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トルコ相撲(ヤールギュレシ)とは?無形文化遺産のオイルレスリング

更新日:2023.02.28

投稿日:2022.11.15

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オイルレスリング トルコ相撲 ヤールギュレシ

トルコはオリンピックのレスリング競技の強豪国です。そのルーツは600年以上前から続く、トルコの国技ヤールギュレシ(オイルレスリング)にあります。夏の炎天下で屈強な男たちが繰り広げる戦いは色あせることがなく、現代の観客たちを熱狂させます。格闘技やトルコの文化に興味がある人はぜひご覧ください!

トルコ相撲(ヤールギュレシ)とは?

トルコ オイルレスリング ヤールギュレシ

日本でトルコ相撲の名称で知られているヤールギュレシは、2人の選手が組み合って戦うトルコの格闘技です。選手の全身にオリーブオイルを塗って戦うことから、オイルレスリングと呼ばれています。オイルによって非常に滑りやすいため、相手を掴むための強靭な力と技術が必要な競技です。ヤールギュレシはトルコの国技となっており、全国大会はテレビ中継がされています。

トルコ語でヤールは油の意味で、ギュレシはレスリングの意味となり、ヤールギュレシはオイルレスリングそのままの意味となります。日本ではレスリングを相撲に例えることが多く、トルコ独自のレスリングからトルコ相撲と呼ばれることが一般的となっています。トルコ相撲では張り手のような打撃技は禁止されており、日本の相撲とは大きく異なっています。

毎年、トルコ相撲の全国大会がトルコ最西端のエディルネで開催されています。この大会がクルクプナルオイルレスリングフェスティバルとして2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

トルコ相撲(ヤールギュレシ)に必要な基本要素

トルコ相撲の大会に必要な要素をご紹介します。

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レスラー

トルコ相撲の競技者で実力のあるレスラーは、「ペリヴァン」と呼ばれます。これはペルシャ語で、勇敢、身体が大きい、将校などの意味です。初期のオスマン帝国時代には、ペリヴァンは戦争の英雄を表す言葉として使われています。その後レスラーに対して使われるようになり、強さ、勇気、スポーツマンシップを表す言葉となりました。

かつてはレスラー全員がペリヴァンを名乗ることができたわけではなく、大会で勝ち、地域コミュニティーや審判団に認められる必要がありました。現在ではエディルネで行われる全国大会に出場する全てのレスラーは、ペリヴァンと呼ばれています。

トルコ相撲は日本の相撲と異なり、レスラーは年齢や体重によってクラス分けされるため、年齢による体力の差や体格による差が出にくくなり、より均衡した試合となります。そのためレスラーには力だけでなく、技術を磨くことが求められます。

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レフェリー

トルコ相撲では2人のレフェリーによって、試合の勝敗が決められます。競技者のすぐ近くで伝統衣装を身に着けた審判は、フィールドレフェリーと呼ばれます。フィールドレフェリーは、トルコ相撲の競技者の中で階級が低く、比較的年齢の高い中年男性が担当することが多いです。軽量級から重量級まで様々な体格のレフェリーが採用されます。

もう一人の審判は競技場を見渡せるタワーにいるため、タワーレフェリーと呼ばれます。かつては大会の優勝者となったレスラーから、タワーレフェリーが選ばれていました。現在はエディルネ市により選ばれたレスリング連盟のメンバーが、タワーレフェリーを務めています。このメンバーはトルコ相撲の競技者で、軽量級の人が多いです。

フィールドレフェリーが試合を公平に裁き、試合の勝敗をタワーレフェリーに伝えます。タワーレフェリーが確認を行い、試合の勝敗が観客全体に知らされます。

音楽隊

太鼓と管楽器により編成された音楽隊がトルコ相撲を盛り上げます。大きな大会の前は町でパレードが行われ、大会の開催を町中に知らせます。演奏者は伝統衣装を着て、試合前の儀式や試合中に演奏を行います。試合展開に合わせてゆっくりしたリズムの演奏から、やがて早いリズムに変化し観客を興奮の渦に引き込みます。音楽が止まるとレスラーは戦いを止めてしまうといわれるほど、トルコ相撲に欠かせない要素となっています。

