メゼとは?お酒のおつまみにピッタリ!種類豊富なトルコの前菜
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.11.14
Views: 3493
トルコ料理に欠かせないのがトルコで豊富に穫れた旬の食材で作られる前菜「メゼ」です。
野菜に香草に乳製品に魚介類にと種類は本当に様々で、味もよし、見た目も色とりどりでトルコの食卓を華やかにし、とっても重宝される前菜の小皿料理です。
そんなメゼの基礎知識をここでご紹介いたします。
「メゼ」とは?
中近東のレバノンからトルコ、またギリシャなど地中海北部一帯で広く食べられている小皿料理の前菜の事を「メゼ(Meze)」と言います。いわゆる英語でアペタイザーの名で知られている前菜のことです。
トルコ料理のまず初めにはメゼ。トルコでは必ずと言って良いほどケバブや魚料理などのメイン料理の前に数品出される定番の前菜で、冷菜と温菜からなる小皿料理です。トルコの海や陸の幸をふんだんに使ったメゼは、色取り取りでバラエティーに富んでいます。
メゼは特に野菜が豊富にとれる夏によく作られる軽食料理です。
メゼのお供にお酒は欠かせません。
トルコ料理は世界三大料理!ケバブなど定番有名メニューを徹底紹介
「メゼ」の特徴
- 大皿では出ません。一品一品小皿で、または大皿に少量数種類を盛り合わせて出されます。
- がっつり空腹を満たす為の料理ではありません。
- 急いで食べるものではありません。ゆっくり食べても大丈夫な食材で調理されています。
- 旬の野菜・食材を使います。
- 胃に負担がかからず、お酒やその後のメイン料理を邪魔しない軽い料理でなくてはなりません。
- 一人で静かに食べません。皆で話に花を咲かせながらゆっくり食べます。
- メゼのお供は白濁酒ラクが鉄板です。
そんなメゼは下記の系統にざっと分けられます。
- オリーブオイル系
- ヨーグルト系
- ピクルス系
- ペースト系
メゼは何語?語源と意味
「メゼ」の言葉で定着していますが、実はペルシャ語で“美味しさ”を意味する「マザ(Maza)」が語源とされています。
レバノンを始め、アナトリア、ギリシャ、シチリア、ジェノヴァなど東地中海の多くの国でお酒のお供に食べられている小皿料理の前菜の事を「メゼ(Meze)」、「メゼデス(Mezedes)」、「メッザ(Mezza)」など類似の言葉で呼びます。
ヨーロッパでのメゼ
トルコや中近東でメゼと言われているこの小皿前菜料理ですが、ヨーロッパでは皆さんもご存じの前菜や小皿料理を意味するあの言葉で呼ばれています。
- 英語:アペタイザー
- イタリア語:アンティパスト
- フランス語:オードブル
- スペイン語:タパス
メゼを食べる時は雰囲気が大切!
メゼは冷菜ですので急いで食べる必要はありませんし、空腹を満たすための料理ではありません。メゼに美味しさを加えるのが雰囲気です。
一人で静かに黙々と食事するのには向いてなく、いくつもの種類のメゼを仲間や家族など大勢で分け合い、がやがや団欒しなから雰囲気を楽しみゆっくりと召し上がるのに格好の料理です。
メゼの歴史|起源は?
