トルコの世界遺産全19ヶ所を大紹介!イスタンブール歴史地域からカッパドキアまで
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.06.27
Views: 4656
イスタンブールの歴史地域にギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群、トロイの古代遺跡から今注目のギョデクリ・テペまで。トルコには魅力的な世界遺産が19ヶ所もあり、観光客からも人気を博しています。
そこで今回は、トルコが誇る世界遺産全19ヶ所を一挙大紹介!各スポットの見どころはもちろん、トルコ旅行のプロによる、トルコの世界遺産巡りのポイントも伝授します。
Contents
トルコの世界遺産一覧
トルコにはユネスコ世界遺産が全部で19ヶ所あります(2022年5月現在)。まずは一覧で、どんな世界遺産があるか確認してみましょう。
世界遺産名 | 分類 | 登録・拡張年 |
---|---|---|
イスタンブール歴史地域 | 文化遺産 | 1985年 |
ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群 | 複合遺産 | 1985年 |
エフェソス | 文化遺産 | 2015年 |
ギョペクリ・テペ | 文化遺産 | 2018年 |
ヒエラポリスとバムッカレ | 複合遺産 | 1988年 |
トロイの古代遺跡 | 文化遺産 | 1998年 |
ベルガモンとその重層的な文化風景 | 文化遺産 | 2014年 |
セリミエ・モスクと複合施設群 | 文化遺産 | 2011年 |
ハットゥシャ(ヒッタイトの首都) | 文化遺産 | 1986年 |
サフランボル市街 | 文化遺産 | 1994年 |
ブルサとジュマルクズック (オスマン帝国発祥の地) |
文化遺産 | 2014年 |
ネムルット・ダー | 文化遺産 | 1987年 |
ディヴリーイの大モスクと病院 | 文化遺産 | 1985年 |
ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観 | 文化遺産 | 2015年 |
クサントスとレトーン | 文化遺産 | 1988年 |
チャタルホユックの新石器時代遺跡 | 文化遺産 | 2012年 |
アニの古代遺跡 | 文化遺産 | 2016年 |
アフロディシアス | 文化遺産 | 2017年 |
アルスランテペの遺丘 (アナトリア最古の集落都市) |
文化遺産 | 2021年 |
トルコの世界遺産全19ヶ所を一挙大紹介!
ここでは、トルコの世界遺産全19カ所をそれぞれ紹介していきます。見どころもピックアップしていますので実際に訪れる時に活用してくださいね。
イスタンブール歴史地域
イスタンブールは、トルコ北西部にあり、ヨーロッパ大陸とアジア大陸にまたがるトルコ最大の都市。ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国の首都となった歴史を持つ都市で、その時代ごとの支配者達が建てさせた、各時代を代表するような素晴らしい建築物が多く存在します。
ヨーロッパとアジア、イスラム教とキリスト教など異なった文化や宗教が混在し続けてきた場所だからこその豊かな遺跡や文化財が多数あり、「ヒッポロドーム、アヤソフィア、アヤ・イリニ、キュチュク、アヤソフィアモスクを含む考古学地区」、「スレイマニエ保護区」、「ゼイレッキ・モスク及び付近を含むゼイレッキ保護地区」、「歴史城跡地区」の4つの歴史地域が、1985年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/356
イスタンブール歴史地区の見どころ
- アヤソフィア:キリスト教国だったビザンチン帝国の主聖堂
- トプカプ宮殿:1299~1922年までオスマントルコ帝国のスルタンが暮らした宮殿
- スレイマニエ・モスク:トルコ史上最高の建築家ともいわれるミマール・スィナンによって設計されたモスク
- ブルー・モスク:オスマン帝国のアフメット1世が建てさせたモスク。青を基調としたタイルが敷き詰められている
- テオドシウスの城壁:5世紀初頭に東ローマ帝国の皇帝テオドシウス2世がコンスタンチノープル防衛のために築いた城跡。イスタンブールの旧市街を囲んでいる
- 地下宮殿:ビザンツ帝国時代に作られた、イスタンブール最大の貯水池
世界遺産イスタンブール歴史地域の見どころ解説!おすすめ観光名所
ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群
ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群はトルコのほぼ中央、アナトリア中央部の四方を山に囲まれた高原地帯にあります。1985年にユネスコ世界遺産に登録されていますが、自然遺産と文化遺産の両方の特性を兼ね備えているという理由から、世界でも珍しい複合遺産に分類されています。
自然遺産的な見どころは、点在する奇怪な岩層。約1,500万年前までは広大な内海だったこの場所に、数百万年前、アナトリア高原のエルジャス火山が大噴火したことにより火山灰や溶岩が堆積。長い年月のなかで雪や雨、太陽などの自然の作用で浸食され、現在のような姿が形成されたと考えられています。
文化遺産的な見どころは、キリスト教徒達が身を潜めたギョレメ渓谷に現存する約30の洞窟聖堂など。3世紀半ばのローマによるキリスト教の弾圧により、キリスト教徒たちが隠れ住んで信仰を守り続けた場所で36の地下都市が残っていますが、誰がいつ、なぜ作ったかなどは解明されていません。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/357
ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群の見どころ
- ギョレメ野外博物館、岩窟教会:信仰を共にした共同体の生活が営まれたギョレメの谷一体は野外博物館として管理されている
- カイマクルの地下都市:キリスト教時代のずっと前から存在する謎に包まれた地下都市
- パジャバー地区:「妖精の煙突」と呼ばれるキノコ岩群がみられる地区
- テヴレント渓谷:「らくだ岩」と呼ばれる奇岩がみられる渓谷
- ユルギュップ地区:「3姉妹の岩」と呼ばれる奇岩がみられる地区
カッパドキアはトルコの人気世界遺産!観光名所と旅行ツアーの楽しみ方
エフェソス
エフェソスは、エーゲ海地方にあるリゾート地クシャダスに存在した古代ローマ時代の古代都市。ローマ帝国時代には、アントニウス帝とクレオパトラも滞在したといわれる都市で、古代ローマ帝国では貿易の要衝でもありました。
エフェソスの遺跡は、初期キリスト教時代の公会議が幾度も行われるなど、歴史的にも重要な意義を持つ遺跡として文化遺産的価値を認められ、2015年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1018
エフェソスの見どころ
- ケルスス図書館:114~117年頃、古代ローマ時代に建設された図書館。12,000冊の巻き本が保管されていた
- 聖母マリアの家:マリアが晩年を過ごしたといわれる家。1961年にローマ法王ジョン23世がここを「聖地として巡礼すべき場所」と断言したことで、この家の信憑性に関する討論に終止符が打たれた
- 円形劇場:シマコスの時代にパナユルダゥの裾野を利用して造られた大劇場
- アルテミス神殿:イオニア建築の最高傑作とされる神殿で、世界七不思議のひとつにも数えられている遺跡
世界遺産エフェソスの歴史を徹底解説!ヘレニズムからローマ時代に栄えた謎多き古代都市
ギョペクリ・テペ
2018年にユネスコ世界遺産に登録されたギョペクリ・テペは、トルコ南東部のシャンルウルファの丘にある遺跡。地球上で最古の高度な文明とされてきたメソポタミア文明より7,000年も古い文明の遺跡であることが判明し、世界最古の宗教施設だったのではないかと推測されています。
神殿という大規模な建造物が造られていながら、周囲からは生活の痕跡がみつかっていないことなどから、農耕に先立ち宗教や儀式という概念を人間が有していた可能性も指摘されていて、人類の歴史の始まりを解明する上でも重要な遺跡として注目されています。
謎多き遺跡ギョペクリ・テペには世界中の旅人からも熱い視線が注がれていて『ナショナルジオグラフィック』の2020年版「ベストトリップ」リストの文化部門では、25の必見の観光先のひとつに選出されています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1572
ギョペクリ・テペの見どころ
- 円形神殿の発掘現場:屋根に覆われた発掘現場を、周囲をぐるりと一周しながら見学できる
- シャンルウルファ考古学博物館:世界最古のフルサイズの石像「ウルファマン」など、ギョペクリ・テペからの出土品が展示されている
ギョベクリテペ遺跡とは?謎多き世界最古のトルコの遺跡【世界遺産】
