トルコ旅行で知っておきたい文化の特徴と歴史!日本との違いや宗教上のマナーは?
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.10.12
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トルコと聞いてどのようなイメージが浮かびますか?トルコは多くの歴史的建造物がある魅力的な国。エキゾチックな雰囲気や伝統芸術品も人気です。そして、大の親日国でもあります。そんなトルコに魅力を感じ、実際に足を運んでみたいと思う方も多いでしょう。
この記事では、トルコ旅行の前に知っておきたい日本との文化の違いと魅力について解説しています。宗教や国民性、食事事情やトイレ事情など、旅行に必要な情報をお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
トルコは東西の文化が融合した独自の文化が魅力!
トルコは黒海・エーゲ海・地中海に囲まれ、アジアとヨーロッパの境目に位置する国です。その立地から東洋や西洋のさまざまな国の文化が融合し、現在のトルコ独自の文化が創られました。
トルコは異国情緒を保ちつつ、旅行客が気軽に楽しめる一面も持ち合わせており、他の国では感じられない独自の文化が楽しめる国です。
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トルコには多彩な歴史・文化を感じられる遺跡や建築が多数ある
トルコ国内には、多彩な歴史や文化を感じられる遺跡や建築が多数あります。カッパドキアの岩窟群やイスタンブールの歴史地区、ヒエラポリス・パムッカレやトロイの古代遺跡など、一見の価値があるスポットが豊富。
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トルコ国内だけで19の遺跡や建築が世界遺産に登録されています。
トルコは世界有数の親日国
トルコは世界有数の親日国として知られています。その理由は、1880年に起きたエルトゥールル号遭難事件までさかのぼります。
当時、トルコ親善大使団は、オスマン帝国海軍の航海訓練を兼ねて日本へ派遣されていました。しかし、母国へ帰る途中、台風により座礁してしまいます。
犠牲者の数は578名。わずか69名の生存者は無事にトルコに帰国できましたが、救助や帰国するまでの手助けをしたのが和歌山県串本町の町民でした。さらに串本町の町民は、亡くなった578名を地元で手厚く葬り被害者の慰霊も行ったのです。この出来事がきっかけで日本とトルコの間に絆が生まれ、今も友好関係が続いています。
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また、その後に起きたイラン・イラク戦争の際には、テヘランに取り残された日本人をトルコ政府が救出してくれました。トルコ政府は航空機をテヘランにだし、自国民ではなく日本人を優先して救ってくれたのです。
自分を犠牲にしてまで他人を助けるところから、義理人情に厚いトルコ人の性質が伝わってくるでしょう。これらの親日感情は現在も継承されているため、今でもトルコは世界有数の親日国となっています。
トルコは国民の90%以上がイスラム教
トルコは国民の90%以上がイスラム教徒です。ただし、他のイスラム諸国と比べると戒律は比較的緩め。礼拝やラマダンの断食といった宗教行事などは行いますが、服装のルールなどは他のイスラム諸国と比べてあまり厳しくありません。
例えば、トルコの女性は頭や顔を覆うスカーフをまとわない人も大勢います。イスラム教の教えでは、女性は家族以外の男性に肌を見せないように頭や顔を覆うとされていますが、トルコの公の場では禁止されている場所もあるのです。
このように、イスラム教の教えは大切にしつつ、政教分離により世俗的な習慣が取り入れられているのがトルコの文化です。ただし、イスラム教の寺院であるモスクなど、宗教上神聖な場所ではスカーフを着用するなどして肌の露出を最小限にするのが一般的なので注意しましょう。
トルコの宗教事情まとめ!イスラム教徒の割合や食事・お酒などの生活面も解説
日本人の大半は仏教ですが、自分は仏教徒だと認識していない人も多いはず。イスラム教と聞くと戒律が厳しそうなイメージを持つ方も多いと思いますが、実はトルコの人も同じような感覚の人が多いのです。
トルコでは飲酒はOK!
イスラム教では一般的にアルコールはNGとされていますが、トルコでは飲酒はOKです。国民も旅行客も自由にお酒が楽しめます。
気になるトルコのお酒事情!イスラムでも飲酒はOK?ラクってどんな味?
