最強の犬「カンガール・ドッグ」はトルコの国宝!特徴や性格、値段は?
更新日:2023.02.28
投稿日:2022.11.11
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トルコには犬界最強ともいわれている「カンガール・ドッグ」という名の大型犬がいます。カンガール・ドッグはトルコ原産の犬種で、日本ではまずお目にかかれないので知っている人は少ないかもしれません。
そのカンガール・ドッグとはどんな犬で何が最強なのか?特徴や性格も合わせて詳しく解説していきます。
Contents
カンガール・ドッグとはどんな犬?性格や特徴は?
「カンガール・ドッグ」は古くから牧羊犬や軍用犬として活躍していたトルコ原産の犬種です。名前のカンガールは原産地である「カンガル(Kangal)郡」から付けられました。
カンガール・ドッグは大柄な体格と勇敢な性格を持つことから、古くから牧羊犬や軍用犬として活躍してきました。トルコでは国宝とされており、記念切手まで発行されるほどの犬種です。
カンガール・ドッグの基本情報
英語名 | Kangal Dog |
---|---|
原産地 | トルコ/スィヴァス(Sivas)県カンガル(Kangal)郡 |
愛称 | カラバッシュ(Karabash)、アナトリアン・シェパードドッグ(Anatolian Shepherd Dog) |
体高 | 85cm程度 |
体重 | 60kg程度 |
カンガール・ドッグの特徴
カンガール・ドッグは体高が85m前後、体重は60kgにもなる超大型な犬種です。足が長く、大きくがっちりとした体格をしています。カンガール・ドッグは大型犬には珍しく俊敏性を備え持ち、足の速さは最高時速50kmと言われています。
毛質は日本犬のようなショートコートで、毛色はフォーンやプリンドル、牛乳色といったさまざまな色があります。マズルと耳が黒いのも特徴で、ここから「黒い頭」を意味する「カラバシュ」という愛称が付けられました。
カンガール・ドッグの性格
カンガール・ドッグはとても勇敢な性格をしています。これは古くから、牧羊犬や軍用犬として活躍していたからといえます。さらには、勇敢さに加えとても賢く飼い主に忠実で、警戒心の強さも持ち合わせており、家畜に対しての保護本能も高いため、野生の肉食獣から家畜を守ることができます。
その反面で穏やかな気質も備えているので、しっかりとしつけができていれば家族や子どもたち以外の人間に対しても友好的に接することができます。
カンガール・ドッグの寿命
カンガール・ドッグの寿命は12~15歳とされています。一般的には大型犬の方が小型犬よりも寿命が短いという特徴があり犬種によって異なりますが、例えばコールデン・レトリバーの平均寿命は11歳とされています。その中でカンガール・ドッグは長命でとても丈夫な犬種です。
カンガルー・ドッグは仲間?
実は、カンガール・ドッグに名前がよく似ている「カンガルー・ドッグ(Kangaroo Dog)」という犬種がいます。この犬種はカンガルー・ドッグは全く別の犬種で、オーストラリア原産の獣猟犬です。
カンガルー・ドッグはその名のとおり、カンガルーを狩る機会が多かったことからこの名がついたと言われています。しかし、現在では絶滅の危惧にさらされおり、とても希少な犬種となっています。
カンガール・ドッグの歴史
カンガール・ドッグの歴史は古く1000年以上前にまで遡ります。昔から牧羊犬や家畜の見張り、護身、軍用犬などとして使役していました。
そんなカンガール・ドッグですが、実は「カンガール・ドッグ」という名前が付けられたのは1960年代と以外にも最近なのです。それまでは特に決まった犬種名を持っていませんでした。
名前が付けられたきっかけは、この犬種が1960年代にイギリスへ輸出されたことでした。これを機に、トルコ原産のシープドッグを分類してそれぞれに名前を付けようという話し合いがなされ、それによりカンガル郡の犬種ということでこの名が付けられました。
現在カンガール・ドッグはトルコ政府によって“国宝”に指定され、近年では世界的にも徐々に知名度が上がってきています。
カンガール・ドッグが犬界最強と言われる理由
カンガール・ドッグが“最強”と言われるのは、カンガール・ドッグが備え持つ能力の高さにあります。
カンガール・ドッグは身体能力がとにかく高く、走る速さは時速50km、その脚力は4,5tトラックが牽引できるパワーを持っています。また噛む力も非常に強くそのパワーは340kgにもおよぶとされ、これはライオンにも匹敵します。
また、古くから牧羊犬や軍用犬として活躍しており、家畜を守るために相手にしていた動物は野生の熊や狼などといった獰猛な肉食獣でした。軍用犬としても、過酷な戦場で生き抜く生命力を培い、カンガール・ドッグは獰猛な動物にもひるまない勇敢さと攻撃力を、身に着けていきました。
カンガール・ドッグの能力の高さは犬界において圧倒的で、全犬種と比較してもトップクラスとなっています。大柄でたくましい体格に身体能力の高さ、そして勇敢な性格が、カンガール・ドッグが“犬界最強”といわれる理由です。
カンガール・ドッグはアフリカでも大活躍!
