トルコの伝統手芸「オヤ」の魅力に迫る!種類や道具、歴史などを徹底解説
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.07.04
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トルコで古くから伝わる手工芸品「オヤ」は、トルコ人の女性が髪を隠すためのスカーフに縁取られた手製の飾りです。花や果実を表現したモチーフはカラフルで美しく写真映えすることで、日本でも人気になっています。
ぜひ作ってみたいという声も多く、書籍や動画、教室などでチャレンジする人も増えているようです。ここでは、トルコの伝統手芸オヤについて、その魅力を掘り下げて解説するとともに、オヤの始め方も紹介します。
オヤとは
オヤ(Oya)とは、トルコで非常に古くから存在する伝統的な手工芸の一つで、女性が顔周りを覆うスカーフの縁飾りのことです。オヤは、カラフルな糸やビーズを使って描く、幾何学模様や花など小さなモチーフの連続。どれも手仕事で編まれたものであり、その繊細さと優美さで多くの人の心をつかんでいます。日本でも昨今のハンドメイド人気もあり、オヤ教室や手芸本、SNSなどで広く知られるようになりました。
もともとはスカーフの縁取りを指す言葉ですが、最近では、オヤの技法を使って編まれたアクセサリーや、ハンカチの縁取りなども含めてオヤと呼ばれています。
オヤは、地域や家庭で教わった技術を、女性が継承していく貴重な文化です。トルコでは、手先が器用な女性がよい嫁と評価されるため、若い独身女性は競ってオヤで自分の技術をアピールしました。しかし、現代では生活様式も変化し、オヤのなかでも高度な技術を必要とするものは、作り手が減ってきているようです。
オヤの歴史
オヤの起源は不確かで、由来には諸説あります。古くは、紀元前2000年頃に作られていた、針で編んだ漁網の技法が起源であるという説もあります。現代に伝わるオヤの技法は、オスマン帝国の時代にはすでに存在していたようです。
12世紀頃にトルコのアジア側であるアナトリアから、さまざまな技法のレース編みがヨーロッパに伝えられました。たとえば、トルコの隣国アルメニアではアルメニアンレースとして伝わりました。そのほか、マケドニア、ギリシャ、キプロスなどの周辺地域でもオヤの技法は存在しています。どれも起源は同じと見られ、研究者の間ではアナトリアで発祥という見解が有力なようです。
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イスラム教徒の女性は、経典コーランの教えにより、異性にとって魅力的に見える髪の毛をスカーフ(ヴェール)で覆い隠す習慣があります。そのスカーフの縁に付けられる飾りがオヤです。オヤは、スカーフやテーブルクロス、タオルなどを装飾して、花嫁の持参品とするなど、家庭や地域で年長者の女性から若い女性へ技法が受け継がれてきました。
今でも、地方では、女性たちが集まってお茶を飲みながら手を動かしてオヤを制作する様子が見られます。
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オヤのモチーフ
オヤは糸が織りなすアート作品ともいえるほど、芸術的な作品が多く存在します。モチーフとは、作品全体のうちの一つの模様やパターンを指す言葉です。オヤのモチーフは、一般的に自然の素材をテーマにしたものがほとんどです。
多くは花や果実、樹木などの植物ですが、蝶や鳥などの生物や太陽、幾何学模様も取り入れられています。これらのモチーフには、それぞれ花言葉のようにさまざまな意味があります。実際には口に出して言えない女性の想いを、オヤのモチーフにこめて伝えているのです。
モチーフは、針と糸だけで花びらや葉の形を細部にわたって忠実に再現しているものも多く、発色の良い糸がさらに本物らしさを高めてくれています。ビーズが使われたオヤは、縁飾りだけでなくアクセサリーとして使われているものもあります。
生産技術の進歩によりオヤで使う糸の素材や色の種類も豊富になり、オヤの伝統を受け継ぎながらも、現代風のアレンジを取り入れた作品も多く見かけるようになりました。
鮮やかな色彩の糸をグラデーション使いしたモチーフは、さらに立体的な奥行きを表現でき、精巧緻密な技は多くの人の心を引き付けています。
