とソースを作ります。玉ねぎはおろすか細くみじん切りに、パセリはみじん切りにして、餡の材料をすべて混ぜ合わせます。にんにくはすりおろし、ヨーグルトに加えて混ぜましょう。
- 30分経ったら打ち粉をして、休ませた生地を1~2mmほどの厚さにのばします。
- 生地を2~5cm角に切り、少量の餡をのせ、皮の四方を閉じます。この際、対角線上の角を指でつまむようにして合わせると形良く作れますよ。
- たっぷりの水を沸騰させ、大さじ1の塩を入れてマントゥを茹でます。浮かんできたら1~2分ほど待ってからざるにあげましょう。
- 溶かしバターとトマトペーストを混ぜて、トマトソースを作ります。
- 器にマントゥを盛りつけ、ヨーグルトソースとトマトソースをかけます。お好みで、ミントやチリパウダー、パセリなどを適量トッピングして出来上がりです。
冷凍餃子をアレンジするのもアリ
皮から手作りするのが大変な場合は、市販の餃子の皮を使うのがおすすめです。皮を4~9等分に切って餡を包むと、マントゥらしくなります。
もっとお手軽にマントゥを試してみたいなら、冷凍餃子をアレンジするのもよいでしょう。水餃子にヨーグルトソースや市販のトマトソースなどをかけるだけで、マントゥの雰囲気を楽しめますよ。
【豆知識】マントゥに必須のヨーグルトはトルコ発祥?!
マントゥに欠かせないヨーグルト。実は、トルコ発祥の食べ物だと知っていましたか?
ヨーグルトという名前自体、「Yoğurt(ヨーウルトゥ)」というトルコ語が由来だといわれています。Yoğurtは「攪拌(こうはん)すること」を意味する動詞と関連がある言葉で、もともと発酵乳を指して使われていました。
トルコのヨーグルトは日本のものより固めで、クリームのような濃厚な味わいです。トルコでは前菜からメイン料理、デザートまで、幅広い料理に使われており、なんと1人当たりの年間消費量は世界1位です。
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その他にもさまざまなトルコ発祥の食材があるので、チェックしてみてください。
モンゴル遊牧民から伝わった?マントゥの歴史
トルコ料理を代表するマントゥは、はるか昔にモンゴル遊牧民から伝わったといわれています。そもそもトルコ人のルーツの1つは、モンゴルや中央アジアに居住していたテュルク系遊牧民族です。
彼らは強力な騎馬遊牧民でもあり、西へ西へと勢力を伸ばしていきました。そして、ついにはトルコにまで到達。乳製品や穀物原料の使用した食事や、保存食の技術などに優れた遊牧民族ならではの食文化を持ち込んだといわれています。
凍らせた、もしくは乾燥させたマントゥは、移動中でも火を焚けばすぐに調理できるため、重宝されていました。実際にトルコでは、マントゥを「タタール人のペストリー」とも呼んでいます。
15世紀半ばのオスマン帝国時代には、羊肉とひよこ豆を入れて作ったマントゥに、ニンニク入りのヨーグルトとスマックをかけて食べていたようです。
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ちなみに、スマックはエスニックな酸味のある赤紫色のスパイスで、日本の赤しそを粉末にしたものに似ています。
名前の由来は中国料理「マントウ」
マントゥの名前の由来は、中国料理「マントウ」です。マントウとは、中に何の具も入っていない蒸し饅頭。中国北部では昔から家庭の主食として、スープに浸したりおかずをはさんだりして食べられています。
一般的には中華まんや蒲鉾のような形をしていますが、大きさや形は家庭によってさまざま。基本レシピは小麦粉とイースト、水のみですが、塩や砂糖、ラードなどを加えて作る家庭もあります。
ちなみに、日本の饅頭の名前の由来となったのもマントウだといわれています。
トルコだけじゃない!?世界各国の「マントゥ」
小麦粉で作った皮で肉餡を包んで食べるマントゥに似た料理は、アフガニスタンやギリシャをはじめ世界各国にあります。しかし、その味や形、調理方法などはそれぞれの場所や食文化によってローカライズされ、多種多様です。