1990年代、カンガール・ドッグはアフリカのナミビアにも輸出されます。当時ナミビアの畜産業者は、家畜を襲うチーターに困っていました。そこにカンガール・ドッグが家畜を守る役割を持ってトルコから輸出されたのでした。
カンガール・ドッグがナミビアに渡って以後、450頭が家畜の見張りに従事し、家畜業者の92%が有益と報告したといいます。それだけカンガール・ドッグはナミビアで大活躍でした。
ある家畜業者からは、カンガール・ドッグが見張りに来る前は年間60頭ほどの家畜が襲われていたのが、見張りを付けて以降は5年間で1頭しか襲われずに済んだという実例が挙がっています。
カンガール・ドッグの凄さはこれだけではありません。
ナミビアでは家畜を襲うチーターは殺処分するしかなく、年間で約1000頭ものチーターが殺され、1980年代にはナミビアのチーターは2500頭にまで減少してしまいました。
しかし、カンガール・ドッグが来たことによってチーターの殺処分の数が減ることになります。それは、カンガール・ドッグがチーターをやっつけるのではなく、吠えたり追いかけたり、威嚇するなどをして追い払ってくれたからでした。
これによって、チーターの殺処分が劇的に減り、一時は2500頭だったチーターは5000頭近くまで増えました。トルコから来たカンガール・ドッグは家畜を守るだけでなく、チーターも守ったのでした。
カンガール・ドッグは飼われてるの?トルコのペット事情
トルコでも日本ほどとはいきませんが、家庭で犬や猫、鳥といった動物が飼われています。
ではカンガール・ドッグについてはどうかというと、現在のトルコでカンガール・ドッグは国宝と指定されているため、繁殖は国で護られています。また、原産地のカンガル以外で飼育する場合には許可がないと飼えないなど、厳しく管理されています。
カンガール・ドッグの値段は?
カンガール・ドッグは日本円にして8~10万円ほどで取引されることが多いのですが、平均月収が5~10万円とされているトルコにおいてカンガール・ドッグは非常に高価な犬種となっています。
また、カンガール・ドッグはその気質からしっかりとした訓練としつけが必要で、大きな体格のため運動量も多く、且つ仲間と一緒にいないとストレスがかかってしまうので、一般家庭でペットとして飼うには難しい犬種と言われています。
そのため、ほとんどのカンガール・ドッグは作業犬として使役されており、あまりペットとしては飼われていません。
日本でカンガール・ドッグを飼うことはできる?
日本国内ではカンガール・ドッグの繁殖はされておらず、販売もされていないので入手は困難です。
輸入するという方法もありますがトルコでは国宝に指定されていることから輸出は禁じられています。どうしても……!となると、アメリカからの輸入になると考えられます。実は、1900年代にカンガール・ドッグはアメリカにも渡っており、アメリカでは「アナトリアン・シェパードドッグ」と呼ばれています。
しかし海外からの輸入だと、手続きから運搬料などが複雑かつ高額なのであまり現実的とはいえません。
また、大きな体格で運動量も多いのでそれに対応できる広い土地が必要になります。さらに仲間と一緒にいないとストレスがかかってしまうため、実際問題、日本でペットとしてカンガール・ドッグを飼うことは難しいといえます。
トルコには「動物の権利」がある!