ヒエラポリスとパムッカレ
ヒエラポリスとパムッカレは、デニズリ市内から車で30分ほどの場所にある都市遺跡です。パムッカレはいくつもの世紀を経てできた石灰棚で、ヒエラポリスはパムッカレの近くの大地の中腹に広がるローマの古代都市。自然と文化、両方の側面での価値を有する場所であることから、1998年に世界でも珍しいユネスコ世界遺産の複合遺産に登録されています。
自然遺産的な見どころは、パムッカレの鍾乳石が織りなす自然の造形美。斜面を流れる温泉水に含まれる石灰分が石化したことでできた、鍾乳石の見事な棚が広がっています。一方で、紀元前2世紀にベルガモン王国が築いた古代都市ヒエラポリスは、ローマ時代に温泉保養地としても栄えたという歴史があり、その繁栄を彷彿とさせる遺跡を見学することができます。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/485
ヒエラポリスとパムッカレの見どころ
- 考古学博物館/2世紀に造られたローマ浴場跡は、現在は博物館としてヒエラポリスの出土品などを展示している
- アンティークプール:クレオパトラも泳いだとされる、ローマ時代の遺跡が沈む温泉プール
- ネクロポリス/トルコ国内最大規模を誇る古代墓地跡
- マルティリウム/八角形の聖堂
- 記念門/ハドリアヌスに捧げられた2つの塔がある門
パムッカレ-ヒエラポリスはがっかり世界遺産じゃない!観光の見どころ解説
トロイの古代遺跡
トロイの古代遺跡は、紀元前3,000年頃から紀元後500年頃にいたるまでの9つの時代が折り重なるように層をなす都市遺跡。トルコ北西部のチャナッカレ県にあるヒサルルクの丘に広がっています。
トロイアは、ホメロスの長編叙事詩「イリアス」の中にトロイア戦争の舞台として登場する古代都市で、長らく神話上の架空の物語として捉えられていましたが、1873年ドイツの考古学者ハインリッヒ・シュリーマンが遺跡を発見。その後の調査により、トロイアの実在が断定されました。
トロイア遺跡からは9つの時代の集落や城跡、神殿などが発掘されています。ギリシャ神話と伝説を蘇えらせた重要な遺跡として、1998年にユネスコ文化遺産に登録されています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/849
トロイの古代遺跡の見どころ
- トロイ博物館:貴重な出土品などを見学することができる、世界遺産登録20周年に建設された博物館
- 第2都市跡:シュリーマンがプリアモスの財宝を発見したといわれている場所
- 第6都市跡:東の塔と城壁跡がある場所
トロイ遺跡は歴史ロマンあふれるトルコの世界遺産!観光のポイントは?
ペルガモンとその重層的な文化景観
ベルガモンは、紀元前282年から約150年もの間栄えたベルガモン王国の首都だった古代都市。当時の文化や政治、科学の中心であり、羊皮紙発祥の地としても知られています。
ヘレニズム文化を基盤に発展し、ヘレニズム、ローマ、ビザンチン時代の重層的な歴史や文化を今に伝える遺跡が多数残されていることから、2014年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1457
ペルガモンとその重層的な文化風景の見どころ
- トラヤヌス神殿:華麗な大理石の列柱が見事な神殿
- ペルガモン図書館:エウメネス2世が建設した、学問都市ペルガモンの誇りを示す図書館。アテナ神殿の回廊に隣接されている
- 円形劇場とディオニソス神殿:アテナ神殿の西の斜面に展開するヘレニズム時代の劇場
- ゼウスの祭壇:ヘレニズム時代のペルガモンで最も重要とされる記念碑的建物
世界遺産ペルガモン(ベルガマ)の古代遺跡とは?トルコの人気観光スポット紹介
セリミエ・モスクと複合施設群
セリミエ・モスクと複合施設群は、ギリシャとブルガリアの国境に接するトルコ西部の街エディルネにある遺跡です。セリミエ・モスクとは、モスクを中心としたキュッリイェという複合宗教施設のこと。エディルネの街には、セリミエ・モスクを中心にイスラム高等教育機関だったマドラサや市場、図書館な跡などがあり、これらの遺跡群も含めて2011年にユネスコ文化遺産に登録されました。
セリミエ・モスクやマドラサ、アラスタバザールは、トルコ史上最も偉大な建築家ともいわれるミマール・スィナンによって建てられたもの。特にセリミエ・モスクはオスマン建築の最高峰ともいわれ、世界建築史の中でも特記に値すると評されています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1366
