トルコビールを徹底解説!世界で愛されるトルコビールの魅力と美味しい飲み方
更新日:2023.04.03
投稿日:2022.03.06
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トルコ産のビールがあることをご存じでしょうか?日本ではトルコ料理店で提供されるものの、店頭販売されていることは珍しいです。トルコビールを飲んだことがある方は、そう多くはないかもしれません。
しかし、トルコやヨーロッパなど周辺諸国では、トルコビールはポピュラーです。トルコ最大のビール会社・EFES(エフェス)は、世界におけるビール生産量第10位で、多くの国々へ輸出しています。
この記事では、多くの人々に愛されているトルコビールの魅力をご紹介します。
Contents
トルコビールの歴史
ビールの起源は、紀元前5000年にまでさかのぼります。現在のイラク、シリア北東部、そしてトルコ南東部一帯を指すメソポタミアで、世界最初のビールが生まれました。
当時は、「バッピル」と呼ばれる麦芽で作ったパンをお湯に溶き、自然発酵させて作られていたと言われています。ビールはメソポタミアの人々に愛され、王や貴族、庶民に至るまでビールを愛飲し、メソポタミア文明後期には、現在の居酒屋のような施設が存在していたようです。
19世紀中頃になると、現代のビールがトルコに姿を現します。ヨーロッパの修道院でビール作りが盛んに行われるようになり、1840年頃にヨーロッパからオスマン帝国に持ち込まれ、製造が始まりました。
1890年頃には、現在飲まれているようなビールがトルコで作られるようになりました。スイス人のBOMONTI(ボモンテイ)兄弟がイスタンブールにビール工場を設立し、ビール造りを開始。そこで生まれたBOMONTIはトルコでポピュラーなビールの一つで、今も多くの人に愛されています。
ビラハーネ(ビール酒場)の登場
オスマン帝国にビールが広まった1840年代は、「ビラハーネ(BIRAHANE)」と呼ばれるビール専門の酒場もでき始めました。トルコ語で「BIRA」はビールを、「HANE」は家を意味し、直訳すると「ビールの家」という意味です。
ビラハーネは現在も残っており、気軽に立ち寄れる小さなビール酒場として地元の人たちの語らいの場となっています。ビラハーネでは料理を出さないことがほとんどで、おつまみがあるとしてもナッツのみです。
イスラム国家のトルコでお酒を飲めるのはなぜ?
国民の90%以上がイスラム教を信仰しているトルコ。イスラム教では、お酒が禁止されているのでは?と思った方も多いかもしれません。しかし、トルコでは誰でも自由にお酒が飲めます。飲酒が認められているのは、宗教と政治を切り離す政教分離を原則としているためです。
また、現在のトルコがあるアナトリアでイスラム教文化が広がる以前はキリスト教が布教されていたことも関係しているとする考えもあります。
イスラエルで生まれたキリストの教えは、キリスト死後に弟子たちによってギリシャやローマへ伝えられました。その際にアナトリアも経由しており、弟子たちはトルコの地にもキリスト教を広めたのです。キリスト教ではワインを「キリストの血」と考えており、信仰儀礼においてワインが不可欠であったため、飲酒の習慣が残った可能性があります。
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トルコビールってどんな味?味の特徴について
トルコビールは、スッキリした味わいで飲みやすいことが特徴です。なかにはコクが感じられる深みのあるものもありますが、日本人がイメージするようなビール独特のクセがありません。ビールが苦手という方でも飲みやすいでしょう。
トルコビールはどのような料理にも合います。スパイスを使った複雑で奥行きのあるトルコ料理と軽やかなトルコビールは相性抜群。肉料理のケバブやキョフテは、ビールがどんどん進むでしょう。
空気が乾燥したトルコの気候もビールを飲むのにぴったりです。エーゲ海・地中海沿岸地域は温暖で空気が乾燥している地中海性気候です。中央部はステップ気候または高地地中海性気候であるため、夏は気温が高くなり乾燥しています。カラリと晴れた日に飲むさわやかな味わいのトルコビールは、乾いた喉を潤し爽快な気分にしてくれます。
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トルコビールの種類!トルコの定番ビールをご紹介
