雑学が満載!クロワッサンの起源や名前の由来、トルコとの深い関係
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.07.05
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クロワッサンは、フランスやアメリカの朝食というイメージが強いパンですが、その起源にはトルコが大きく関わっていることをご存じでしょうか?あの印象的なクロワッサンの三日月の形も、オスマン帝国のシンボルに由来するのです。今回は、そんなクロワッサンとトルコの意外な関わりから、クロワッサンの興味深い歴史まで詳しくご紹介していきます。
Contents
クロワッサンとはどんなパン?
フランスやアメリカの朝食の定番というイメージの強いクロワッサンですが、そもそもどんな歴史のあるパンなのか?ここではクロワッサンについて深掘りしていきます。
クロワッサンは三日月形のパン
日本人にもおなじみのクロワッサンは、三日月形のパン。バターなどを生地に練りこんで折り畳み、何層にも重ねて作るため、サクサクした食感が特徴的です。フランスやアメリカの朝食の定番パンで、日本でも人気があります。
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実はフランス発祥のパンじゃない!
クロワッサンはフランスの代表的なパンというイメージがありますが、実は発祥も由来もフランスではありません。
クロワッサンの発祥地はオーストリアで、原型はキプフェルという三日月形のパンです。バターを使用しないロールパンのようなパンで、もともとは修道院でイースターのために焼かれたペストリーだったそうです。さらに古代では、月の神セレーネへの供物とされていたとも考えられています。
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フランスにクロワッサンを伝えたのはマリー・アントワネット
クロワッサンの原型キプフェルをオーストリアからフランスに伝えたのは、あのマリー・アントワネットだといわれています。
マリー・アントワネットはクロワッサンの発祥地オーストリアの皇女で、18世紀にフランスのルイ16世に嫁入りするときに、多くの職人をオーストリアからフランスに連れて行きました。その中に、トルコ風のパンやキプフェルを焼く職人もいたようです。マリー・アントワネットは故郷オーストリアの味を懐かしみ、キプフェルを職人に作らせて食べていたと伝えられています。
20世紀にはアメリカでも朝食の定番に
20世紀に入ると既成の冷凍生地が登場し、家庭でも簡単にクロワッサンが作れるようになります。アメリカでは、1981年にサラ&リーという加工会社が、冷凍クロワッサンをアメリカに持ち込んだことで瞬く間に人気となりました。冷凍クロワッサンの調理の手軽さもあって、アメリカでも朝食の定番となっていきます。
さらにアメリカでは、クロワッサンが独自の進化を遂げていきます。マンハッタンのドミニクアンセルベーカリーがクロワッサン生地のドーナツ「クロナッツ」を開発。また、シティベーカリーはドイツのプリッツェル生地で作った「プレッツェルクロワッサン」を販売し、現在も人気商品として食されています。
クロワッサンの誕生にはトルコが大きく関わっていた!