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アガ

アガとは大会スポンサーのようなものです。アガの称号を得ることは、とても名誉であるとされています。とくに最大の大会であるクルクプナルのアガを務めることは、最高の名誉となっており、企業のステータスとなっています。かつては、トルコ相撲のアガは観客に宿泊場所や食事を提供し、裕福なゲストからは動物や金などの贈り物を受け取り、試合を開催しました。大会の優勝者にはアガから賞品が授与されていました。

伝統的にクルクプナルのアガは、大会の最終日にこの地域の裕福な人に子羊が送られ、その人が子羊を受け入れると翌年のアガとなりました。現代では、最終日にエディルネ市が子羊を競売にかけ、その最高入札者が翌年のアガとなります。3年連続でクルクプナルのアガとなった場合は、エディルネ市より銀のベルトが送られます。なお2019年大会の落札額は12万ドルで、約1,300万円でした。

トルコ相撲(ヤールギュレシ)のルール

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トルコ相撲は、オリンピックのレスリング競技や日本の相撲とはルールが大きく異なります。

場所

競技は屋外の草地で行われます。サッカー場のような草地の競技場の周りに観客席が作られています。相撲の土俵やリングなどはなく、草地全体で競技が行われます。エディルネにはトルコ相撲の専用スタジアムがあり、このような大きな競技場では同時に何組も対戦が行われています。

衣装

競技者は上半身裸となり、革で作られた丈夫な膝下まであるズボンを着用します。このズボンはクスベットと呼ばれ、クスベットはアラビア語でベルトから膝までを覆う衣服のことを指しています。1960年代まではクスベットには水牛の皮が主に使われ、重さが12kgほどありました。現在は仔牛の皮が主流で重さは約1.8kgです。裾は糸で結ばれており、これは相手が裾に指を入れて投げるのを防ぐ役割を果たしています。

オリーブオイル

オリーブオイル

トルコ相撲は、裸の上半身と革製のズボンにたっぷりとオリーブオイルをかけ、競技が行われます。オリーブオイルを含んだズボンは2.5kgほどになります。競技場の端に大きなテントが設置され、競技者はここでスタッフにより全身にオイルを塗られます。また、競技場にはオイルを手にしたスタッフが常に待機しており、試合中に身体が乾いてしまった競技者にオイルを渡します。ただし試合中にオイルを塗る場合は対戦相手に許可を求める必要があります。

もし目にオイルや汗が入った場合は、オイルまみれの手で目をぬぐうことができないため、競技場には布を持ったスタッフがいます。しかし、スタッフから布を受け取り、目をぬぐうには対戦相手の許可を得ることが必要です。

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勝敗の決着

1対1で競技者が組み合って試合が行われます。相手を仰向けにして両肩を地面につける、相手を持ち上げて3歩歩く、相手がギブアップする、相手のズボンを破るまたはズボンを脱がす(これは非常に稀です)と勝者となります。また、万が一対戦相手を言葉などで侮辱することや、レフリーや観客に対して暴言を吐く行為も失格になる場合があります。

制限時間内に決着がつかない場合は、試合中の獲得ポイントにより勝敗が決まります。相手に勝利をするためには、滑りやすい上半身を避けていかに相手のズボンを掴めるかが重要となります。

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競技時間

昔は勝敗が決まるまで試合が行われていました。そのため同じ対戦相手同士で、1日や2日間にわたって試合が行われたこともあります。しかし、試合時間が無制限の場合は大会の運営が難しく、また長時間の試合で観客が飽きてしまうため、1975年に時間制限のルールが作られました。一般的な試合は40分の試合時間で行われます。決着がつかない場合は、15分の延長が行われます。年齢が若いカテゴリーでは、試合時間30分+延長10分となっています。

トルコ相撲(ヤールギュレシ)の歴史

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相手と組み合って戦う格闘技のレスリングは、世界の様々な場所で古くから行われてきました。エジプトで発見された紀元前2650年のブロンズ像は、2人のアスリートがオイルの入った壺を掲げた姿をしており、このころからオイルレスリングが存在したと考えられています。また、墓壁からオイルレスリングのレリーフが見つかっています。数世紀後にエジプトはペルシャ帝国によって征服され、イランにオイルレスリングが伝わりました。

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トルコでは、11世紀にセルジューク朝がアナトリア地方を征服した後、カラカクレスリングと呼ばれるレスリングが普及しました。これは全身を攻めることが出来るフリースタイルレスリングで、革製の服を着用し、相手に掴まれにくくするためにオリーブオイルがかけられました。これが現在まで続くトルコ相撲の起源と言われています。