セリミエ・モスクと複合施設群の見どころ
セリミエ・モスクはオスマン帝国最高峰の建築であり、建設当時に生産がピークに達していたイズニック・タイルの装飾が美しいので必見です。
セリミエ・モスク|トルコ・エディルネにあるオスマン建築最高傑作の世界遺産
ハットゥシャ(ヒッタイトの首都)
ハットゥシャは、紀元前17世紀~13世紀に栄えたヒッタイト帝国の首都だった場所。1906年にドイツのヴィンクラーがこの遺跡を発掘したことで、長らく謎とされていたヒッタイト帝国の存在が明らかになりました。
ヒッタイト人は青銅器時代に最初に鉄を使用したことで知られる騎馬民族で、鉄や文字などの高度な文明を持っていたと考えられていて、遺跡からも楔形文字が記された粘土板が2万枚以上も出土しています。ハットゥッシャの遺跡は歴史的価値が高く、古代オリエント史においては絶対に外すことができない遺跡として、1986年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/377
ハットゥシャの見どころ
- 大神殿:ヒッタイト期を代表する建築物で、現在は基礎部分が見学できる
- ブユックカレ:ハトゥッシャの東にある紀元前13世紀の城塞。ヒッタイト帝国の末期まで皇帝が暮らしていた場所
- 獅子の門:城塞都市ハトゥッシャの3つの門のうちのひとつ。城壁の中に悪霊が入るのを防いでいたといわれている
「ヒッタイト帝国と首都ハットゥシャ」王国滅亡の理由と遺跡の見どころ
サフランボル市街
サフランボルは、トルコ北部にあるオスマン帝国時代の隊商都市だった場所。黒海と地中海を結ぶ交易路上の要所として栄えた歴史ある街です。
14世紀初頭からトルコ統治下にあるサフランボルには、トルコの伝統的な都市構造、木造建築、記念碑などが今も残されています。トルコ人都市の歴史が破壊されず保全されたモデルとして、1994年に区域全体がユネスコ世界遺産に登録されています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/614
サフランボル市街の見どころ
- スレイマン・パシャ・ジャーミスィ/サフランボル市街に30ほどあるジャーミ(モスク)の中で元も古い
- スレイマン・パシャ・メドレッセスィ/14世紀に建てられた神学校。現在は基礎部分が残っている
- カイマカムラル・エヴィ:オスマン帝国時代に建てられた古民家。当時の生活を再現した展示が見られる。
サフランボルは古き良き町並みが残る世界遺産!観光のポイントを解説
ブルサとジュマルクズック(オスマン帝国発祥の地)
ブルサとジュマルクズクは、オスマントルコの発祥の地として、2014年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ブルサは、14世紀の初頭にオスマン朝がセルジューク朝から奪取し最初の首都とした街で、オスマン帝国発祥の地ともいわれています。歴史的建造物が多く残っている古都であり、「緑のブルサ」といわれるほど緑の多い街としても知られています。
ジュマルクズックは700年あまりの歴史を持つ、オスマン帝国の最初の居住地となった古い村。オスマン帝国時代の生活様式がうかがえる住宅や町並みが、今も残っています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1452
ブルサとジュマルクズックの見どころ
- ウル・ジャーミィ/1399年に建てられたプルさで最も重要なモスク
- イェシル・ジャーミィ/1421年メフメット1世の時代に建築家イルヤス・アリによって建てられたモスク。セジューク建築様式を用いている
- イェシル・トゥルベ/オスマン帝国5代皇帝メフメット1世の霊廟
- ジュマルクズックの集落/オスマン帝国の最初の居住地となった村
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ネムルット・ダー(ネムルト山)
ネムルット・ダーは、トルコ南東部のネムルト山頂にある墳墓。紀元前3世紀頃に建国されたコンマゲネ王国のアンティオコス1世が自身のために築いたもので、砕石を積み上げた、高さ75m(現在は50m)、直径150mの巨大な円すい型をしています。
山の麓にはコンマゲネ王と守護神テュケやギリシャの神々の計5体の石像などがあり、10mにも及ぶ巨大彫像、碑文などが、1987年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/448