メゼに欠かせないのがオリーブオイルです。ご存じの通り地中海一帯でつくられるオリーブオイルですが、史上初めてオリーブオイルを作り出して使用し始めたのが、紀元前4500年頃のエーゲ海クレタ島の人たちです。
メゼはオリーブオイルが使われますので、初めてメゼを作って食べ始めたのもこのクレタ島の人たちだと言われています。オリーブオイルが作り出されたことで料理に美味しさを加え、保存が効くようになり、食文化が一気に変化しました。
オリーブ自体も立派なメゼでした。古代ギリシャの人たちは、グリーンオリーブの種を取り除いて実を刻み、オリーブオイル、お酢、コリアンダー、クミン、フェンネル、ヘンルーダ、ミントと混ぜたメゼを食していたといます。
オリーブオイルの健康効果とは?おすすめ人気商品や絶品レシピ、使い方
また、古代ギリシャ、古代ローマ、ビザンツ帝国時代には、ガルムやリクアメンと言われる魚醤を使ったメゼも作られていたようです。いわゆるカラスミのような塩漬けのボラの卵“ボタルゴ”やキャビア、羊や山羊の乳で作ったチーズなどが良くメゼとして食べられていたと言います。
その後、セルジューク朝のトルコ人達がペルシャ語で“味、美味しさ”を意味するペルシャ語の「マゼ」と言う言葉をアナトリアにもたらし、メゼと言う言葉がトルコで定着し現在まで使われてきたのです
セルジューク朝の成立から滅亡までを徹底解説!オスマン帝国との関係も説明
イスラームのオスマン帝国でのメゼ
イスラームではお酒は御法度ですので、オスマン帝国では料理文化としてメゼはあまり発展しませんでした。
イスラム教とはどんな宗教?歴史・ルール・食事・服装など基本知識を徹底解説
しかし、イスタンブールに住んでいた多くの非ムスリムの人たちによってメゼは一つの文化として採用され発展しました。特にイスタンブールの新市街のカラキョイ、ガラタ、ベイオール近郊などで非ムスリムの人たちが開いたメイハーネやシャルキュトリー(食肉加工品販売店)がメゼ文化を普及させ、メゼの種類を増やす重要な役割を果たしたのです。
トルコの代表的なメゼをご紹介
豊富な種類でどれもそれぞれ特徴がありとっても美味しいメゼ。その中でもトルコで代表的なものをここでご紹介いたします。
フムス(Humus)
ヒヨコ豆のペーストで、トルコだけでなく中東でも一般的に食べられているメゼです。
ターヒンと言う練りごまペーストとニンニクの香りがヒヨコ豆の味ととってもマッチしており、冷菜としてはもちろんのことスパイシーなパストゥルマ(パストゥラミ)を乗せて温かく食べても美味しい料理です。
フムスの美味しさと栄養に世界が注目!食べ方、レシピ、各国事情
アジュル・エズメ(Acılı Ezme)
微塵切りトマトをベースに微塵切りにした青唐辛子、西洋パセリ、玉ねぎ、にんにくを混ぜた辛いペーストが「アジュル・エズメ」です。ソースとしてレモン汁、オリーブ油、サルチャ(濃縮トマトペースト)、ザクロソース等が使われているので、辛い中にもさっぱりしっかりした味がついています。
特にケバブやキョフテなどの肉料理の前菜として定番のメゼです。
世界が愛する万能野菜・トマトの魅力は?健康効果から絶品レシピまで
パトゥルジャン・サラタス(Patlıcan Salatası)
ジューシーでトロッと柔らかい焼きナスがベースの“ナスのサラダ”を意味するメゼが「パトゥルジャン・サラタス」です。
皮を剥いた焼きナスの中身に微塵切りのトマト、青唐辛子、玉ねぎ、西洋パセリを加えて、レモン汁とオリーブオイルとすりおろしニンニクでさっぱりと味付けされた前菜です。
トルコの絶品家庭料理「ババガヌーシュ」って?本格レシピやおすすめの食べ方もご紹介
シャクシュカ(Şakşuka)
揚げナスにトマトソースを和えたメゼが「シャクシュカ」です。茄子だけでなく、炒めた青唐辛子や玉ねぎも加えられますので、とってもコクがあり、そのまま食べてもパンなどに乗せて食べてもとっても美味しい前菜です。
シャクシュカの簡単レシピ!イスラエル以外の各国の作り方も紹介
ハイダーリ(Haydari)
メゼの王道がハイダーリ。
水切りヨーグルトに白チーズ、ディル、ドライミント、ニンニクすりおろし、オリーブオイルを混ぜただけの簡単なメゼですが、水切りヨーグルトがとっても濃厚でありつつさっぱりと癖になる美味しさです。