トルコでは2004年に「動物愛護法(動物保護法)」が制定され、自治体に対して路上動物の保護が義務付けられました。2021年には動物愛護法が改正され、「動物の権利法」と呼ばれる法律により動物たちは、商品や物としてではなく「生きている存在」として「権利」を有するようになったのです。
それまでは、動物を虐待したり故意に殺した場合は罰金刑となっていましたが、動物の権利法によってこれからは“犯罪者”として懲役刑が科されることとなりました。
トルコの街中にいる犬猫たちの暮らし
トルコでは一部の家庭でペットが飼われていますが、基本的にペットを飼う習慣はあまりありません。そんなトルコでは、人々が路上で暮らしている犬や猫を自分のペットのように大切にしています。
例えば、イスタンブールは「猫の楽園」と呼ばれるほど街中には多くの猫がいます。これはイスラム教の預言者ムハンマドが猫を大切にしていたということが所以で、住民たちは分け隔てなく猫たちに餌を与えています。もちろん、猫に限らず犬も大切にされています。
面白いのが、イスタンブールにはペットボトルや缶・ビンを入れると犬猫の餌が出てくる給餌マシンも置かれています。街中の犬猫が愛されている証拠でもあり、サステナブルな在り方ともいえます。
そして驚きなのが、イスタンブールには負傷した犬猫の情報が寄せられると職員が駆け付けて専用施設で手当てを行う、約450人で24時間体制の保護部局があります。手当が終わると飼い主を探しますが、飼い主が見つからなかった場合は元の場所に戻してあげているそうです。これは、慣れた土地の方が行きやすいであろうという愛のある考えの元です。
また、トルコでは路上の犬に対して積極的に狂犬病のワクチンを接種しています。耳にタグが付いている犬はワクチン接種済みの証になります。
トルコでは「動物の権利」がちゃんと存在し、国がそれに対してしっかりと対応している証といえますね。
他にもいる!トルコ生まれの犬種
トルコにはカンガール・ドッグの他にもトルコ生まれの犬種がいます。トルコ原産の犬種はおよそ6000年前に存在していた超古代犬種「ジョパン・コペギ」が分化したことによって誕生したとされています。
カンガール・ドッグの他にトルコ生まれの犬種にはどんな犬種がいるのかについても解説します。
アクバシュ(Akbash)
「アクバシュ」は毛色がホワイトのみで耳は垂れ耳、脚と尻尾が長くがっちりとした体格が特徴です。体高は70~80cm、体重は40kg~64kgと、大型犬の部類となります。
アクバシュという名前はトルコ語で「白い頭」を意味しているや、白鳥を意味する「アックシュ(Akkush)」という言葉から由来していると言われていますが諸説あります。
アクバシュの歴史が古く、1000年前には犬種として存在していたと言われています。アクバシュも古くから家畜を守る防衛犬として活躍していました。
カルス・ドッグ(Kars Dog)
「カルス・ドッグ」はトルコ北東部にある都市カルスが原産地のとても希少な犬種です。別名「ターキッシュ・シェパード・ドッグ」や「ワン・ドッグ」とも呼ばれていますが、トルコ以外ではあまり知られていない犬種です。カルス・ドッグも古くから存在していた犬種ですが、その生い立ちに関してはほとんど謎に包まれています。
カルス・ドッグは特別な訓練はせず、仔犬の時から守りたい家畜(羊など)と共に生活をさせ、何かあった時に仲間(家畜)を守らせる、といった意識を身に付けさせます。これによって、普段は大人しい性格のカルス・ドッグも仲間に危険が及ぶと勇敢に戦います。
カルス・ドッグは忠実で大人しい性格をしていますが、その反面で警戒心が強く、時に攻撃性が高まることから、ペットとしての飼育は難しいとされています。
アナトリアン・シェパード・ドッグ(Anatolian Shepherd Dog)
「アナトリアン・シェパード・ドッグ」はその名のとおり、トルコ中部のアナトリアで誕生した、体高は71~81cm、体重は40~60kgとなる大型の犬種です。
アナトリアが小アジアと呼ばれる理由とは?歴史・文明・遺跡を紹介
アナトリアン・シェパード・ドッグは飼い主にはとても愛情が深く、主人はもちろん子供や他のペットに対しても愛情深く忠実に接します。性格は勇敢で落ち着きがあり、警戒心が強く回りを観察しながら危険を確認するので、トルコ原産の他の犬種と同様、昔から家畜を守る犬種として活躍していました。
現在も牧場で羊やヤギを守る防衛犬として活躍しています。
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