トルコ旅行に行ったら特に試したいのは、「ラク」と呼ばれるトルコの地酒。アルコール度数が40%~50%と高いお酒で、薬草で香りづけされた葡萄の蒸留酒で、水を入れると白濁するのが特徴です。
また、トルコは隠れたワイン大国。ワイナリーが各地に点在しているため、ワイン好きにはたまらないでしょう。さらに、実は有数のビール生産国でもあります。
トルコ人のあいさつとコミュケーション
トルコ人は、明るくて親切で裏表のないポジティブな性格の人が多いです。イスラム教徒が多い割にはスキンシップも多く、目が合うと話しかけてくれる人がたくさんいます。
親日家の一面もあるため、こちらが日本人とわかれば、よりコミュニケーションをとってくるでしょう。日本人は、言葉が通じない国では特にコミュニケーションが苦手になってしまいがちですが、思い切って話してみると意外に通じることも多いです。
コミュニケーションをとる際に注意すべきことは2つ。トルコ共和国に対する愛国心に敬意をはらうことと豚の話題です。
トルコはどんな国?トルコ共和国の基本情報と魅力を漏れなく解説!
トルコ人は愛国心が強いので、建国の父アタテュルクや国旗・国家を侮辱することはタブー。また、アルコールと違い、イスラム教で同様に禁止とされている豚はトルコでも忌避されることが多いので、話題にだすことは避けましょう。
トルコではサッカーが大人気!
スポーツ面ではサッカーが圧倒的に人気です。トルコ国内にはUEFA欧州サッカー連盟にも加盟している、プロリーグのスュペル・リグ(スーパーリーグ)があり、18クラブが所属しています。
中でも特に人気なのが、ガラタサライSK・フェネルバフチェSK・ベシクタシュJK・トラブゾンスポルのBIG4と呼ばれるチーム。特に、ガラタサライSKのサポーターは熱狂的で、欧州5大リーグの人気チームのサポーター以上に熱いことが特徴です。機会があれば、一度、熱狂ぶりを体験してみるのもおもしろいでしょう。
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一方、トルコの国技はヤールギュレシ。オイルレスリングとも呼ばれ、革製のズボンのみ身につけ上半身裸になり、体にオリーブオイルを塗って組み合う日本の相撲のような競技です。
相手の両肩を地面につける・持ち上げて3歩歩く・ギブアップのいずれかで勝敗が決まります。革製のズボンがまわしの役割を果たすため、脱げたり破けたりした場合も負けになります。
ヤールギュレシの全国大会「クルクプナルオイルレスリングフェスティバル」は、ユネスコ世界無形遺産にも登録されており、世界的にも有名です。
トルコ相撲(ヤールギュレシ)とは?無形文化遺産のオイルレスリング
世界三大料理に数えられるトルコの食文化
トルコ料理は、フランス料理・中華料理とならぶ世界三大料理の1つです。三方を海に囲まれたトルコでは海の幸も陸の幸も豊富なため、豊かな食文化が育まれたのかもしれません。
日本でもよく知られているトルコ料理の代表格といえばケバブ。回転させながら焼いた肉を削ぎ、トマトやピクルスなどの少量の付け合わせを添えて食べる「ドネルケバブ」、串に肉や野菜を刺して炭火で焼いたトルコ版バーベキュー「シシカバブ」、トルコ風ミニハンバーグ「キョフテ」などの肉を使ったケバブ料理が有名ですが、魚や野菜をローストしたケバブ料理も多くあります。
トルコでは羊肉のイメージがある人もいるかもしれませんが、最近では牛肉が主流。鶏肉を使った料理も色々ありますが、イスラム教国家なのでコーランで禁じられている豚肉は食べません。
また、トルコの主食はパン。レストランでは、エキメッキと呼ばれるバゲットのようなパンが食べ放題になります。米料理もポピュラーですが、主食ではなく付け合わせとして食べるのが一般的です。ちなみに、ピラフはトルコ発祥の料理といわれています(トルコではピラウといいます)。
さらに、『孤独のグルメ』で話題になった「サバサンド(バルック・エキメッキ)」や伸びーるトルコアイス「ドンドゥルマ」など、日本人にも馴染みのあるトルコ料理は意外と多いのです。
トルコ料理は世界三大料理!ケバブなど定番有名メニューを徹底紹介
トルコ人はチャイ(紅茶)が大好き!
トルコ人はチャイが大好き。トルココーヒーも飲みますが、チャイの方が圧倒的に人気です。
トルコ紅茶「チャイ」のおいしい飲み方や淹れ方から購入方法まで紹介!