トルコヨーグルトは料理や美容健康におすすめ!歴史からレシピまで魅力を徹底紹介
パンジャル・トゥルシュス(Pancar Turşusu)
ビーツのピクルスが「パンジャル・トゥルシュス」です。きれいな紫色のビーツは一度湯がかれているので柔らかく、ニンニクが効いた酢漬けの様な味わいです。他のトゥルシュ(トルコ風ピクルス)と比べて酸味が弱いので意外とパクパク食べられます。
デニズ・ボルルジェスィ(Deniz Börülcesi)
茹でて芯を取り除いたシーアスパラガス(厚岸草)にオリーブオイルとニンニクとレモン汁を和えただけのとっても簡単な、シーフードレストランでの定番メゼです。
ミディエ・ドルマ(Midye Dolma)
ムール貝のピラフ詰めが「ミディエ・ドルマ」です。B級グルメとしても有名なミディエ・ドルマですが、メゼとして作られる場合は中のピラフにシナモンが加えられ少し甘みが加わります。
イスタンブールのグルメが食べたい!ケバブからスイーツまでおすすめトルコ料理を紹介
ゼイティンヤール・ビベル・ドルマス(Zeytinyağlı Biber Dolması)
冷製のピーマンのピラフ詰めが「ゼイティンヤール・ビベル・ドルマス」です。
温かいドルマには挽肉が使われますが、メゼの場合は挽肉無しでシナモンとドライクロスグリで甘めに味付けされ、オリーブオイルで煮込んで作られます。
ゼイティンヤール・ヤプラック・サルマ(Zeytinyağlı Yaprak Sarma)
冷製の葡萄の葉のピラフ包みが「ゼイティンヤール・ヤプラック・サルマ」です。
煮込んであるので葡萄の葉も柔らかくなっており、中はピラフですが一つ一つがタバコのようなフィンガーサイズですので、ついついパクパク幾つも食べてしまう癖になる美味しさです。
ゼイティンヤール・エンギナル(Zeytinyağlı Enginar)
春に作られる冷製アーティチョークのオリーブオイル煮が「ゼイティンヤール・エンギナル」です。
アーティチョークをカップの様にし、その上にサッとオリーブオイルで炒めたキューブ状のニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ、グリーンピースを乗せてレモン汁、水、塩、砂糖、オリーブオイルで煮込み、冷やしていただきます。
ギリト・エズメスィ(Girit Ezmesi)
ギリト=クレタ島を意味する、主にエーゲ海地方で食べられている白チーズを使ったメゼです。
パラパラに細かく潰した白チーズ(フェタチーズ)とみじん切りにした西洋パセリ、ニンニク、細かく砕いたクルミ、乾燥タイムなどのスパイス、オリーブオイルを混ぜた前菜です。
バルブンヤ・ピラキ(Barbunya Pilaki)
白インゲン豆(クランベリービーン)のトマトソース煮の冷製です。
豆と一緒にさいの目に切られたニンジンやじゃがいもや玉ねぎと煮込まれるので味がとっても良く、メゼの定番でもあります。白米にも合う味付けです。
ラケルダ(Lakerda)
ラクのお供と言ったら欠かせないのがこのメゼ「ラケルダ」です。塩漬けにされたカツオのメゼですが、塩辛いのでちびちびとラクを飲みながらつまみにするのにもってこいです。
塩漬けのラケルダは、食べる前に塩抜きをして、オリーブオイルをかけて生の紫玉ねぎの輪切りを添えてだされます。
メルジメッキ・キョフテスィ(Mercimek Köftesi)
赤レンズ豆の御団子が「メルジメッキ・キョフテスィ」です。
赤レンズ豆を茹でて、細引きブルグル、サッと炒めた微塵切り玉ねぎ、西洋パセリ、サルチャ、わけぎ、香辛料を混ぜてよく練り、こぶしの中でぎゅっと一口大に握ったら出来上がりです。レモンをしぼっていただきます。
レンズ豆は栄養豊富なヘルシー食!調理方法やおすすめレシピを紹介
ベイン・サラタス(Beyin Salatası)
その名も“脳みそのサラダ”である「ベイン・サラタス」は、茹でた羊または牛の脳みそをスライスしたサラダです。レモン汁、オリーブオイル、ニンニク、お酢のソースで頂きます。これが食べられれば、トルコのメゼ通かもしれません!
