ターキッシュバンはトルコ原産の泳ぐ猫!魅力や飼育上の注意は?
更新日:2023.04.03
投稿日:2022.02.22
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みなさんは「ターキッシュバン」という猫をご存じでしょうか。真っ白な毛並みとアーモンド型の琥珀色の瞳が美しく、猫なのに水に抵抗がないという性格の珍しさが世界で人気です。ただ、希少種ゆえ日本国内ではあまり流通しておらず、ペットとしては知る人ぞ知る存在です。そんなターキッシュバンの生まれ故郷はトルコ。
ターキッシュバンはどんな猫であり、どんなエピソードがある猫なのか、またターキッシュバンが生まれ、街中の至る所で猫が歩いているトルコの見どころについて解説します。
Contents
ターキッシュバンのルーツはトルコ!どんな猫?
ターキッシュバンはトルコ東部に紀元前から生息していたといわれ、美しい毛の模様や泳ぐのが好きなところなど、独特の魅力をもっています。外見や性格のほか、ターキッシュバンとはどのような猫なのか解説します。
ターキッシュバンの特徴
ターキッシュバンの外見で最大の特徴とされるのが、「バン・パターン」とよばれる毛の色。頭部の耳周辺と尻尾以外は全身がきれいなホワイトです。
丸顔で、頭部に間隔の狭い三角の耳、大きなアーモンド形の瞳は明るい琥珀色かブルーで、オッドアイであることが多く、気品を漂わせています。
体重は標準4~8キロと中型よりやや大きめ。長く筋肉質のしっかりとした胴体で、被毛はカシミアのように柔らかくシングルコート、寒暖差の大きな地域出身のため、夏は短く、冬にはふさふさになります。
ターキッシュバンの性格
ターキッシュバンは飼い主に忠実で愛情深く、人間だけでなく犬にも懐く従順さを持っています。とても賢く冷静で、しつけも楽といわれます。
野生の感覚も残っているため、飼い主との長時間のスキンシップは少し苦手なところもあるようですが、基本的には自立と依存のバランスがよく、大らかで安定した性格です。
ターキッシュバンは水を怖がらないうえ、泳ぎが得意!
ターキッシュバンは「ターキッシュ・スイミングキャット(トルコの泳ぐ猫)」とも呼ばれます。猫には珍しく、水を怖がらず、泳ぎや水遊びが大好きです。
ターキッシュバンがなぜ水を好むようになったのか、はっきりとした理由は分かっていません。ヴァン湖周辺は夏になると気温が38度近くまで上がるので水に入って涼むようになったとか、湖の魚を採って餌にしていたといった説があるようです。
ターキッシュバンはトルコ原産!いつごろ日本に?
ターキッシュバンはトルコ東部にある最大の湖「ヴァン湖」周辺に古くから生息している古代種。同じくトルコ原産の「ターキッシュアンゴラ」「ヴァン猫」とともに希少種であり、トルコでは現在、国宝級の猫として血統が保全されています。
ターキッシュバンに似た猫の姿は紀元前に作られたヒッタイト王国の貴金属やローマ帝国時代の記録物にも描かれており、遅くとも12~13世紀にはその存在が知られていたとみられています。
ヨーロッパに広まったのは1955年にトルコを訪れたイギリス人記者とカメラマンがヴァン湖で泳いでいるところを見つけ、驚いて母国に持ち帰ったのがきっかけとされます。1970年にはアメリカにも持ち込まれて血統登録機関のCFAやTICAに登録され、80年代から計画的な繁殖が行われるようになりました。
日本で知られるようになったのもこの頃と考えられますが、希少種のため、まだまだ一部の愛猫家だけに認知される存在です。
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ターキッシュバンは「ノアの箱舟」に乗った?
旧約聖書に登場する有名な物語「ノアの箱舟」。箱舟がアララト山の頂上に着いたとき、箱舟から飛び降りた2匹の猫が泳いで岸へと上陸し、ヴァン湖に住み着いたとありますが、この猫がターキッシュバンの先祖とされます。
箱舟から飛び降りたとき、尻尾が箱舟の扉に当たり、頭には神様の手が触れて色が着き、「バン・パターン」の模様が生まれたといわれます。
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ターキッシュバンの飼い方|「泳ぐ猫」ならではの注意点とは?