セルジューク朝の成立から滅亡までを徹底解説!オスマン帝国との関係も説明

トルコ相撲の聖地エディルネでは別の伝承があります。1360年にアナトリア地域征服のために、オスマン帝国の兵士40人が遠征をしていました。オスマン帝国で兵士の訓練の一環として行われていたオイルレスリングの大会が、遠征地のエディルネで行われます。しかし、アリとセリムの兄弟が夜通し戦い続けた後に、組み合ったまま亡くなってしまいました。悲しんだ他の兵士たちが2人の遺体を埋葬した時、その場所から泉が沸き起こりました。そしてこの場所は、40の泉を意味するクルクプナルと名付けられました。これ以降クルクプナルでトルコ相撲の大会が行われるようになりました。

トルコ最西部のエディルネにて、1360年から現在に至るまで毎年トルコ相撲の大会が行われています。戦争中や、オスマン帝国からトルコ共和国に代わって西洋化が進んでも、継続して開催されています。この大会は、毎年開催されている世界最古の競技会としてギネスブックにも登録されています。

トルコ相撲の儀式(ペシュレフ)

レスラーが対戦相手と試合を行う前に、ペシュレフと呼ばれる儀式が行われます。取組前に儀式が行われる日本の大相撲と少し似ているかもしれません。

審判団の前に集まったレスラーは、対戦相手と横並びに立ち、自分の右手と相手の右手、自分の左手と相手の左手を繋ぎます。そして、伝統衣装を着たジャズグルと呼ばれるアナウンサーが各レスラーの特徴や試合展開の予想を観客に向けて紹介します(プロレスのリングアナウンサーにイメージが近いです)。そしてジャズグルは祈りの詩も歌いあげます。

お互いに手をつなぐのは、競技者を敵ではなく戦いの同志とみなすためです。また、トルコ相撲の大会クルクプナルの創設者となったアリとセリムの兄弟に敬意を捧げる意味もあります。

ジャズグルの祈りが終了した後に対戦相手と手を離し、競技者たちは両手を交互に高く振り上げながらフィールドを行進します。競技者は時にはスキップのような動きを見せます。この動きは対戦前のウォーミングアップや士気を上げる目的も兼ねています。この間、太鼓などの民族楽器が演奏され試合の雰囲気を盛り上げて行きます。

行進の最中に対戦相手とすれ違う時は、相手の膝を軽く触れることや、首と手首を軽く引っ張り合うなどして、相手の力量を確かめ合います。また、ハグをしてお互いの背中を叩き合うこともあります。

競技場を前後に3往復した後で、左膝をひざまずき自分の右手で地面、膝、唇、額の順番に触れる動作を3回行いペシュレフは終了となり、試合が開始されます。

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クルクプナル|トルコ相撲(ヤールギュレシ)の全国大会

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トルコ国内でトルコ相撲の大会は、毎年、主要な大会で40以上、小さな大会も含めると300以上開催されています。その中で一番大きな大会は、毎年6月から7月にかけて3日間にわたりエディルネで開催されます。大会名は、クルクプナルオイルレスリングフェスティバルで、一般的にはクルクプナルと呼ばれています。

1360年から毎年開催をされており、トルコの経済不況時や戦争下でも規模を縮小し開催されています。トルコ全土から1,500人以上のレスラーが集まり、この大会で使われるオリーブオイルは、2,000リットル以上と言われています。

最高位の階級で優勝をすると、バシュ・ペフリヴァンの称号を与えられます。伝統的に賞品は、馬やラクダなどの動物でしたが、近年ではメダルやチャンピオンベルトとなっています。優勝者は、金で作られた重さ約1.5kgのチャンピオンベルトを1年間保持することが出来ます。3年連続で優勝をすると、そのベルトを生涯保持する権利を得ることが出来ます。

クルクプナルはテレビ放送され、この大会で優勝すると一躍有名となります。エディルネの競技場には、現役選手でもあり最多優勝記録を持つアフメット・タジジや、英雄とされているアダル・ハリルの銅像が建てられています。なお、クルクプナルにはトルコ人しか参加をすることが出来ません。オイルレスリングの人気があるオランダから過去にレスラーがエントリーをしましたが、大会への参加は認められませんでした。

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