オヤの種類
オヤの技法には数種類あり、伝わる地域によって編む針や使う材料が異なります。起源は同じながら、地域別に異なった形で伝承されて定着したことは非常に興味深いといえます。
なかには、難しい技術を必要とするものもあり、徐々に技術者が減少しているものもあるようです。以下に、オヤの種類を紹介しますので、ぜひ比較してみてください。
トゥーオヤ
現代のトルコで一番普及しているのがトゥーオヤです。日本では、かぎ針のレース編みとしておなじみです。かぎ状の編み針で、オヤ糸をかけたり引き出したりしながら編み進みます。
トルコでは、編み針を上から握るシェイクハンドの形で器用にスピーディーに手を動かすのが特徴です。
トゥーオヤは、糸をかけて引き抜く基本さえできれば、応用でさまざまな編み方ができるため、トルコの女性が初めて習得することの多い技法です。間違えてもすぐに解いて編み直せる点も、初心者に向いているといえます。
イーネオヤ
トルコのオヤといえば、イーネオヤを思い浮かべる人も多いでしょう。イーネオヤは、縫い針や刺繍針に糸を絡めてたるませ、小さなアーチやループを作って糸を引き締めることの連続でモチーフを作るニードルノットレースです。
編むというよりは結ぶ、結うというイメージに近い技法で、均等なアーチを連続で作り、花や幾何学模様をきれいに形作るためにはかなりの技術が必要です。トゥーオヤと違って間違っても簡単に解けないため慎重さが要求されます。
イーネオヤは、他の技法と比べても完成までにかなりの時間を要し高度な技術を必要とするため、技術者が減っています。
メキッキオヤ
メキッキオヤは、舟形の小さなシャトルを往復させて結び目を連続して作る技法で、見た目はタティングレースと似た仕上がりになりますが、編み方が異なります。
タティングレースでいう、スプリットリングを作るときの芯糸から目を移さない結い方が、メキッキオヤです。これにより、輪郭を縁取った中に糸を渡して面を埋められます。
ループの多い曲線的なモチーフはできますが、直線的な表現ができないため、デザインの幅が限られてしまいます。結び目の連続のため、硬い仕上がりになることが特徴です。
フィルケテオヤ
フィルテケオヤは、U字状のピンを使って糸をかけたものをかぎ針や縫い針でまとめたり交差したりしながら編み進む、ヘアピンレースの技法のオヤです。
上のメキッキオヤとは対象的に、糸を長めに伸ばして作るモチーフが多く、目が詰まっていないため柔らかく涼し気な印象があります。モチーフをしっかり形作るのには不向きで、デザインも限られています。
他の技法と比べて時間をかけずに完成させられることがメリットです。デザインに変化をつけるために、フィルケテオヤの土台に加えてイーネオヤでモチーフを作ることもあります。
ボンジュクオヤ
ボンジュクオヤは、オヤにビーズ(トルコ語でボンジュク)を使ったものです。トゥーオヤの技法や、メキッキオヤの技法など、どんな技法で編まれているものでも、ビーズが編み込まれていればボンジュクオヤと呼ばれます。
ビーズは古くから邪視除け、魔除けに効果があるといわれ、白のガーゼハンカチの縁取りに多く使われていたようです。現代では、チョーカーやブレスレットなどのアクセサリーとしておしゃれを楽しむ傾向にあります。
エフェオヤ
エフェオヤのエフェとは、エーゲ海地方の安全を守るための自警団の兵士たちを指す言葉という説や、自警団や地域のリーダーに与えられた称号という説など、さまざまな説があります。
現代では、勇敢である、正義感がある、有能である人たちを表現する言葉としても使われています。エフェオヤは、当時の兵士や指導者が身につけるお守りのような意味を持ちました。
危険な任務に当たる男性へ、安全祈願のために一目一目心を込めて編まれたオヤで、太陽や月、星を題材とした平面的で大きなモチーフがほとんどです。
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各地のオヤ
トルコ周辺の国でもオヤと似た系統の技法のレース編みがありますが、トルコ国内でも地域によって特徴にさまざまな違いが見られます。
同じ技法で作られていても、仕上がりの印象がかなり違うのも興味深い現象です。以下に、主な地域のオヤの特徴を紹介します。
ブルサのオヤ
トルコ北西部に位置するブルサはオスマン帝国の首都として栄え、今ではトルコ第4の都市でもあります。ブルサは、シルクロードの西端にあるシルクの産地として有名です。
