トルコの地酒!ラク(RAKI)の歴史と特徴、おいしい飲み方をご紹介
更新日:2023.04.04
投稿日:2022.04.05
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トルコの国民的お酒、ラク(RAKI)。トルコ人はもちろん、多くの旅行客にも愛されてきたラクとは、一体どのようなお酒なのでしょうか。
今回は、味の特徴や歴史などからラクの魅力を解説します。トルコ流の飲み方や、よりおいしく味わうためのアレンジ方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
トルコ名物「ラク」ってどんなお酒?
ラクはアルコール度数が40~50度ある強いお酒。おいしく飲むために、まずは味の特徴を知りましょう。
度数は40度以上!トルコの地酒「ラク」の味
ラクはブドウを原料とした蒸留酒。薬草や香料として地中海東部地域で古くから使われてきたスパイス「アニス」で香りがつけられており、口に含むとアニスの独特な甘い香りが漂います。
アルコール度数は40度以上と高いものの、ほんのり甘みとコクを感じる個性的な味わいはトルコ料理との相性が抜群。慣れるほど癖になります。
ラク自体は無色透明ですが、水を注ぐと白く濁るのも大きな特徴の一つです。アルコール度数が下がることで、アニスの油分が分離することから起こります。
このユニークな特徴からトルコでは「ライオンのミルク」とも呼ばれ、長らく親しまれています。
ラクに似ているお酒
中近東やヨーロッパ周辺では、ラク以外にも「アニス」を使った蒸留酒が飲まれています。なかでも以下の3つは、ラクと似ていると言われる蒸留酒です。
アブサン | アニスやフェンネルなど数種類のハーブを使った、アルコール度数の高いお酒。フランスをはじめ、ヨーロッパの広い範囲で飲まれている。1番の特徴はニガヨモギが使われていることで、中毒性があることでも有名。 |
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ウゾ(ウーゾ) | ラクから派生した、ラクによく似た味わいを持つギリシャの蒸留酒。アニスのほかに、フェンネルや甘草などが使われている。 |
アラック | 中近東で飲まれている、ラクと同じルーツを持つ蒸留酒。それぞれの地域ごとに異なる原料(ブドウやココナッツなど糖度の高い果実)と、数種類のハーブで作られている。 |
代表的なラクの銘柄5選
ラクはAmazonや楽天などのECサイトで購入可能です。
以下の5つは、日本でも親しまれている代表的なラクの銘柄。それぞれ風味が異なるので、ぜひ飲み比べしてみてください。
イェニ ラク | 500年の歴史を誇る最もポピュラーなブランド。生ブドウと干しブドウの両方を使った、フレッシュタイプ。 |
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ウスタラルン カルシュム | 1年寝かせたラクで、飲みごたえと柔らかさのバランスの良さが魅力。 |
テキルダー ゴールド | 中間層だけを抽出しオーク樽で熟成させた、黄金色と上品な甘みが特徴。 |
アラ ラク | 生ブドウの天日干し・3回蒸留・オーク樽熟成で、滑らかながら力強い味が特徴。 |
テキルダー No.10 | こだわりの生ブドウを銅の樽で3回蒸留し熟成させた、香り高い高級ラク。 |
水割り?カクテル?ラクのおいしい飲み方
ラクのようなアルコール度数が高い薬草酒は、日本人にはあまり馴染みがないかもしれません。ここでは、実際にラクを飲むときに役立つ、基本的な飲み方やおいしいアレンジ法を紹介します。
ラクは水割りが基本
ラクは基本的に水で割って飲みます。
トルコでは、レストランや居酒屋でラクを注文すると、縦長のグラスが2つ出されるので、以下の順で水割りをつくりましょう。
- 片方のグラスにテク(1ショット/グラス4分の1)もしくはドゥブレ(2ショット/グラス2分の1)のラクを注ぐ
- 好みで氷を1~2個ほど入れる(氷なしでもOK)
- もう片方のグラスには冷水を入れ、チェイサーとして使う
ラクはアルコール度数が高く、テク(1ショット)でグラスワイン1杯やビール330mlと同程度。チェイサーの水をしっかり飲みながら味わうことが、ラクを最後までおいしくいただく秘訣です。
気になるトルコのお酒事情!イスラムでも飲酒はOK?ラクってどんな味?