ネムルット・ダーの見どころ
- 東のテラス/祭壇が設けられていたテラス。山頂をバックに大きな石像が並んでいる
- 一列に並んだ石像/墳墓のある霊場の守護神の役割を与えられたライオンとワシの像の間に、アンティオコス1世、女神コンマゲネ、ゼウス・オロマスデス、アポロン・ミストラル、ヘレクレス・アルタグネス・アレスの5体の像が長い基壇にのせられている
巨大な石像がならぶ世界遺産・ネムルート山とは?コンマゲネ王国の墳墓の謎
ディヴリーイの大モスクと病院
ディヴリーイの大モスクと病院は、トルコ中央部ディヴリーイにある、13世紀前半に建てられた複合施設です。ディヴリーイはメンジュジク朝の首都として栄えた場所で、この地域がメンギユック君侯国の支配下にあった1228~1229年の間に、君主アフメット・シャーの命により大モスクが、妻のトゥラン・メレッキの命により病院施設が建てられました。
イスラムとアナトリアの伝統を融合させた、ルーム・セルジューク朝時代の建築の代表作とも称され、建築学的な特徴とあわせてアナトリアの伝統的な石彫が施されていることから、1985年にユネスコ世界遺産に登録されました。トルコの建築物として最初に世界遺産に登録された施設でもあり、現在はトルコ共和国大統領府によって保護されています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/358
ディヴリーイの大モスクと病院の見どころ
- 門の装飾/病院の正門およびモスクの北門・西門・シャーの高座門に施されている
- モスクの西門/5~9月の間、午後の礼拝時間の45分前頃に男性の立ち姿のシルエットの影が現れる
世界遺産「ディヴリーイの大モスクと病院」はイスラム建築の最高峰!
ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観
ディヤルパクルは、海抜660mのチグリス川の沿岸にある東アナトリア高原で最も重要な都市だった場所です。古代ローマ時代に都市を囲む城塞が築かれて後、破壊と修復を繰り返してきたという歴史があり、その城壁は世界で2番目の長さを誇ります。
ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園は、その広大な石造りの市璧、門、碑文、庭園、野原とチグリス川との関係で成立している景観を通じて、この地方の重要な歴史的時期の多くを説明していることから、2015年にユネスコ世界遺産に登録されました。
世界遺産ディヤルバクル城塞とは?メソポタミアとアナトリアの交差路を守った砦
ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観の見どころ
- 城壁/町を包囲する世界で2番目に長い城壁
- イチ・カレ/内砦を横切って走る北門からの道
- ウル・ジャーミィ/セルジューク時代に建造された大モスク
- メリエムアナ・キリセスィ/ビサンチン帝国から残る唯一の教会
- 考古学博物館/かつての神学校。1934年以来博物館となっている
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1488
クサントスとレトーン
クサントスは、トルコ南部、エーゲ海のリュキア地方にあるリュキア人の文化を示す考古遺跡が点在する都市です。ギリシャ神話やホメロスの『イリアス』にも登場する海洋民族、古代リュキア人による古代リュキア同盟最大の行政の中心地で、レトゥーンはその聖なる地とされていました。
紀元前2世にはリュキア同盟の首都を担うほど栄えたクサントスは、その後、ローマ帝国、ビザンツ帝国の統治下に入り、7世紀にはアラブ人に侵攻されるという歴史を歩んできました。そのため、この都市をおさめた全ての文明が建設した建造物の遺跡があり、ヘレニズム、ローマ時代の影響を写す主要地として、1988年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/484
クサントスとレトーンの見どころ
- ハーピーの墓/死者の魂を空に運ぶと信じられていたハーピーのレリーフが備わった霊廟。オリジナルのレリーフは大英博物館に展示されている
- 聖域跡レトーン/アポロンとアルテミスの双子に捧げた神殿が存在した聖なる土地
クサントス遺跡とレトーン遺跡とは?古代リュキアの政治と宗教の中心地
チャタルホユックの新石器時代遺跡