ヨーロッパ・中東に伝わる「マントゥ」
マントゥの歴史的背景から、特にヨーロッパ・中東に伝わるマントゥはトルコのものとよく似ています。味付けや大きさ、トッピングなどは地域や家庭によって多少異なるため、違いを比べてみてください。代表的なマントゥをいくつか紹介しましょう。
アフガニスタン:マントゥ
アジア大陸のほぼ中央に位置し、イランやパキスタン、トルクメニスタンなどに囲まれたアフガニスタン。国の大部分は山岳地帯で、多民族国家としても知られています。
そんなアフガニスタンのマントゥは、ヨーグルトソースやミントの他に、豆やひき肉を加えた少量のトマトソースをかけるのが一般的。人参ソースをかけたり、レモンジュースやニンニクを添えたりして食べることもあります。
ギリシャ:マンディ
神話や哲学などで知られ、西洋の文化に大きな影響を与えたギリシャ。魚介類やオリーブオイル、レモンなどを豊富に使った地中海料理が有名ですが、エーゲ海を挟んだトルコの隣国として、トルコ料理と似た食文化もあります。
ギリシャでは、マントゥは「マンディ」という名前で親しまれており、茹でるだけでなく、焼いたり揚げたりします。ヨーグルトソースやトマトソースの他に、チーズをトッピングするのも一般的です。
アルメニア:マンティ
トルコの北東に位置する隣国アルメニアでは、マントゥは「マンティ」と呼ばれています。アルメニアのマンティは比較的小さく、一般的に羊肉か牛肉が使われます。
軽くバター炒めした後にトマト系のスープで茹でたり、焼いた後に鶏肉の出汁をかけたりして食べます。ヨーグルトソースやトマトソース、ガーリックチップやドライスマックなどをトッピングするのが定番です。
アゼルバイジャン:マンティ
アルメニアの東に位置するアゼルバイジャン。世界最大の塩湖カスピ海に面し、南北をロシアとイラン挟まれています。首都バクーでは、シルクロード時代の古い街並みと、ユニークで近代的な街並みの両方が見られます。
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ここでもマントゥはマンティと呼ばれ、羊肉を使用し、専用のポットで蒸すのが特徴です。コショウやバター、ビネガーを添えていただきます。
カザフスタン:マンティ
ロシアや中国などと国境を接しているカザフスタンは、世界最大の内陸国。多くの伝統料理には、遊牧民族ならではの食文化が色濃く残っています。
マンティもその一例で、黒コショウで味をつけた羊肉や馬肉、カボチャやウリなどを使って作られます。そして、バターやニンニクソースの他に、サワークリームやオニオンソース、チリパウダーなどをかけるのが一般的です。
餃子にパスタ…マントゥに似た料理
その他の地域のマントゥに似た料理は、基本的な食材は同じでも、味付けや見た目が大きく異なります。世界各国のマントゥに似た料理を紹介しましょう。
中国:餃子・パオズ(包子)
日本でも馴染み深い「餃子」は、中国が起源といわれます。中国や台湾で餃子といえば、水餃子。日本とは異なり主食として扱われます。
一般的には、日本の餃子よりも厚みのある皮を使い、茹でて食べます。餡は、豚肉や羊肉に白菜やニラ、香味野菜などを加えて作られますが、具材や味付けは地域によってさまざまです。
「パオズ(包子)」は、マントゥの由来になったマントウに具を入れた料理です。パオズも、中国や台湾では主食として食べられます。豚肉やチャーシューなどの肉類の他に、野菜や小豆餡など、中身のバラエティーが豊富で、形や大きさも多様です。生地にカボチャや黒ゴマなどを練りこんで色をつける場合もあります。
韓国:マンドウ
韓国では、餃子を「マンドウ」と呼び、年の始めに幸せを願って食べたり、祝いの席で振る舞われたりします。韓国のマンドウは、薄めの皮に、豚肉や牛肉、野菜類を混ぜた餡を包み、キムチを一緒に混ぜ込む場合もあります。
調理方法は蒸したり焼いたりする他にスープの中に入れて煮込むのも一般的です。形も多様で、日本の餃子のようなスタイルや、ナマコや米俵、巾着のようなものもあります。
イタリア:ラビオリ