ブルサでは、シルクのやわらかな細い糸でイーネオヤが作られています。天然シルク糸の特徴は、目の細やかな繊細な作品が作れることです。ブルサで作られるオヤは、小さく愛らしい花のモチーフが並び、上品でやわらかなイメージの作品がたくさんあります。
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キュタフヤのオヤ
キュタフヤは、トルコの北西部に位置する都市で、トルコタイルや陶器の産地としても有名です。キュタフヤのタウシャンルで作られるオヤは、茎や枝にワイヤーを使って作られているのが特徴です。
ワイヤーを使ったものは「チティオヤ」と呼ばれています。技法は縫い針で繊細に編むイーネオヤです。極細のワイヤーにシルク糸を丹念に巻き付け軸とするため、大きめのモチーフでも形よく立体的に仕上がります。
大きくゴージャスな花モチーフは1個だけでブローチとして使用できます。
アイドゥンのオヤ
トルコの西部、エーゲ海地方に属するアィドゥンには、小さいものから大きいものまで、時代により素材や緻密さが多種多様なイーネオヤの作品が現存しています。
モチーフのデザインは、太陽を幾何学模様で表したものなど色彩豊かで込み入ったものが多く、時間をかけて仕上げた作品が多く見られます。花モチーフもリアルで、大きく立体的で華やかなのが特徴です。
アイドゥンのイーネオヤは王道としてコレクターに人気があり、アンティーク作品には高値がついています。
オデミシュのオヤ
トルコ西部のオデミシュは養蚕が盛んで、女性たちが繭から引いたシルク糸を染めてオヤを作っています。オヤモチーフはパステルカラーや草木染めの優しい色合いのものが多く、全体としては小ぶりで可憐な製品が多いことがオデミシュ産のオヤの特徴です。
地域のリーダーとなるエフェが被る男性用のオヤは、一つのモチーフが10cmほどにもなる大ぶりのものもあり、形を保持するための芯として馬の尻尾が使われています。
各地のオヤスカーフ
トルコでは街中でスカーフを身に着けない女性も見かけますが、モスクではスカーフを身につけるのが基本で、旅行者用にもスカーフを貸し出しているほどです。
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スカーフは一人あたり何枚か所有していて、スカーフの生地やデザイン、オヤモチーフなどに変化をつけておしゃれを楽しんでいます。
スカーフは、信仰に対する考え方、年齢、地域などによってもかぶり方が異なります。そのため、オヤスカーフのモチーフの並び方にも違いが見られるのです。
ベルガマ
トルコのエーゲ海地方のベルガマは、世界遺産の遺跡などの歴史的建造物が人気の観光地です。ベルガマのオヤスカーフの特徴は、スカーフの縁取りが周囲を一周していないことです。
スカーフは通常、対角線で2つに折って三角形にしてからかぶります。三角形に折った部分の内側は外からは見えないので、その部分にはモチーフがついていません。
4辺あるところを3辺分しか編む必要がなかったので、3枚作る手間数で4枚できるわけですから合理的といえるでしょう。
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コンヤ
コンヤはトルコのアナトリア地方の都市で、宗教舞踊のセマーが有名です。ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。コンヤのオヤスカーフも、必要のないところにはオヤをつけない合理的なものです。
スカーフの両端の耳部分は、ほつれる心配がないためそのままにし、カットした2辺をほつれないようかがるためにオヤを編み付けています。
コンヤのオヤスカーフは、敬虔なイスラム教徒や既婚者の中年女性に見られるかぶり方で美しく見える工夫がされています。輪にした部分が顔周りにくるのではなく縁部分が顔周りにくるため、オヤが顔周りを飾り華やかにしてくれる巻き方です。
この巻き方なら生地の耳部分が表から見えないため、オヤで飾る必要がありません。そのためコンヤのオヤスカーフは、顔周りの邪魔にならないように小さめのオヤが控えめに付けられています。
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オヤの編み方