ここからはトルコの定番ビールを紹介していきます。気になるビールを見つけて、ぜひ飲んでみてください。
EFES(エフェス)
トルコを代表するビールが「EFES(エフェス)」です。1966年創業のANADOLU・EFES社のビールで、同社のビール工場があるイズミルの古代遺跡・エフェソス(世界遺産)から名づけられました。
創業以来から親しまれている「EFES PILSEN(エフェス・ピルスナー)」は、エフェスの看板商品で青いラベルが目印。トルコだけでなく、地中海周辺国でも販売されています。スッキリとキレのある喉越しと爽やかな味わいが特徴です。誰にでも飲みやすく、合わせる料理も選びません。
エフェスはピルスナー以外にも、高アルコールの「EFES・Extra(エフェス・エクストラ)」やグルテン・フリーの「EFES Glutensiz」など、さまざまな種類のビールを製造・販売しています。
公式サイト:https://www.anadoluefes.com/en
BOMONTI(ボモンティ)
「BOMONTI(ボモンティ)」はトルコで最も古い歴史を持ちます。1890年にできたトルコで初めての現代的ビール工場で生まれました。1991年にボモンティの工場は閉鎖され、現在はANADOLU・EFES社のブランドとなっています。ちなみに、この工場は2015年にエンターテインメント施設に大改造。レストランやクラフトビール店、ライブハウスなどを有しています。
ボモンティビールの特徴は、やわらかな甘みと麦の旨味です。コクがありながらクセがないため、どのような料理にも合うでしょう。創業当時から変わらない味を保っています。
フィルター無濾過の「Bomonti Filtresiz(ボモンティ フィルトレシズ)」もビール酵母独特のコクが楽しめるビールです。
TUBORG(トゥボルグ)
「TUBORG(トゥボルグ)」はデンマーク生まれのビールで、トルコでも親しまれています。1967年にTürk Tuborg(トルコ・トゥボルグ)社がライセンスを取得し、イズミルにある工場で製造を始めました。
最近人気を集めているのが、「TUBORG GOLD(トゥボルグ・ゴールド)」です。1895年からコペンハーゲンの工場で醸造されており、ヨーロッパでも高い人気を誇ります。ポップの香りと苦みを感じられ、コクがあるのが特徴です。
公式サイト:https://www.tuborg.com/en/
トルコはクラフトビールも豊富
トルコはクラフトビールも豊富で、さまざまなビールが造られています。
・GARAGUZU(ガラグズ)
「GARAGUZU」はトルコ初のクラフトビールブランドです。防腐剤や人工甘味料、人工香料などを使用しないことにこだわり、地元の食材を使用したビール造りをしています。
公式サイト:https://garaguzu.com.tr/
・PABLO Bira(パブロビラ)
エーゲ海に面した街・ボドルムのビーチをイメージして作られているビールです。トルコの明るい太陽が降り注ぐ夏らしい雰囲気を再現し、エキゾチックで爽快な味わいが特徴です。
公式サイト:https://www.pablobira.com/#
トルコビールの値段!価格帯をご紹介
トルコで購入する場合
日本と比べると物価が安いトルコは、ビールが安い価格で手に入ります。しかし、近年トルコでは酒税の引き上げが進んでいるため、今後は価格が変わる可能性があります。
グラスビール(レストランなど) | 45TL | 380円 |
---|---|---|
缶ビール(スーパーなど) | 18TL | 150円 |
※1TL(トルコリラ)=8.4円で計算
トルコの物価は安い?スーパーやレストランなどさまざまな料金を解説!
日本で購入する場合
トルコビールは日本でも購入できます。最も手軽に入手する方法は、オンラインショップで購入すること。「EFES(エフェス)」と「PABLO(パブロ)」は、比較的手に入りやすく、楽天やAmazonなどの大手ECモールで購入できます。
- エフェス・スタイニー(300ml)24本:約8,500円(1本あたり約354円)
https://item.rakuten.co.jp/yo-sake/z910005a24/ - パブロ・インディアペールエールIPA(330ml)24本:約12,300円(1本あたり約512円)
https://item.rakuten.co.jp/akisa/8681705004511/
※2022年2月時点
トルコの缶ビールには蓋がついている?