アトム(Atom)
メゼとして忘れてならないのがこのアトムというメゼです。すりおろしニンニクを混ぜた濃厚な水切りヨーグルトの上に、溶かしバターでこんがり揚げ焼きにしたドライカイエンペッパーを数本のせただけのシンプルなメゼですが、辛さとクリーミーなヨーグルトがマッチして止められない美味しさです。
美味しいメゼが食べられる場所
ちょっとしたロカンタ(大衆食堂)などにも置いてありますが、数多く新鮮なメゼが食べられるのはケバブレストラン、メイハーネ、シーフードレストランの3つです。
ケバブレストラン(Kebapçı/Kebap restoranı)
メインのケバブを食べる前にメゼが出されます。
フムス、焼きナスや焼玉ねぎを使ったメゼ、焼ニンニク、アジュル・エズメ、トゥルシュ(ピクルス)など野菜を使った副菜的なメゼが多く揃っています。
シーフードレストラン(Balık restoranı)
スズキのマリネ、タコのサラダ、タラマ(タラモサラダ)、デニズ・ボルルジェシ(シーアスパラガス)、燻りムール貝、ラケルダ(カツオの塩漬け)、などなどシーフード系を中心に沢山の種類のメゼが揃っています。
メイハーネ(Meyhane)
メゼと言ったら鉄板なのがトルコの居酒屋メイハーネです。ここには基本的なバルブンヤ・ピラキ(クランベリービーンのトマト煮)、ハイダーリ(水切りヨーグルとのハーブ和え)、チーズの盛り合わせ、メロン、ほうれん草のヨーグルト和えなどおつまみになるようなメゼが沢山あります。
メゼの注文の仕方
上記の様なレストランに行き席に座ると、まずメゼが盛られた色取り取りの幾つもの小皿が乗った大きなトレーがテーブルに運ばれてきます。そのトレーから、またはキッチン前のショーケースからお好きなメゼを数種類選びます。
メゼはほとんどのレストランで2~3人(1人スプーン2杯くらい)で分けられる分量の長方形や舟形の小皿によそわれて出てきます。
メゼのお供にぴったりのお酒
またメゼと言えば、トルコの居酒屋メイハーネで食べられることからお分かりの通り、お酒のお供に食べるのが定番中の定番です。メイハーネ文化の基本であり、おつまみとしても最適な料理がメゼなのです。
メゼと言ったらこのお酒!トルコの白濁酒「ラク」
どのメゼにも合うお酒がトルコの白濁酒「ラク(Raki)」。
ラク自体は無色透明で冷水を注ぐと白濁します。ギリシャのウゾの様にアニスの香りが強いのが特徴です。アルコール度数40度以上のお酒ですので、ゆっくりちびちびと飲みながらメゼを味わうのがトルコ通の飲み方でもあります。
トルコの地酒!ラク(RAKI)の歴史と特徴、おいしい飲み方をご紹介
メゼによく合うさっぱりとした「トルコのワイン」
メゼの美味しさを邪魔せずにぴったりなのがワインです。特にトルコのワインは赤も城もフレッシュでさっぱりとした味わいの物が多いので、メゼの味を引き立たせます。
関連記事
更新日:2023.04.05
Views: 1437
更新日:2023.04.05
Views: 1287
更新日:2023.02.28
Views: 1152
更新日:2023.02.28
Views: 5284
更新日:2023.04.05
Views: 3071
更新日:2023.04.05
Views: 2595