トルコは野良猫に超優しい国!カワイイ猫事情を紹介
更新日:2023.04.03
投稿日:2022.03.14
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トルコは、猫が好きな方にはぜひ訪れてほしい国。なぜなら、トルコ人には猫好きが多く、野良猫までも大切にしている国民性があるからです。街を歩けばたくさんに猫たちに出会えるトルコは、猫好きにとってはたまらない国といえるでしょう。
この記事では、トルコ人と猫のエピソード紹介や、なぜトルコが猫を大切にしているかについての文化背景、トルコの有名猫・トルコ原産の猫など、トルコの猫事情について紹介します。
Contents
トルコは猫の国!?トルコ人と猫愛がわかるエピソード
トルコは、猫たちがのびのびと暮らせる猫天国です。飼い猫であっても野良猫であっても、猫を愛するトルコ人に温かく見守られながら、街のあちこちで自由気ままに過ごしています。
そんな猫への愛がつまった、思わず笑みがこぼれてしまう、トルコ・イスタンブール発の猫にまつわるエピソードをご紹介します。
自動改札にいた猫
イスタンブールのある鉄道駅。自動改札の上にどっしりと座ってくつろいでいるキジトラ猫がいました。駅員さんの飼い猫でしょうか、それとも、近所の猫が遊びに来たのでしょうか。
時刻はお昼前、たくさんの人が自動改札を通過していきますが、猫ちゃんは気にせず、そのままでいます。通過しながら猫ちゃんの頭を撫でていく人、「撫でたいなあ」という顔で猫ちゃんを振り返りながら通過していく人、通りすがりに猫ちゃんのお尻をポンと叩いていく人。
確かに、トルコ人には猫好きな人が多いようです。また、猫ちゃんも「だれかにいじめられることはない」と安心しているからこそ、人が多い場所でもリラックスしていられるのでしょう。こちらの動画は、28,000回以上視聴されています。
エスカレーターを逆走していた猫
İstanbul aynı zamanda dünyanın kedi başkentidir. İstanbullular ile kediler arasında duygusal bir bağ vardır. pic.twitter.com/ncq5dQUjjC
— Ekrem İmamoğlu (@ekrem_imamoglu) January 3, 2022
イスタンブール市長のEkrem İmamoğlu氏が2022年1月4日にTwitterへ投稿した動画「You know It’s Istanbul(これぞイスタンブールらしさ)」は9,600件以上のリツイート、1,800回以上の引用ツイート、11.6万件の「いいね」を獲得しています(2022年2月末現在)。
イスタンブールの鉄道駅構内で、下りエスカレーターを逆走している猫ちゃん。どうしても上に行きたいようで何度もチャレンジしますが、何度も下に戻されてしまいます。そこへ通りがかった男性が、ヒョイと猫ちゃんを抱き上げて、隣の登りエスカレーターにそっと置いてあげました。
猫ちゃんはスムーズに登っていきます。健気に逆走する様子もかわいらしいし、素直に登りエスカレーターに乗っていく様子も、とてもかわいらしいです。猫を飼っている方ならご存じと思いますが、猫はとても警戒心が強い生き物。知らない人に抱っこされてくれる猫は少ないのではないでしょうか。
たとえ「猫ちゃん可愛い!さわりたい!」という思いからであっても、知らない猫にへたに手を出すと、ひっかかれてしまうかもしれません。野良猫ならなおさらです。イスタンブールの猫と人の間には信頼関係が築かれている、それがよくわかる動画といえます。
トルコの人はなぜ猫を大切にしているのか?