ラクのおすすめアレンジ
水割り以外でラクを楽しみたいときや、高い度数のお酒が苦手な人は、カクテルにするのもおすすめです。
ラクをソーダ割りにすると、よりすっきり飲めます。またアニスと相性の良いオレンジやグレープフルーツなどの柑橘系ジュースと割ってもおいしく飲めますよ。
ぜひ好みのアレンジ方法を探してみてください。
製造過程で味が異なる?ラクの製造方法
地域によってはプラムやイチジクなどの果実が使われることもありますが、一般的なラクは生のブドウや干しブドウが原料に使われます。
そして原料の果実を発酵させて「スマ」と呼ばれるベースを作り、アニスを加えて蒸留させます。その際、醸造アルコールや少量の砂糖が加えられるものもありますが、アニス以外のハーブやフレーバーは一切加えません。
一般的に蒸留回数が多いものや、砂糖やアルコールなどの添加物を一切加えずに作られるラクほど高級な傾向にあります。
またブドウやアニスの種類、蒸留回数や樽の種類、熟成の有無など、製造方法によって味がわずかに異なるため、いくつかの銘柄を飲み比べてみるのも楽しいでしょう。
発祥地は中近東。ラクの歴史
今でこそトルコ全土で愛されるラクですが、製造され始めてから国民酒となるまでには長い年月がかかりました。ラクはどのように生まれ、国民酒となったのか、ラクの歴史を解説します。
ラクはワイン造りの過程で生まれた?
もともとトルコは、ワイン発祥の地の一つと言われるほど、ブドウ栽培やワイン醸造が盛んでした。現在でも、ブドウ生産量は世界トップクラスです。ラクは、そんなワイン製造の過程で誕生したと言われています。
5世紀には、トルコを含む地域一帯を支配していた東ローマ帝国で、ラクに似たお酒が飲まれていました。その後、中近東でラクが製造されるようになり、11世紀頃にはアナトリアからバルカン半島にも伝わったと言われています。
最古の文献は14世紀。メイハーネを通じて国民酒へ
ラクに関する記述がある最古の文献では、14世紀には黒海沿岸のトラブゾン周辺で、ラクの製造・取引がされていたことが記録されています。また、1520年にやはりトラブゾンでラクの製造が行われていたことを示す文献もあります。
そして、オスマン帝国末期には、帝国内で非イスラム教徒によるラクの製造が拡大。19世紀になると、居酒屋(メイハーネ)を中心に国民の間でますます浸透していきました。
かつては国営会社「テケル」がラクの製造・販売を独占していましたが、2004年に民営化され、現在ではさまざまな銘柄のラクを楽しめます。
どんな料理に合う?トルコ流ラクの味わい方
トルコの食文化に欠かせないラク。現地の人たちはどのようにラクを楽しんでいるのでしょうか。ラクが合う料理や、トルコでラクを飲む際のルールを解説します。
メロンやチーズ、メゼ(前菜)など食事と楽しむ
ラクは料理とともに飲む食卓酒。ケバブやキョフテなどのトルコ料理とも合いますが、さまざまな「メゼ」と一緒にいただくのが一般的です。
メゼとはトルコ料理における前菜のことで、トルコ風のピクルスからサラダ、詰めものや巻きものまで、冷菜・温菜ともにたくさんの種類があります。
とくに、メロンやフェタチーズ(塩味の強いフレッシュチーズ)とラクの相性は格別。ひよこ豆のペースト「フムス」や、ヨーグルトとミントなどを和えた「ハイダリ」、トマトベースのスパイシーな「アジュル・エズメ」なども有名です。
友人や家族とゆっくり味わうのがトルコ流
ラクは食事とともに時間をかけて飲むのがトルコ流です。
また、基本的に一人では飲みません。日が暮れるころから、十数種類ものメゼを並べ、友人や家族とゆっくり会話を楽しみながらいただきます。
急いで食べる必要がない冷菜のメゼは、仲間との食事を大切にするトルコの食・酒文化に最適です。ぜひ、美味しいメゼとラクが彩る、愛する人たちとの大切な時間を思う存分満喫してください。
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ラクを飲むならトルコの居酒屋「メイハーネ」へ