由緒があり、美しい姿と珍しい特徴を兼ね備えたターキッシュバン。自分でも飼ってみたいと思われた方も多いのではないでしょうか。ここからは、実際にターキッシュバンを手に入れる方法や飼い方の注意点を解説します。
価格は約40万円とお高め。里親募集は?
日本国内では現在、ターキッシュバンを入手する主な方法には、ブリーダーから購入したり、里親募集に応募したりなどがあります。ただ、トルコでも希少種とされていて輸出に制限があるうえ、日本でも高い人気を誇るため、入手困難な猫のひとつです。
このため、価格も30万~40万円前後と高額になります。購入を考えている場合は、ブリーダーに子猫の情報や出産予定などを確認するようにしましょう。まれにではありますが、動物愛護団体で保護したものなどが里親募集に出されることもあります。
広い飼育スペースでキャットタワーは頑丈なものを
ターキッシュバンは頭がよく、性格も落ち着いているので猫を飼うのが初めての方にもおすすめです。束縛が強かったり、狭いところに閉じ込められたりするのを嫌うので、広めの飼育スペースを用意しましょう。
特に子猫の頃は、高いところに飛び乗ったり、虫を追いかけたりして活発に動き回るのが大好きです。飼い主さんも猫じゃらしなどで一緒に遊んであげるといいでしょう。
成長するとやや大きめの体格になるので、キャットタワーは頑丈で安定したものを選ぶようにしてください。
適度なブラッシングを。オッドアイならではの障害も
ターキッシュバンはアンダーコートをもたないシングルコートで、毛玉ができにくく、お手入れも比較的簡単です。ただ、被毛は絹のように繊細でもつれやすいため、週に何回かはブラッシングやコーミングを行いましょう。
遺伝的な病気の心配はあまりないとされますが、毛が白くオッドアイの猫は聴覚障害になりやすいといわれるため、注意が必要です。
トイレや風呂のふたは閉めて!
「泳ぐ猫」といわれるターキッシュバンですが、水を恐れない性格が思わぬ事故につながる恐れもあります。トイレやお風呂、洗濯機など、水がたまっている場所を使わないときはきちんとフタを閉めておきましょう。
ターキッシュバンの被毛は皮脂に包まれ水を弾くようになっていますが、皮脂が過剰に分泌されると皮膚病の原因にもなりますので、定期的なシャンプーが必要です。
トルコ原産のペットはターキッシュバン以外にも
ターキッシュバンを生み出したトルコには、ほかにもターキッシュアンゴラやヴァン猫といった希少種とされる猫やアンゴラウサギなど、ペットとして人気の動物が存在しています。ターキッシュバン以外のトルコ原産の動物たちを紹介します。
トルコの至宝!ターキッシュアンゴラ
ターキッシュアンゴラ(アンカラ猫)は、トルコの首都アンカラ周辺を原産地とする猫です。アンゴラとはアンカラの古名です。ターキッシュバンと同じく希少種とされ、トルコでは国宝と称されます。
ターキッシュアンゴラも優美な見た目が魅力で、ペットとして世界で高い人気があります。ターキッシュバンとの違いは、ターキッシュアンゴラのほうが細くて体が一回り小さく、毛並みも白だけでなく様々な種類があることです。泳ぎも得意ではありません。
ターキッシュアンゴラも希少種のため手に入れるのは難しく、ペットショップや里親募集ではほとんど見かけません。ブリーダーから入手するのが一般的ですが、価格は30万円以上とターキッシュバン同様に高額です。
国外持ち出し禁止!日本で飼えないヴァン猫
もう一つ、トルコで希少とされるのが、トルコ・ヴァン県の山岳地帯に古くから生息していたヴァン猫です。白一色の被毛とオッドアイをもつヴァン猫は、現在絶滅の危機にあります。このため、国外への持ち出しが禁止されていて、残念ながら日本でペットとして飼うのは不可能です。
長い毛が特徴のアンゴラウサギ
もふもふした毛並みが魅力的なアンゴラウサギは、ターキッシュアンゴラと同じく首都アンカラ周辺を原産地とするウサギの一種です。
全身が10センチほどの被毛に覆われ、長毛種といわれるウサギのなかでも最も毛が長いとされます。ペットとして飼うときは手入れが重要になり、通常なら週に2~3回、換毛期には1日に2~3回のグルーミングが必要です。
被毛は天然繊維として毛織物の材料に使用されてきました。素材として使われるときは白が多いですが、アンゴラウサギ自体は灰色や黒、褐色などさまざまな毛色のパターンが存在しています。
ターキッシュバンのふるさと、トルコのヴァンはどんなところ?