チャタルホユックの新石器時代遺跡は、紀元前7000年より前の人類最古の集落跡のひとつで、1958年にトルコのコンヤで発見されました。
集落跡に住居が密集していることから、人類最初の定住生活や農耕生活を示す遺跡ともいわれていて、2012年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1405
チャタルホユックの新石器時代遺跡の見どころ
- 集落のレプリカ建築:遺跡の入り口には、当時の泥レンガ建築を再現した実験用のレプリカ住居がある
- アナトリア文明博物館:アンカラにある博物館には、黒曜石のナイフや鏡など、チャタルホユックの貴重な出土品が展示されている
世界遺産「チャタルホユック遺跡」の特徴や歴史、見どころをまとめて紹介
アニの古代遺跡
アニの古代遺跡は、トルコの東の果て、アルメニア共和国との国境でもあるアルパチャイ川の傍らにある遺跡です。
アニはカルス地方の要地で、アナトリアとアジアの交わる場所。シルクロードの貿易路線上にあるため商業重要都市とされてきましたが、それゆえに民族の興亡が激しく、さまざまな民族が支配してきたという歴史を持つ場所でもあります。そのため、遺跡からはアルメニア建築だけでなく、ビザンチン、セルジューク、オスマン建築などの遺構をみることができます。
これまでに40以上の教会、チャペル、墓が見つかっていますが、建物として残っているのは21ヶ所。2016年にユネスコ世界遺産に登録されたのはこの現存する21の建物で、キリスト教とイスラム教の文化が融合する場所であり、文化の多様化を象徴する場として評価を得ています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1518
アニの古代遺跡の見どころ
- アニ大聖堂:ギガク1世の時代1001年に完成した、アニの中でも最大で最重要の大聖堂
- ティグラン・ホネンツ聖グリゴル教会:1215年に完成した教会で、アルメニア教会の伝統を示すフレスコ画で飾られている
- アニ城壁:1064~1065年に建設されたアニの周囲を囲む城跡
アフロディシアス
アフロディシアスは、現在のトルコ西部カラジャスに存在した古代都市。ゼウスの娘で歴史上最も重要な女神、アフロディーテに由来する古代ギリシャ・ローマにおいて最も重要な都市ともいわれています。文化や芸術、学問の中心地として、紀元前2~6世紀頃まで栄え、アフロディーテ神殿を中心としたアフロディーテ信仰は、地中海盆地の広い地域に影響を与えました。
アフロディシアスの都市部の考古遺跡と遺跡の東北にある古代大理石採掘場は、2017年にユネスコ世界遺産に登録されています。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1519
アフロディシアスの見どころ
- アフロディーテの神殿/歴史上最も重要な女神、アフロディーテの神殿。ビサンチン時代に教会に転用され、本堂の後ろ部分が現存している
- 劇場/紀元前1世紀に造られた7000人収容の劇場跡
- スタジアム/紀元前2世紀頃に造られた、30,000人収容の競技場跡。古代世界のものとしては最も良い状態で現存する遺跡
- アフロディシアス博物館/アフロディシアス遺跡の出土品が展示されている
世界有数の古代遺跡アフロディシアス|美神アフロディーテ由来の町
アルスランテペの遺丘(アナトリア最古の集落都市)
トルコ東部マラティヤ県中心地から北東にあるバッタルガーズィにあるアルスランテペの遺跡は、紀元前5000年頃からの歴史をもつトルコ最大の遺丘のひとつです。アルスランテペは紀元前5000年頃から紀元前712年にアッシリアに征服されるまで存在した、アナトリアで最初の都市国家で、ヒッタイト帝国からローマ帝国、ビザンツ帝国まで多くの文明の主要地だった場所でもあります。
紀元前5000年頃の後期銅器時代から鉄器時代にかけての歴史的過程が顕著に残っているアルスランテペの遺丘からは、世界最古の王家の墓など歴史的遺物が多数発見されていて、2021年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産公式ページ:https://whc.unesco.org/en/list/1622
アルスランテペの遺丘の見どころ
- 野外博物館:アルスランテペの遺丘の発掘現場は野外博物館として見学できる
- マラティヤ考古学博物館:アルスランテペをはじめ、マラティヤ周辺で発掘された遺物が展示されている
アルスランテペ遺跡は2021年に世界遺産となったトルコの注目の遺跡!