オヤは、材料が揃えば簡単に始められます。オヤ専用の特別な道具を必要としないので、まずは身近にある材料でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ここでは、オヤの始め方や編み方を説明します。
必要な道具
イーネオヤに必要な道具
- 刺繍針か毛糸針
- レース糸または刺繍糸など
- 練習用の適当な大きさの布
- 糸切りバサミ
- ライター
- 編み図
ここでは、昨今注目されているイーネオヤを作るのに必要な道具を紹介します。針は、布を縫う普通の縫い針も使用できますが、針穴が大きめの刺繍針や毛糸針の方が針先も丸く安全で扱いやすいでしょう。
土台とする布に針が通れば何でも良いです。糸は、オヤ専用の糸が最適ですが、本格的な作品作りの前なら、レース糸、刺繍糸などで練習できます。
何度か練習するうちに、滑りの良い糸が編みやすいのか、滑らないほうがいいのかなど、糸の太さなどにも好みが出てくると思いますので、自分に適したものを用意してください。
ただし、針穴は選んだ糸が通るだけの大きさが必要なので注意してください。糸に対して針穴が大きすぎても、滑りやすい糸だと抜けやすくなってしまいます。
糸切りバサミは刃先が細く鋭いものがおすすめです。ライターは、切った糸先を火で炙って溶かして、糸が解けないようにするために使います。初心者向けのイーネオヤの編み図も必要です。
YouTubeなど動画で編み方が説明されているものもありますが、作り方の一部だけであったり、手元が見えにくかったりするものも。イーネオヤの編み方の本に掲載された編み図があるとよいでしょう。
編み方なども図解されていますので、理解が早いと思います。日本でもいくつか書籍が販売されています。また、イーネオヤに必要な道具一式が揃ったキット販売を利用するのも便利です。
手順
イーネオヤは、糸玉から糸を切り取って使います。最初の練習用には、50cm程度が長すぎず扱いやすいでしょう。最初は目を均等に作る練習からです。
土台の布の上端を短く山折りにし、表を見て上から1~2mm下がった場所に針を指して、針の長さの半分ほど針先を出します。
糸の先が針とクロスになるように、糸先が左にくるように針の上に重ねます。糸端と針を左手で固定し、針穴にかかっている糸を反時計回りに針先に2周させてください。
針を引き抜き、布の上端ギリギリにしっかりと結び目を作ります。1mm開けて右に針を指し、次は針先に糸を1周させ引き抜いて再度結び目を作ります。
このときに、縫い目の間に渡る糸を引っ張りすぎず、自然なアーチ型になるように。これを繰り返していくつかのアーチができたら、その上にさらにアーチを作って模様を作ります。
このときに、アーチを往復させたり、最初の目に糸を渡して同方向に進んだり、作りたいモチーフによってさまざまな編み方があります。
こちらの動画は立体的な編み方になりますが、編み進むイメージをつかむのに参考になるでしょう。
オヤのはじめ方
オヤを始めるにはいくつかの方法があります。昨今、日本でもオヤの細かな手仕事が注目されており、書籍や講座、動画など多方面でオヤに触れる機会があります。
特に、オヤのカラフルで美しい繊細なモチーフは画像でも見栄えがするため、SNSやフリマアプリなどで見かけることも多くなりました。
今までに触れたことのない技法に興味を持って、オヤを始める人も増えているようです。オヤの始め方や、それぞれのメリットとデメリットを紹介しますので、自分に合った方法を見つけるための参考にしてください。
キットを購入する
オヤの作品作りに必要な道具がセットされたキットが販売されています。編み図、作品を仕上げるのに必要な道具と、必要な分量の糸があらかじめセットになっているので便利です。
カラフルなモチーフを作る場合、それぞれの色の糸玉を何個も用意しなければなりませんし、アクセサリーならパーツやビーズなども必要になります。
しかし、キット販売なら、必要な分だけが揃っているので無駄にならないのがメリットです。一つの作品を作りながら基礎から学べるのでおすすめです。
初心者向けの作品から初めてステップアップしていくとよいでしょう。ただし、作り方の説明は簡易的なものもあり、わからないところは自分で調べながら進めなければならない点がデメリットです。
トルコのオヤ糸屋さん