ここでは、トルコ人がなぜ猫を大切にする文化を持っているのか、歴史と宗教の観点からみていくことにしましょう。
猫のペットとしての歴史
私たちがペットとして可愛がっている猫は、厳密にいえば猫科のイエネコという種類です。
イエネコの祖先は、エジプトの砂漠に生息するリビアヤマネコ(アフリカン・ワイルド・キャットまたはデザート・キャット)であったといわれています。ちなみに、リビアヤマネコを飼育している動物園や、野生のリビアヤマネコを観察できるサファリパークが海外にあるようです。
古代エジプト人がリビアヤマネコを家畜化し、ネズミ捕りとして、また、愛玩動物として共に暮らすようになりました。カイロ考古学博物館では猫のミイラも展示されています。
エジプトからトルコに猫が渡ったのは13~20世紀に栄えたオスマン帝国の時代です。古代から海上貿易で栄えてきたイスタンブールに積み荷と一緒に猫が持ち込まれました。さらに、トルコを経由して猫がヨーロッパに持ち込まれ、猫をペットとして飼育する文化が生まれたとされています。
このように、猫との関わりが古くからあったことも、トルコ人が猫を愛するようになった理由のひとつかもしれません。
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猫とイスラム教との関係
トルコに限らず、イスラム教を信仰する国では猫が大切にされています。その理由としてよくいわれるのが、イスラム教の開祖ムハンマドが猫を飼っていたというエピソードです。
ムハンマドは、額にM(ムハンマドのイニシャル)の模様がある「ムエザ」という猫を飼って可愛がっていました。ムエザが服の袖の上で眠っていたときは、起こさないように袖を切り離して着用するほどの溺愛ぶりです。
また、猫が頻繁に毛づくろいをすることから、清潔な生き物としてイスラム教徒に愛されてきました。イスラム教徒は1日に5回の礼拝を行いますが、礼拝の度に水で体を清める作法があるほど清潔さを重視しています。
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トルコ人は野良猫に超優しい!
猫を愛するトルコ人は、野良猫に対しても手厚いケアを行います。アニマル・ライツ法など野良猫保護の法整備が進んでいるほか、心優しい個人による保護活動も盛んです。
野良猫保護の法整備
トルコにはもともと2004年に定められた動物愛護法があり、イスタンブールが「猫のための街」となるきっかけになりました。さらに、2021 年 7 月には改正法案として「動物の権利法」が採択されています。
その改正内容とは、動物への虐待は裁判所で取り扱う「犯罪」として扱われ、処罰内容も従来の罰金刑から半年~4年間の懲役刑と重くなったことです。また、動物が虐待されたり生命の危機に瀕したりしている場合、警察が出動できるようになりました。
この法律によって、野良猫を含む動物は、生きる権利を認められる存在となったのです。また、地方自治体によって異なる野良猫への扱いの差や、ペットの猫と野良猫との待遇差の縮小につながったともいわれています。
去勢手術、予防接種、その他のサービス
また、法改正により、野良猫への避妊・去勢手術や予防接種を自治体が行うことになりました。改正法の制定と同時に「動物福祉基金」が設立され、そこから定期的に自治体への経済的支援が行われます。
また、各地方自治体は予算の1%を動物のために確保することになりました。そこから、動物保護施設やリハビリテーションセンターなど、猫を含む野良動物へのサービスが充実するようになったのです。
イスタンブールには野良動物救急車がある
イスタンブールの各地区にある市営動物保護センターは市民からの通報に電話で対応しています。ケガや病気に苦しんでいる猫などの動物がいたら救急車で現場に向かい、保護して治療にあたります。回復後は元の場所に戻すほか、飼い主探しを行うこともあり、殺処分するケースはゼロだそうです。
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トルコのスター猫を紹介
トルコには、多くのファンを持つスター猫たちが存在します。ここでは、アヤソフィアの看板猫や銅像が作られるほど愛された野良猫、映画「猫が教えてくれたこと」に登場する猫たちを紹介します。
フォロワー数11万人超!アヤソフィアの看板猫「グリ」
イスタンブールを代表する観光スポットの1つが、ブルーモスクと向かい合って建つアヤソフィアです。