そもそも「ユネスコ世界遺産」とはどんなもの?
ここでは、ユネスコ世界遺産とはどんなものなのか、その定義や種類について解説します。
世界遺産の定義とは?
世界遺産とは人類共通の財産のこと。1972年のユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき「世界遺産リスト」に記載された、「顕著な普遍的価値」を持つ建造物や遺跡、景観、自然のことと定義されてます。
世界遺産には種類がある
世界遺産は、人類が作り上げた「文化遺産」、地球の歴史や動植物の進化を伝える「自然遺産」、その両方をもつ「複合遺産」の3種類に分類されます。3つの中では文化遺産が最も多く総数は1,000を超えています。トルコ国内には文化遺産はもちろん、世界でも珍しい複合遺産に分類される世界遺産も2ヶ所あります。
トルコの世界遺産を巡る前に知っておきたいポイントをトルコ旅行のプロが教えます!
トルコの世界遺産を巡る旅に出かける前に、知っておきたいポイントについて、トルコ旅行専門会社のスタッフがお教えします。旅行計画を立てる際にご活用ください!
Q1.トルコ国内の世界遺産で人気があるのはどこ?
観光客に人気があるのは「イスタンブール歴史地域」や「カッパドキアの岩窟群」。イスタンブールは年間1,000万人の旅行者が世界中から訪れる都市です。また、トルコ・ラジオ・テレビ協会によると、カッパドキアの岩窟群には約125万人の観光客が訪れています(2019年上半期)。こちらも、日本人観光客から人気の高い世界遺産です。
【2022年最新】トルコ観光人気ランキング!スポット・食事・モデルコースを徹底紹介
Q2.今後注目度が高まりそうなトルコの世界遺産は?
今後注目度が高まりそうなのは「エフェソス」と「ヒエラポリスとバムッカレ」。また、最近テレビ番組などでも注目されている「ギョベクリ・テペ」も人気が高まりそうです。
Q3.トルコの世界遺産を効率よく巡る方法は?
トルコは周遊ツアーが多いので、それらを利用することをおすすめします。例えば、人気がある9日間のツアーでは、「イスタンブール歴史地域」、「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」、「ヒエラポリスとパムッカレ」、「エフェソス」、「トロイの古代遺跡跡」を巡ることができます。
トルコ旅行・ツアー完全ガイド!人気の都市や世界遺産、グルメ、注意点
Q4.トルコの世界遺産を巡るにあたって注意することは?
トルコは観光大国で、日本人でも安心して旅行しやすい国なので、特に注意するようなことはありません。強いてあげるなら、「ネムルット・ダー」のあるネムルト山には冬は登れませんのでご注意を。アクセスしにくい場所にある世界遺産でもあるので、プライベートツアーなどを利用することをおすすめします。
世界遺産を巡ればトルコをもっと知りたくなる!
今回はトルコの世界遺産全19ヶ所を一気に紹介しました。長い歴史と文化を持つトルコには、興味深い世界遺産が多数あります。実際に世界遺産を目にしてトルコの歴史や文化の多様性にふれれば、もっともっとトルコのことが知りたくなる!
トルコの世界遺産に興味を抱いたら、早速トルコ旅行の計画を。トルコ旅行のプロによる世界遺産巡りのポイントも踏まえながら、ぜひ歴史ロマンあふれるトルコの旅に出かけてください!
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