トルコのオヤ糸屋さんは、トルコのオヤスカーフやアクセサリー、オヤを作るための材料など、思わず目を奪われてしまう魅力的な商品が豊富に販売されています。トルコからの輸入となり送料もかかるため、大量に仕入れる業者向けの取引が多い印象。
商品を吟味して大量に購入したいなら輸入がおすすめですが、できるだけ安く購入したいときは同店のIN JAPANのショップからの通販がおすすめです。超初級さん向けから中上級さん向けまで、さまざまな作品のキットも入手できます。
フェリシモ
フェリシモでは、イーネオヤのネックレスの完成品を1本単位で販売しています。まずは、完成品の見本を見てみてから作れそうかどうか考えたいという人にもおすすめです。この他にも、ガラスビーズを使ったラリエットも販売されています。
オヤは難しそうという方には、トルコタイルの色使いの配色がおしゃれな、レース針2号で編むモチーフのキットはいかがでしょうか。少しずつ編み進めて繋げれば、ソファーカバーやベッドカバーの大作も夢ではありません。
こちらで基礎を学べば、トゥーオヤも作れるようになるでしょう。
YouTubeで学ぶ
YouTubeの動画ではさまざまなハンドメイド作家たちが、作り方を動画で紹介しています。トルコ人の方と思える動画も見つかりますので、まずは目を通してみるとよいでしょう。
自分にできそうかどうかの判断ができると思います。かなり詳細・丁寧に説明している動画もあるので、自分のレベルに合ったオヤの動画を探してみてはいかがでしょうか。
文字や図解で見るよりも、やはり動画で手先の動きがわかり理解が早いのが動画のメリットです。細かい編み目も、画質が良ければハッキリと見えます。
ただし、自分が知りたい部分をピンポイントで解説した動画が見つけられないこともあり、動画だけで納得の行く作品を作れない点がデメリットでしょう。
書籍で学ぶ
オヤの編み方の書籍で独学する方法もあります。基礎的な技法が図解や写真などで紹介されているので、自分のレベルに合った作品を一つずつ作ってみるとよいでしょう。
最近では、日本語のオヤの本も何冊か出版されています。なかには、本格的な技術指導書もあるので、理解しやすそうな本を探して研究するのもおすすめです。
また、現地のトルコの本で編み図を見たい方は、こちらからトルコの本を取り寄せることもできます。
絶版となっているものは価格が高いですが、難易度の高い本場のオヤがどう作られているのか参考になるでしょう。ただし、初心者が本だけでオヤを習得するのは難しいと言わざるを得ません。
作りたい作品を選んでチャレンジできるメリットはありますが、本は基本的に、基礎を学んだ人の作品のバリエーションを広げるためのものと考えたほうがよいでしょう。
トルコ伝統のレース編み・イーネオヤでつくるちいさな雑貨とアクセサリー:ビギナーから安心のわかりやすい解説つき
こちらは縫い針を使うイーネオヤのモチーフの作り方について、初心者向けに解説された本です。上で紹介した、ブルサ、アイドゥン、オデミシュなどの地域別に代表的な形のクラシカルなモチーフの作り方が紹介されています。
オヤの糸や針についての解説、基本の編み方など、初心者向けの内容も参考になるでしょう。ヘアゴムやブローチ、ピアスやポーチなどの現代的にアレンジされたモチーフの作り方も掲載されています。
https://www.amazon.co.jp//dp/4416516002/
トルコの伝統手芸 縁飾り(オヤ)の見本帳 (暮らし充実すてき術)
こちらは、トルコ各地のさまざまなオヤの見本が大量に紹介されている本です。見本帳というだけあって、585種類もの美しいカラフルなモチーフの写真と解説が掲載されていて、眺めるだけでも価値があります。
同じトルコ国内でも地域別にかなり特徴に違いがあり、オヤの奥深さに驚かされることでしょう。それだけでなく、イーネオヤの基本の編み方、トゥーオヤのネックレスのほか、ボンジュクオヤとスパンコールを使ったオヤの作品作りまででき、オヤについてとことん知りたい方におすすめです。
https://www.amazon.co.jp//dp/4471400967/
教室へ通う
オヤに興味を持って本格的に技術を身につけたい方は、教室に通って指導者のもとで学ぶことをおすすめします。教室なら、カリキュラムに沿って基礎から無理なく技術を習得できます。