ラビオリは2枚のパスタ生地の間に具を挟み、四角形に切り分け、茹でたりスープにしたりして食べます。具材の種類は豊富で、ひき肉やシーフード、ジャガイモやほうれん草などの野菜、チーズなどが使われます。トマトソースやクリームソースなど、合わせられるソースの種類もさまざまです。
ラビオリという名前は、カブを意味する「Rapa」が由来。薄切りのカブにチーズを挟んで作られた中世の料理にちなんでつけられたようです。
ネパール・チベット:モモ
ネパールやチベットで一般的に食べられている「モモ」は、小麦粉で作った皮で餡を包み、蒸したり揚げたりする料理。餃子や小籠包に近く、揚げたものはコティとも呼ばれます。
野菜だけの餡もあれば、鶏肉や羊肉、水牛の肉を加えたものもあり、肉の臭いを消すために味付けはスパイシーです。スープに入れたり、好みでトマトベースのチリソースをつけたりしていただきます。日本では、ネパール料理店などで食べられます。
東京でマントゥを食べよう!おすすめのレストラン
東京でも、トルコ料理店で本場のマントゥを味わうことが可能です。トルコならではの料理やドリンクを添えて、トルコの雰囲気を楽しんでみるのはいかがでしょうか。ここでは、3つのおすすめレストランを紹介します。
ドルジャマフセン
練馬駅からすぐのドルジャマフセンは、トルコ人オーナーシェフと、彼のお母さんが腕を振るう正統派トルコ料理店です。有名なケバブやメゼから、優しい味わいの煮込料理、デザートやお酒まで、本場の味を楽しめます。
「ドルジャ」は有名なワイナリーの名前、かつオーナーシェフゆかりの村の名前。「マフセン」は、隠れてお酒を飲む地下のワイン倉庫のような場所を意味します。
店名 | Turkish Kitchen & Bar Doluca Mahsen /ドルジャマフセン |
---|---|
住所 | 練馬区練馬1-6-18 コンフォートⅢ 1階A号 |
定休日 | 毎週月曜日(祝日の場合は翌休) |
Webサイト | https://doluca-mahsen.com/ |
イズミル
イズミルでは、トルコ産のタイルに包まれたエキゾチックな空間で、宮廷料理から家庭料理まで、幅広い伝統料理を味わえます。店主は、トルコ料理の名門:トルコ調理師協会日本代表に選ばれるなど、れっきとした実績の持ち主。
彼女が特に美味しいと思うトルコ料理を、現地そのままの味で提供しています。
店名 | Turkish Kitchen Izmir イズミル |
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住所 | 東京都杉並区阿佐谷北2-13-2パサージュ阿佐谷2F |
定休日 | 毎週月曜日 |
Webサイト | https://asagaya-izmir.com/ |
サライ(赤坂)
トルコ語で宮殿を意味する「サライ」。定番のケバブから野菜たっぷりの煮込み料理、トルコらしいヨーグルトやチーズを使ったメゼまで、豊富なメニューが揃っています。
間接照明などの店内装飾は異国情緒漂う大人の雰囲気で、たくさんの野菜やハーブ、スパイスを使った鮮やかで美しいトルコ料理が引き立ちます。毎週水曜日と金曜日には、ベリーダンスショーも楽しめます。
ベリーダンスは世界最古の踊り!艶やかで美しい動きや衣装の特徴
店名 | トルコ料理サライ 赤坂店 |
---|---|
住所 | 東京都港区赤坂 2-13-23 赤坂MYビル B1F |
定休日 | 年中無休 |
Webサイト | https://saray-akasaka.com |
世界三大料理の1つ! トルコ料理を味わおう
肥沃な大地と海の幸に恵まれたトルコの食文化は、東西のさまざまな影響を受けながら豊かに発展してきました。マントゥは、そんな魅力あふれるトルコ料理の1つです。
トルコにはマントゥの他にも、ケバブやトルココーヒー、フムスなど世界的に注目されている料理がたくさんあります。中国料理やフランス料理などと並んで世界三大料理の1つといわれるトルコ料理を、ぜひ味わってみるのはいかがでしょうか。
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