ラクはレストランやスーパーなどでも買えますが、トルコではぜひ「メイハーネ」を訪れてみてください。メイハーネとはトルコの居酒屋で、メゼをあてにラクを楽しむのが主流です。
トルコでは、気軽に入れるカジュアルなお店から伝統のある老舗、また生演奏が楽しめるお店など、さまざまなメイハーネがあります。イスタンブールなら、カラキョイ地区やベイオール地区などにあるお店がおすすめ。
歴史と現代の雰囲気が交じり合ったトルコでも注目のエリアで、。トルコの歴史や文化を感じながら味わうラクはよりおいしく感じられるはずです。
ラクはトルコ旅行のお土産にもぴったり。お土産として買うなら、町中のタバコ屋さんのような「テケル」をチェックしてみてください。350~1000mlまで、さまざまな大きさ、メーカーのラクが販売されています。
ラクを東京で味わう!おすすめレストラン
日本にあるトルコ料理レストランの多くではラクが提供されています。中でも、ラクを東京で味わうなら、トルコ料理店「ドルジャマフセン」がおすすめ。数種類のラクが楽しめます。
トルコ人オーナーシェフが腕を振るう正統派トルコ料理とラクで、日本にいながら本場のトルコの雰囲気が味わえるでしょう。ポピュラーなトルコ料理はもちろん、スープとメゼから食後のデザートとチャイまでついたコース料理、テイクアウトもあります。
店名 | ドルジャマフセン |
---|---|
住所 | 練馬区練馬1-6-18 コンフォートⅢ 1階A号 |
営業時間 | 火曜~日曜 17:00 ~ (L.O.23:30 日祝は21:30) |
Webサイト | https://doluca-mahsen.com/ |
ラクだけじゃない!トルコの多様なお酒と食文化
トルコの魅力はラクだけではありません。さまざまな飲み物や美味しい料理がほかにもたくさんあります。代表的なものをいくつか見てみましょう。
ビールやワインの種類も豊富
トルコはイスラム圏ですが、ラク以外にも多種多様なお酒が飲まれています。
たとえばトルコワインの代表的ブランド「カヴァクリデレ」や「シルーフ」は、国際的なワインコンクールで受賞するほどの実力。そのほかにも、ポピュラーなブドウ品種で製造された正統派から、トルコ特有の品種で作ったワインやフルーツワインまで数多くのワインがそろっています。
トルコビールは、癖がなく飲みやすいのが特徴。「エフェス」「ボモンティ」「トゥボルグ」などが定番です。ビアバーやテケル(トルコの酒屋)ではクラフトビールも置いてあります。
トルコビールを徹底解説!世界で愛されるトルコビールの魅力と美味しい飲み方
無形文化遺産にも登録された「トルココーヒー」
トルコはお酒だけではなくコーヒーも有名です。カフェ文化発祥の地とも言われており、2013年にはトルコ独特のコーヒーの淹れ方が無形文化遺産に登録されました。
粉末状に細かく挽いたコーヒー豆を砂糖と一緒に小鍋に入れ、水から煮出し、上澄みをいただきます。以下の記事ではトルココーヒーについて詳しく詳しく紹介していますので、あわせて確認してみてください。
歴史やおいしい淹れ方から占いまで! トルココーヒーの奥深い世界
トルコ料理は世界三大料理の一つ
トルコ料理は世界三大料理の一つとして知られています。
豚肉を食べないイスラム圏ならではの羊肉を使った料理や、三方を海に囲まれた国ならではのシーフード料理などが豊富。そのほか、野菜や豆、名産品であるヨーグルトやオリーブオイルを使った料理も有名です。ケバブやキュフテ、サバサンドやトルコアイスなど、名前を聞いたことのある料理もあるでしょう。
アジア・ヨーロッパ・イスラムのエッセンスが融合された、多彩な食文化が魅力のトルコ。トルコ旅行に行った際は、ぜひ現地で欠かせない地酒であるラクとともにトルコ料理を味わってみてください。
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