独学で見よう見まねで作品を作ることもできますが、間違って覚えたり、コツが分からずきれいな編み目にならなかったりしがちです。わからないことが出てきても、自分で時間をかけて調べなければなりません。
しかし、教室なら指導者にすぐ尋ねられますし、スムーズな針の動かし方や糸の引き加減、仕上げ方まで丁寧にチェックしてもらえます。課題に沿って一つずつステップアップでき、確実に技術が身についた達成感と満足感も得られるでしょう。
以下に、現在開催されている教室を紹介します。
トルコ文化センター
トルコ文化センターは、日本にトルコのさまざまな魅力を紹介するための施設で、東京都港区芝大門にあります。トルコ語、伝統音楽や楽器、芸術などの講座を通じて、幅広くトルコを知ってもらうことを目的とした交流の場です。
トルコ旅行についてのアドバイスも受けられます。手芸教室では、イーネオヤとトゥーオヤがそれぞれ学べます。初級から上級のクラスまであるので、無理なく自分のペースに合わせてステップアップできるでしょう。有料の体験レッスンも可能です。
https://www.turkeycenter.co.jp/oya/
ヴォーグ学園
ヴォーグ学園といえば、編み物指導者養成校として開校以来、現在では多種多様のハンドメイド講座を展開している大手の教室で、東京校、横浜校、名古屋校、心斎橋校、天神校があります。
同校では、縫い針を使うイーネオヤ、かぎ針を使うトゥーオヤ、ビーズを使うボンジュクオヤなどが学べます。ただし、通う場所やコースによって内容や受講料が変わりますので事前にお問い合わせください。
人気の講座はすぐに定員になってしまいますが、キャンセル待ちも受け付けています。
https://www.voguegakuen.com/course.php?prc=detail&f_school_id=6&sid=17689&f_list_icon=1&f_search_kind_id=4
https://www.voguegakuen.com/course.php?prc=detail&f_school_id=3&sid=17540&f_list_icon=2&f_search_kind_id=14
ヨークカルチャーセンター大船
神奈川県鎌倉市大船のイトーヨーカドー1階にあるヨークカルチャーセンター大船では、先述のトルコ文化センターの講師によるイーネオヤとトゥーオヤの講座があります。月1回のクラスで、スカーフの縁飾りやアクセサリーを作ります。
こちらのカルチャーセンターは、永久会員制なので一度でもどこかのカルチャーセンターで受講したことがある方は、入会金不要です。また、半額キャンペーンや割引キャンペーンなどもあるので、お得に受講したい方にもおすすめです。
https://www.culture.gr.jp/detail/oofuna/itemview_2_903010196.html
産経学園
産経学園は、日本で最初のカルチャーセンターとして歴史が古く、自由が丘校、吉祥寺校、新百合ヶ丘校、ユーカリが丘校、大阪校、奈良登美ヶ丘校があります。
自由が丘校では、各種レースに造詣が深く指導員の資格を持つオヤの会講師がイーネオヤの複数のクラスを担当。月1回×3回を1期として、3ヶ月ごとに申込みを受け付けています。
一人ひとりのレベルに合わせて対応してもらえますので、お近くにお住まいの方はぜひ見学してみてはいかがでしょうか。
https://sankeigakuen.co.jp/search/detail.php?SC=16&CC=465522
通信講座を受講する
オヤは、ここ最近のハンドメイド人気で少しずつ知られるようにはなりましたが、指導できる講師がまだまだ少ないのが現状です。
オヤを習いたくても、全国の限られた地域でしか受講できないため、本や動画などで試行錯誤しながらチャレンジしている方もいるでしょう。ある程度かぎ針やレース編み、タティングレースなどの経験がある方は、比較的スムーズに始められるのではないでしょうか。
ただし、縫い針1本で編むイーネオヤは、現地トルコでも伝承者が減っているほどの難しい技能を必要とします。遠くまで通えない方は、通信講座なら基礎から正しい技術が習得できるのでおすすめです。
CRAFTING
CRAFTINGは、ヴォーグ学園やトルコ文化センターなどで指導経験のある講師が手がけた動画によるレッスン教材です。双方向の通信ではないので、止めたり巻き戻したりしながら好きな時間に自分のペースで進められるでしょう。