アヤソフィアで出会える猫は複数いますが、中でも人気が高かったのは、ヨーロピアンショートヘアの「グリ(Gli:愛をつなぐもの)」ちゃん。
最初はトルコ語で「グレー・灰色」を意味する「Gri」という名前でしたが、多くのファンにより「アヤソフィアの守り神」と称えられた結果、「Gli」に改められたそうです。
グリちゃんはとても人なつこくて、観光客と一緒に写真撮影してくれるため、世界中にファンがいました。グリちゃんと他のアヤソフィア猫のInstagramページでのフォロワー数は2022年3月現在、11万7千人に達しています。
Hagiasophiacat(アヤソフィア猫):https://www.instagram.com/hagiasophiacat/?hl=ja
イスタンブール市民にも観光客にも愛されたグリちゃんでしたが、2020年11月に16歳で亡くなり、その死はイスタンブール県知事のアリ・イェルリカヤ氏から、Twitterで公表されました。
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2代目アヤソフィアの看板猫・ターキッシュアンゴラの「クルチュ」
グリの死を知ったトルコの人々は悲しみに暮れました。その悲しみを癒す助けになったのが、グリの友達として、2020年8月にアヤソフィア猫に仲間入りした、クルチュ(「剣」の意)くんです。
クルチュくんは、真っ白な毛並みが美しく左右で瞳の色が異なる、ターキッシュアンゴラという猫種です。ターキッシュアンゴラとはトルコ固有の猫種で、トルコの生きる宝石と呼ばれています。トルコの首都アンカラに近いエリアが、ターキッシュアンゴラ発祥の地です。
ターキッシュアンゴラが猫の品種として認められたのは17世紀のことで、悲劇のフランス王妃マリー・アントワネットも、ターキッシュアンゴラの猫を飼っていたといわれています。
一時はペルシャ猫の繁殖プログラムに乱用されて品種の特徴を失ったものの、トルコ政府とアンカラ動物園の努力により、再び品種としての特徴がよみがえりました。現在は欧米でもターキッシュアンゴラの繁殖と保護が継続されています。
銅像になった猫「トンビリ」
野良猫トンビリ(小太り・ぽっちゃりの意味)はイスタンブールの地域猫で、トルコの国民的アイドルのような存在でした。
ぽっちゃりとしたおなかをさらし、歩道の段差に肘をかけて座る姿は、まるで人間のよう。生意気な感じが面白いということで幅広い人気を獲得し、日本でも話題になったことがあります。
多くのファンがいたトンビリでしたが、2016年に虹の橋を渡りました。彼の思い出を残したいと考えたトルコの人々は、彼がいつも腰かけていた場所に生前の彼と同じポーズの銅像を設置し、折にふれて眺めては話題にしています。
トンビリの銅像が盗まれるという事件も起こりましたが、2日後に戻ってきたそうです。
トルコの猫が映画に。かわいらしすぎる7匹の猫たち
「KEDI(邦題:猫が教えてくれたこと)」は、イスタンブール生まれの女性監督ジェイダ・トルンが、2016年に公開した映画です。「KEDI」は、トルコ語で「猫」を意味します。上記のトレイラーを見るだけで、イスタンブールの人々と猫たちが寄り添い共に生きていることが感じられるでしょう。
映画では、個性的な7匹の猫たちが登場します。映画を観る前に、猫たちの名前とキャラクターを把握しておくことがおすすめです!猫たちの名前にはそれぞれ、トルコ語の意味があります。
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サル(黄色)
子猫たちのための食料確保に奔走するお母さん猫。レストランやカフェのお客さんにおねだりしたり、隙をみて盗んだりと、食べ物を手に入れるために手段を選ばない姿には、思わず微笑んでしまいます。食べ物をくわえては子猫たちのもとへ走る姿が印象的です。
ベンギュ(永遠)
キジトラのメス猫ベンギュは、工場地帯で働く男たちのハートを溶かし、暮らしの一部になっています。甘えん坊の彼女は愛される方法をしっかりと心得ていて、抱っこやブラッシングをされるときの幸せそうな姿で、疲れた人々の心を癒やすのが得意です。彼女の姿が見えないと心配して探すほど、工場労働者たちの日常生活に欠かせない存在となっています。
アスラン・パーチャス(ライオン、王者)
白黒ハチワレ猫の彼は、ボスポラス海峡沿いのレストラン付近では、義理堅いネズミ捕りハンターとして知られています。レストランが集まるエリアで、ネズミを捕ってくれる猫は大変に役立つ存在です。