トルコの缶ビールを初めて見る方は驚くかもしれません。トルコの缶ビールは缶の上部をすっぽりと覆うようなカバーがあります。これは、飲み口を保護するために付けられています。
店頭にビールを陳列するときや購入するときなど、不特定多数の人がビールに触れるため、汚れが付着してしまう可能性があります。飲み口を覆って触れないようにすることで、清潔に保っているのです。飲み口を洗う必要がないため、買ってすぐに飲みたいというときにも便利です。
2015年にTUBORG社が安心して缶ビールを飲めるよう、TUBORG GOLD缶に蓋を付けるようになり、他社のビールもそれにならうようになりました。
トルコビールにあうおつまみを紹介
ここからはトルコビールに合うおつまみを紹介します。
Kebab(ケバブ)
トルコの定番料理であるケバブは、ビールとの相性がとても良いです。ケバブは牛肉や羊肉、野菜をローストした料理で、香辛料を使った味付けがビールを進めてくれます。ドネルケバブやシシケバブなど、いくつかの種類があるので、いろいろなトルコビールとケバブを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Kokorec(ココレチ)
ホルモン好きの方におすすめなのが、羊の腸・ココレチ。腸を巻き付けた鉄の棒をゆっくり回転させて焼きます。焼いたココレチは細かく刻み、トマトやシシトウ、玉ねぎなどの野菜を混ぜ、ミント、粗びきの唐辛子、スパイス、そして塩などで味付けをし、パンに乗せたり挟んだりして食べます。スパイスやミントが臭みを和らげながら、程よいアクセントになっているため、ビールによく合うでしょう。
Midye Dolma(ミディエ・ドルマ)
ココレチと並んでビールのおつまみとしてよく食べられているのが、ミディエ・ドルマ。スパイスたっぷりのピラフをムール貝に詰めた料理です。スパイシーなピラフはビールにぴったり。ムール貝を割ってレモンを絞り、空いた貝殻をスプーンのように使って一口で食べます。
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Pastirmali Pide(パストゥルマル・ピデ)
トルコのピザと言えば、「Pide(ピデ)」。さまざまな種類がありますが、中でも塩味が効いたハム「Pastirmali(パストゥルマ)」をトッピングしたピデがおつまみにおすすめです。肉を自然乾燥で発酵し、クミンやガーリックペーストなどを練りこんだ「Sucuk(スジュク)」を乗せたピデもビールが進みます。
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トルコでビールが飲める場所を紹介
トルコの居酒屋と言えば、MEYHANE(メイハーネ)が良く知られていますが、ここではラクというお酒を飲むのが主流。そのため、トルコビールを飲むならビールを提供しているレストランなどへ行くのがおすすめです。
Kadıköy(カドゥキョイ)
イスタンブールのアジア側、海岸沿いに位置する若い世代に人気のエリアで、ビールが飲めるレストランやパブが集まります。おしゃれなカフェやレストランがあるかと思えば、魚介類などを販売する市場もあり、モダンとローカルな雰囲気の両方を楽しめるでしょう。
Nevizade(ネヴィザーデ通り)
イスタンブール新市街にあるバーストリートです。100メートルほどの小道にたくさんのバーが軒を連ねており、地元のB級グルメとビールを楽しめるお店も多く集まります。近くには、魚市場のBalik Pazari(バルック・パサル)もあり、併せて訪れるのもいいでしょう。
トルコは飲酒が認められていますが、泥酔して他人に迷惑をかける行為はNGです。厳しく罰せられる場合があるため、飲みすぎにはご注意ください!
日本でトルコビールを飲むには?おすすめレストランを紹介
トルコビールは、トルコに行けば当然飲めますが、日本にいても楽しむことができます。オンラインショップで購入できるビールもありますが、自宅ではなく外食でトルコビールを飲むなら、トルコ料理店へ!
ビールの他、トルコワインやラクというトルコの国民酒を提供しているお店もあります。ビールに限らずさまざまなトルコのお酒を楽しめますよ。
MishMish中東KITCHEN&BAR(銀座)
トルコ料理店ではビールはEFESが定番ですが、ここMishMish(ミシュミシュ)では、「SHEREFE Pilsner(シェレフピルスナー)」やクラフトビールの「GARAGUZU(ガラグズ)」が飲めます。
トルコを含めた中東では、お客様にたっぷりの料理を出してもてなす文化が根付いています。中東の雰囲気を日本でも楽しめるよう、リーズナブルなコースが充実しているのも魅力です。
店名 | MishMish中東KITCHEN&BAR |
---|---|
公式サイト | https://mishmish.owst.jp/ |
住所 | 東京都中央区銀座6-3-15 長谷第2ビル2F |
レストラン ザクロ(西日暮里)
ユニークな店主とボリュームいっぱいのコースが話題で、テレビなどメディアでも良く取り上げられているお店です。トルコ近隣のイランやウズベキスタン料理も食べられる上、トルコビールのほか、レバノンやチュニジアのビールも揃っています。
店名 | レストラン ザクロ |
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公式サイト | https://nippori-zakuro.com/menu |
住所 | 東京都荒川区西日暮里3-13-2 スタジオ谷中1階 |
飲みすぎに注意しておいしいトルコビールを楽しもう
古い歴史を持つトルコビール。ビールメーカー各々の個性が際立つ、魅力的なビールばかりです。ぜひ興味を持った方はトルコビールを飲んでみてください。トルコビールは、ゴクゴクと飲めてしまう軽い味わいが特徴なので、ついつい飲みすぎないよう注意しましょう。
また、ラマダンにおける日中の断食の間は、地元の方々の前では飲酒はしないなどの配慮をした方がいいでしょう。マナーを守ってトルコビールをお楽しみください!
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