コース価格にはレッスン動画のほか、編み針やビーズ、糸などの教材セットが含まれています。動画は最大2年間視聴可能で、講師による90日間のサポート付きです。
レッスン内容はビーズの通し方から始まり、最終的には6種類のおしゃれなアクセサリーが作れるようになります。
Çeyiz(チェイズ)
Çeyiz(チェイズ)とは、トルコ語で花嫁のために準備されたお嫁入り道具を指します。お嫁入り道具に施されるイーネオヤの基礎が学べる初心者向けの講座です。
イーネオヤで挫折しやすい、目を揃えてきれいに編むことを重点的に、基礎テクニックから学べます。対面レッスンでも通信レッスンでも同じカリキュラムで受講できます。
しおり、サシェ、ブローチ、マスクチャーム、耳飾りの課題を通して、無理なく楽しみながら基礎の技法やきれいに作るコツが習得できるでしょう。
http://badem.skr.jp/cheyiz/cz-sub/igne-5.html
オヤ製品が買える場所
一針ずつ繊細な手仕事で仕上げたオヤ製品は、トルコ以外に日本でも手に入ります。豊富なオヤ製品やトルコの雑貨などが入手できる国内の販売店と、トルコでオヤ製品やオヤの材料を選ぶならぜひ足を運んでほしい場所を紹介します。
日本国内でオヤ製品を販売しているお店
国内でオヤ製品を取り扱っている通販サイトもあります。オヤだけでなくトルコの手工芸品や、雑貨を取り扱う実店舗もあります。
製品の在庫が店頭にない場合もあるため、オヤ製品のたくさんの種類が見られるオンラインショップがおすすめです。商品の拡大写真で繊細なモチーフの細部も見られます。
ミスタンブール
ミスタンブールは、トルコ移住歴のある日本人オーナーが厳選したトルコ雑貨のオンラインショップです。こちらは、オヤがあしらわれたスカーフやアクセサリーの完成品をはじめ、絵画や陶器、コスメや古銭までトルコに関するさまざまな商品を取り扱っています。
オヤの花モチーフも4個セットで販売されているので、スカーフやハンカチに縫い付けたり、アクセサリーに加工したりとオリジナルの作品が作れます。オヤを練習中で、本物を手に入れて参考にしたい人にもおすすめです。
ガラタバザール
ガラタバザールは、東京都中野区の青梅街道沿いにショールームを持ち、オンラインショップも手がけているお店です。トルコ絨毯を中心に、ランプや家具、陶器やアクセサリーを取り扱っています。
美しい色糸を使ったオヤのラリエットや華やかなネックレス、立体バラの花モチーフのイヤリング、オヤのスカーフなど品数も豊富です。ショールームは予約制なので、お出かけの際は事前に必ず電話やメールでお問い合わせください。
https://www.galatabazaar.com/products/list?category_id=460
人気のトルコ雑貨!インテリアや日用品などのおすすめアイテムをご紹介
トルコでオヤ製品を買うなら
トルコでなら、一点ものの手づくりのオヤ商品を手にとって気に入ったものを購入できます。イスタンブールに訪れたら必ず行きたいのが、世界最大級の歴史ある市場「グランドバザール」でしょう。
約4,000ものお店がひしめきあい、非常に活気にあふれている空間です。オヤのスカーフやアクセサリーをお土産に購入する人も多く、さまざまな技法で作られたオヤ製品に出会えます。
グランドバザールの一角には手芸用品専門店が並ぶゾーンがあるので、オヤに使う大量の糸やビーズ、レース針などが激安で購入できます。
グランド・バザール徹底解説!トルコ観光で絶対訪れたい巨大市場の魅力
トルコで本場のオヤに触れよう
トルコでは、今でもお茶を飲みながら女性たちが楽しんでオヤを編む光景が見られます。祖母から母へ、母から娘へ、何世代にもわたって脈々と受け継がれていく伝統手芸の奥深さは、ここでは説明しきれません。
ぜひ現地トルコに出かけて、本場のオヤに触れてみてください。トルコでなら新旧含めたくさんのオヤ作品に出会えるでしょう。
本場オヤのスカーフやアクセサリーは、お土産としても大人気です。どれも素敵でお気に入りの作品を選ぶのに迷う人が多いので、時間をたっぷりとって、じっくり鑑賞してくださいね。
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