トルコのチャイはシナモンや砂糖は使わず、ストレートで飲む人がほとんどです。
トルコの伝統的な風呂文化
トルコにはハマムと呼ばれる、大理石を熱した蒸し風呂のような伝統的な公衆浴場があります。50℃ほどの蒸気で身体を温めリラックスするトルコ版の岩盤浴で、浴槽はありません。
日本人にも人気!トルコ式風呂「ハマム」の入り方やおすすめ店舗を紹介
近年、トルコ人は自宅の風呂に入るのが一般的になりましたが、ハマムは観光客から人気があります。以下のルールを把握すれば、誰でも気軽にハマムが楽しめます。
- 観光客が訪れるようなホテルや高級なハマムは予約が必要
- ハマムでは全裸禁止。脱衣所にある「ペシテマル」と呼ばれるタオルを必ず巻く
- ペシテマルの下に水着を着てもOK
- 床が滑りやすいので、サンダルを持っていくと便利
- 最初にかけ湯を行う
- かけ湯をしたら、大理石の床に寝転んで15分~20分ほど身体を温める
- スタッフからマッサージや垢すりのサービスを受ける
- お湯で身体を流して終了
尚、上記は予約が必要な観光客向けのハマムの流れです。地元住民が行くようなハマムではシャンプーや石鹸は置いていないことが多く、スタッフのサービスも簡素なものになります。
トルコのトイレ事情
次に、気になるトイレ事情をご紹介します。トルコには日本の和式トイレに似たトルコ式トイレがあります。ただし、観光地や都市部、ホテルなどでは洋式トイレが普及しているため、過度に心配することはないでしょう。
男性用はBay(バイ)・女性用はBayan(バヤン)と表示されています。ただし、トイレットペーパーが備え付けられていない場合もあるので、旅行中はウェットティッシュやトイレットペーパーを持ち歩くことがおすすめ。
使用したペーパーは流さずに備え付けのゴミ箱に捨てるのがルールです。また、市街地にある公共のトイレは有料の場合が多いので、小銭は常に持ち歩きましょう。
知っておきたいトルコの水・トイレ事情!水道水は飲める?トイレは有料?
トルコ式トイレの場合でも慌てる必要はありません。日本の和式トイレと違う点は、しゃがむ方向だけ。日本とは反対でドアの方を向いて用を足します。
世界に誇るトルコの伝統芸術・工芸品
トルコはさまざまな文化が融合し、独自の文化が創られた国。そのため、世界に誇れる伝統芸術がたくさんあります。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
キリム
キリムは、アナトリア地方の遊牧民から引き継がれたトルコの伝統的な織物。縦と横の糸で織った毛足のない平織の織物で、エキゾチックなデザインや鮮やかな色合いが特徴です。昔から敷物や壁掛けとして使われてきましたが、近年はバッグや小物として使われることも多く、お土産品としても人気があります。
キリムをインテリアに取り入れよう!トルコの逞しい大地を感じる織物
トルコ絨毯
トルコ絨毯は、世界でもトップクラスの品質を誇る伝統工芸品です。特徴は、ターキッシュノットやギョルデスノットと呼ばれるダブルノット製法。縦糸に横糸を結ぶ二重結び方式で作られます。
熟練の織り手が数カ月かけて1枚のトルコ絨毯を織り上げるため、決して安い買い物ではありません。しかし、品質・見た目共に最高級のトルコ絨毯は、一見の価値はあるはずです。
憧れのトルコ絨毯の基礎知識!賢く購入するために知っておきたい情報を伝授
オヤ
オヤとは、スカーフの縁飾りの総称のこと。草花などのモチーフを糸で作り上げるトルコの伝統手芸で、昔は女性ができなくてはいけない手芸の1つでした。
最近では、日本の刺繍のような繊細な可愛らしさが女性の心をつかみ、お土産品やアクセサリーとして人気があります。
トルコの伝統手芸「オヤ」の魅力に迫る!種類や道具、歴史などを徹底解説
トルコランプ
トルコランプは、色のついたガラスを貼り合わせたカラフルなモザイクランプです。幻想的で温かみのある光は、エキゾチックな雰囲気を生み出します。職人さんが1つ1つ手作りするため同じデザインのランプはなく、全てが世界に1つだけのものです。
卓上の小さいタイプからスタンド式や吊るすタイプなどがあり、ランプとしての実用性はもちろん、装飾品としても人気があります。
トルコランプの魅力とは?特徴やデザイン、インテリアとしての飾り方を解説
トルコタイル
トルコタイルは、独自の製法で作られた粘土に複数のモチーフを描いて完成させたトルコの伝統工芸品。青を基調とした細かいデザインが特徴的です。
有名なモスクや宮殿の壁に施されたトルコタイルは一見の価値があるでしょう。その技術を生かした食器や花瓶などもお土産品として人気があります。