ここまでターキッシュバンの魅力を紹介してきました。その生まれ故郷であるトルコに興味を持たれた方もいるでしょう。ここからは、ターキッシュバンのふるさと、トルコのヴァンとはどんなところか紹介します。
ルーツはトルコの国境の都市
ターキッシュバンとヴァン猫の故郷とされる都市ヴァンは、トルコ東部のイランとの国境付近に位置し、トルコ最大の湖であるヴァン湖があります。
紀元前4000年頃に世界で最も古い都市文明が栄えたとされ、古くからさまざまな国や民族の侵攻を受け、支配者を何度も変えてきました。このため、ヴァンには遺跡や教会、城塞などたくさんの歴史的建造物が残されています。
ヴァンのみどころ トルコ最大の湖はトルコブルーに輝く
トルコ最大の湖で、その大きさは琵琶湖の7倍を誇るヴァン湖は、ヴァンの見どころの一つです。溶岩流のせき止めによってできたもので、流入する河川はあるものの、流出する河川はありません。
湖水は塩分濃度30%の強アルカリ性。快晴の日には太陽の光を受けた湖面が鮮やかなトルコブルーに輝き、とても美しい景観を見せてくれます。
ヴァン湖とアクダマル島
ヴァン湖に浮かぶ島の中で最も有名なのがアクダマル島です。島の高台からは上ると湖と教会を一望できます。
島内には、10世紀に建造されたアルメニア教会があります。外壁にはアダムとイヴの物語のように旧約聖書をモチーフにした多種多様なレリーフが施され、内部にはわずかですがフレスコ画などが残されています。
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古代ウラルトゥ王国遺跡
遥か昔、ヴァンに花開いた古代文明の存在を証明するのが古代ウラルトゥ王国遺跡です。ウラルトゥは紀元前9~6世紀頃、ヴァン湖付近で栄えた王国。その領域はメソポタミア北部からコーカサス南部の広大な地域にわたり、農業用運河や城塞建築、冶金などの高い技術を持っていました。
18~19世紀にかけて発掘調査が行われ、青銅製品や金・銀細工、楔形文字の碑文などが発見されています。現在、遺跡の大部分は土に埋まっていますが、穀物倉庫を掘れば当時の小麦の粒が出てくるほど、まだたくさんの遺物が埋まっています。寺院跡に行けば楔形文字を間近に見ることもできます。
ヴァン城
ヴァンの中心から約5キロの場所に位置するヴァン城は、この街を象徴する観光スポットです。ヴァン城は紀元前834年にウラルトゥ王国のサルドゥール1世によって建てられました。
西洋風のお城とは異なり、山肌の石をそのまま削って作られたかのような、城が周囲の地形と一体になったように見える独特な外見が特徴です。
ターキッシュバンのふるさと、歴史ロマンあふれるトルコを訪ねてみよう
ターキッシュバンは、優美な被毛のパターンや、泳ぐのが好きなところなど、たくさんの魅力をもった猫です。希少種のため、日本国内では高価格で入手も難しいのですが、手に入れられた方はぜひ、この記事を参考にターキッシュバンとの生活を楽しんでみてください。
ターキッシュバンの生まれ故郷にも興味をもった方は、ぜひ一度、トルコへと足を運んでみてください。紀元前からの歴史をもつヴァン湖周辺には、長い時間の中で交錯した民族、宗教の遺跡や建造物が残されており、訪れる者に悠久の歴史を感じさせてくれるでしょう。ぜひ、ヴァン湖とヴァンの街を目的地に加えてみてください。
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