昼間はのんびりと海を眺めて過ごし、レストランが賑わう夜になると、ここぞとばかりに活躍を始めます。ネズミを100%逃がさないほどの技は持ち合わせていないため、失敗することもありますが、そこもご愛敬。成功すればご褒美の魚に舌鼓を打ちます。
サイコパス(反社会的性格)
白黒ハチワレのメス猫で、問題児。気性がかなり激しいため他の猫とケンカをすることも多く、やきもち焼きです。
自分の旦那に近づくものに対しては手加減のない攻撃をしかけ、周辺に住む犬も人間も、彼女の存在の大きさを認めざるを得ません。強気に颯爽と歩く姿は、メスにしておくのがもったいないほどだと感じられるほどです。
デニズ(海)
白茶ハチワレのオスで、下町で自由気ままに生きています。幼い頃は人間を怖がって近づくことができず、なかなか人になつきませんでした。
少しずつ人間との触れ合いを経験して、いまでは多くの人が行き交うオープン市場で生活しています。買い物客を眺めたり、市場の商品が並ぶ台の上で遊んだり、屋根で日光浴を楽しんだり、周りの猫とケンカしてみたりする姿を、映画の中で見られます。
ガムスズ(楽天家)
子猫のように幼く優しそうな顔をした、白黒ハチワレのオス猫。見た目に似合わず賢い猫で、人間の誰からどんな餌をもらえるかを知り尽くしており、とっても世渡り上手です。
気ままな遊び好きで、あらゆる場所によじ登っていきます。木立から屋根の上へ、屋根からバルコニーへと、彼に行けない場所はありません。
ドゥマン(煙、灰色)
白灰ハチワレの、グルメなオス猫です。イスタンブールの高級レストラン「デリカテッセン」の前が彼のテリトリー。お店の経営者とも良い関係を保っていて、チーズや燻製肉など、レストランで提供する高級食材をもらう特権を与えられています。
しかし、レストランの中には入りこまないという礼儀をわきまえており、おなかがすくと窓を叩いておねだりをする姿が店の名物となりました。彼を見るためにレストランを訪れるお客さんもいるほどで、レストランのマスコット的存在です。
トルコの希少猫ターキッシュバンとヴァン猫
トルコには、ターキッシュアンゴラの他にも、ターキッシュバン、ヴァン猫といった希少種の猫がいます。ターキッシュバンとヴァン猫は混同されがちですが、別々の品種の猫です。ここではターキッシュバンとヴァン猫について、それぞれの特徴を紹介します。
ターキッシュバンの特徴~容姿、性格、歴史、入手方法
ヴァン地方原産の猫種であるターキッシュバンは、「泳ぐ猫」として知られています。
ターキッシュバンはオスの平均体重が4.5~8kg、メスの体重が3~4.5kgとミディアムサイズの猫です。体毛は全体的に白く、頭の耳周辺やしっぽだけにさまざまな模様が入る「バンパターン」が特徴となっています。冬毛は長毛、夏毛は短毛で、アンダーコートのない生え方をしているシングルコートです。瞳の色が左右で異なるオッドアイがよく見られます。
ターキッシュバンの性格は遊び好きで愛情深く、飼い主によくなつきます。他のペットや人間の子供ともうまく付き合える寛容な性格です。とても頭がよく、集団生活を好みます。活発なので、走り回るなど運動量も多めです。野生の感覚も強く残っているため、長時間の触れ合いや抱っこなどは少し苦手とするかもしれません。
ターキッシュバンは希少種の猫ではありますが、日本国内にもブリーダーは存在します。
ターキッシュバンはトルコ原産の泳ぐ猫!魅力や飼育上の注意は?
ヴァン猫の特徴|トルコの生ける遺産
ヴァン猫はターキッシュバンとの共通点が多い猫ですが、絶滅の危機に瀕しているさらに希少な猫です。1992年時点では、わずか30匹でしたが、その後、保護・繁殖活動が進み、現在は約1,000匹まで増加しました。その希少さゆえ、ヴァン猫をトルコ・ヴァン県外へ持ち出すことは禁止されています。
ヴァン猫の特徴は、体毛すべてが白一色なこと、左右で色が異なる瞳を持つオッドアイであることです。その他、水をあまり怖がらないことや原産地などは、ターキッシュバンと共通しています。
猫好きにおすすめ!猫たちに会いに、トルコの街に出かけましょう
猫が生活に溶け込んでおり、野良猫にさえも愛情を持って接するのがトルコ人の文化です。トルコに行けば、きっと、人間を恐れずにのびのびと暮らす自由な猫たちに出会えるでしょう。
観光スポットや遺跡、カフェやレストラン、街角など、猫たちとの出会いは至るところにあります。猫が好きな方はぜひ、トルコの猫たちとの出会いを期待して、街を散策してみてはいかがでしょうか。
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