トルコタイル・陶器・食器の特徴と歴史を紹介!旅行のお土産にもおすすめ
音楽
トルコの伝統的な音楽は、トルコ軍楽「メフテル」や民謡音楽です。メフテルは、オスマン帝国時代から発展した伝統的な軍楽。マーチングバンドや鼓笛隊の元祖といわれています。
メフテルは西洋にも大きな影響を与えました。その時代に生まれたのが、かの有名な「トルコ行進曲」です。トルコ民謡音楽は現代トルコ音楽の基になっているといわれ、今でも国内でよく聞かれるジャンルの1つです。
トルコ音楽を知ろう!特徴や有名な曲、宗教音楽から軍楽メフテルまで徹底紹介
近年では、トルコの伝統的な音楽の他にも、西洋的なクラシック、ジャズ、ロック、ポップスなども幅広いジャンルが浸透しており、イスタンブールでは毎年ジャズフェスティバルが開催されます。
トルコの教育文化
トルコの近代教育は、建国の父アタテュルクによって始まりました。 国家主義・国民主義・民族主義を基本とした教育を受けるため、トルコ人は愛国心が強くなるのでしょう。
トルコの初代大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクの生い立ちと偉業
義務教育は、小学校4年間・中学校4年間・高校4年間の合計12年間。9月~1月・2月~6月中旬の2学期制です。
通常の週休二日制に加え、学期と学期の間には2週間の休暇、学年末には約3ヶ月の休暇と休みが多いことが特徴。また、公立と私立で教育レベルの差が大きいことも特徴です。義務教育後は就職する人も多いですが、近年は大学への進学率も上がってきています。
日本でトルコの文化を体感できる場所
ここでは、日本でトルコの文化を体感できる場所をご紹介します。「トルコに興味があるけれどすぐには現地に行けない」という方はぜひ足を運んでみてください。
東京ジャーミイ
東京ジャーミイ・ディヤーナト・トルコ文化センターは、トルコの文化や芸術を体感できる施設。東京都渋谷区に位置します。トルコ人のためにつくられた礼拝堂が老朽化で壊された後に、現在の東京ジャーミイができました。
毎週の集団礼拝やガイド付きの見学ツアー、各国の料理教室やお菓子作り、アラビア語講座やワークショップなどが開催されています。
日本最大のモスク「東京ジャーミイ」とは?日本でトルコの雰囲気を味わおう
トルコ文化センター
トルコ文化センターは、各種セミナーや文化交流イベントを行っている施設。東京都港区に位置します。
公式サイト:トルコ文化センター
トルコ語講座やトルコ料理教室をはじめ、トルコランプやオヤなどの伝統工芸品作りの教室が定期的に開催されています。
トルコの文化を学べるおすすめ映画・ドラマ3選
最後に、トルコの文化を学べる映画やドラマをご紹介します。現地の文化を知ってから旅行するとより魅力が感じられるため、ぜひ参考にしてください。
オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~
「オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~」は、トルコの前身となるオスマン帝国の皇妃を目指す女性たちの戦いの物語。4シーズン全312話という超大作です。
第10代皇帝スレイマンと皇妃に上り詰めたヒュッレムを中心に、ハレムに住む女性たちの嫉妬や欲望から生まれる人間関係が描かれています。
トルコ版の「大奥」ともいわれているため、女性同士の戦いが好きな人に特におすすめ。豪華絢爛な映像に目を奪われる方も多いでしょう。
オスマン帝国はなぜ600年以上も続いたのか?栄光と滅亡の歴史と強さの秘密
KEDI
「KEDI(猫が教えてくれたこと)」は、2016年に公開された映画。7匹の猫と人間たちの優しい触れ合いが描かれたドキュメンタリー映画です。
イスラム教の開祖ムハンマドが猫を飼っていたといわれることから、イスラム教徒は猫を大切にする風習があります。そのため、トルコには猫好きな人が多く、街中で猫に出会うことも度々あります。
この映画もそんなトルコの日常を描いており、個性溢れる7匹の猫と人間の触れ合いが、観る人を温かい気持ちにさせる映画です。
海難1890
「海難1890」は日本とトルコの友好の歴史を描いた映画です。両者の友好のきっかけとなったエルトゥールル号遭難事件と、イラン・イラク戦争時にトルコ政府が自国民より日本人を優先して助けてくれた出来事が描かれています。
この映画を観れば、日本とトルコの絆がどれだけ深いかがよくわかるでしょう。撮影は、エルトゥールル号遭難事件が起こった和歌山県串本町で行われました。
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