フランスやアメリカの朝食の定番パンというイメージの強いクロワッサンですが、実はその誕生にはトルコが大きく関わっています。
クロワッサンの起源は、1683年の第2次ウィーン包囲網といわれています。
オスマン帝国がオーストリアの首都ウィーンを攻め落とすべく包囲していたとき、夜中に翌日のパンの仕込みをしていたパン職人が、オスマン帝国軍が地下から坑道を掘って城壁内に侵入しようとする異様な物音に気づき、ウィーン守備軍に報告。これによってオスマン帝国軍の包囲を破ることができたという逸話が残っています。
この戦いの勝利を祝って、オスマン帝国のシンボルである三日月形のパンを作って食べたのがクロワッサンの原型「キプフェル」というパンの起源といわれています。
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フランスのクロワッサン
クロワッサンの誕生にはトルコが関わっていたというのは前述した通り。それでは、フランスにはいつどのようにクロワッサンが伝わり、今のような国を代表するパンになっていったのか。ここでは、フランスのクロワッサンについて解説していきます。
フランスのクロワッサンの起源
クロワッサンは、1833年にオーストリア・ウィーンの起業家アウグスト・ツァングが開店した高級ペストリーショップ「ブーランジェリービエンノワーズ」によりフランスに広められたといわれています。
この店では、クロワッサンの原型でもある「キプフェル」を、当時の一般的なものより軽くサクサクした生地で作って販売していました。このキプフェルが三日月形だったことから、フランス語で新月を意味する「クロワッサン」と呼ぶようになったという説も。
ブーランジェリービエンノワーズのクロワッサンは瞬く間に人気となり、その人気にあやかってクロワッサンを販売する店も増えたことでフランス中に広まり、朝食の定番という確固たる地位を築くまでになっていきます。
また一方で、イーストの酵母で発酵させた生地にバターをはさみ何層にも折りたたんでいくという、現在も広く食されているクロワッサンの原型となるレシピを残したのは、フランスのパン職人シルヴァン・クラウディウス・ゴイだといわれています。
フランスのクロワッサンは2種類ある
クロワッサンには大きく分けて2つの種類があります。マーガリンなどの植物性油脂を生地に使用するのが「クロワッサン・オルディネ」。また、生地にバターを使うのが「クロワッサン・オ・ブール」です。ちなみに、三日月の形をしているのは「クロワッサン・オルディネ」のほうです。
トルコの三日月型のパン「アイ・チョレイ」
アイ・チョレイとはトルコで食べられている三日月型のパンです。トルコ語でアイは月、チョレイはテュルク語のパンという意味の言葉チョレッキからきているといわれています。
アイ・チョレイは、クッキー生地にも似た固めのサクッとした食感のパンで、シナモンやクルミ、レーズンなどが入っています。ココアペーストもぎっしり入っているので、かなり濃厚な味わいのパンでもあります。
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アイ・チョレイの起源もクロワッサンと同じく、オスマン帝国のウィーン包囲網だといわれています。トルコではフランスのクロワッサンは「クルヴァサン」と呼んでいて、アイ・チョレイと区別しています。
キプフェルと起源が同じウィーンのお菓子ヴァニレキプフェル
ヴァニレとはオーストリアの言葉でバニラのこと。ヴァニレキプフェルとはバニラの三日月という意味です。ヴァニレキプフェルはオーストリア発祥のお菓子で、キプフェル同様に1683年にオスマン帝国のウィーン包囲門を撃破した記念に、オスマン帝国のシンボル三日月型のクッキーを作って食べるために販売したといわれています。
クッキー生地にウォールナッツやヘーゼルナッツを入れて三日月型にし、オーブンで焼き上げてたっぷりとしたバニラシュガーをかけて仕上げるクッキーで、現代でもオーストリアで愛されているお菓子です。ちなみにウィーン包囲網が破られヨーロッパ諸国連合との戦いに敗れたオスマン帝国軍が逃げるときに放棄していったコーヒー豆が、ウィーンにコーヒー文化をもたらしたともいわれています。
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実は、トルコのコーヒー文化の歴史は長く、ユネスコの無形文化遺産にも登録されているのです。
三日月型のクロワッサンを味わいながらトルコに思いをはせよう
今回はクロワッサンにまつわる歴史の話や名前の由来について解説してきました。クロワッサンの起源や由来には、トルコの歴史が大きく関わっています。また、トルコにもクロワッサンの親戚のような三日月形のパン、アイ・チョレイがありポピュラーに食されています。
そんな話を思い出しながらクロワッサンを食べるときに、起源であるトルコにも思いををはせてくださいね。さらに、クロワッサンの起源に大きく関わったオスマン帝国やトルコのグルメに興味がわいたら、ぜひトルコを旅してみてください!
クロワッサンの起源のアイ・チョレイはもちろん、世界三大料理のひとつでもあるトルコ料理が堪能できますよ。
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