サフランはどんなスパイス?特徴や効果、おすすめレシピ
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.09.22
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香辛料としてお料理の色付けや香りづけとして使われるサフラン。サフランは、地中海東部沿岸原産のアヤメ科の多年草で、主にめしべ(柱頭)を乾燥させたものがスパイスとして料理に使われています。鮮やかな紫色の花を咲かせ、見た目にも美しい植物です。
古代から栽培され、さまざまな料理に使われてきました。華やかな見た目になったりエスニックな風味が加わったりして、日本でも好まれています。ただし、使い方がよくわからない、効果や効能が知りたい、と思っている人もいるでしょう。
そこで今回は、サフランの特徴や歴史、成分、効果やサフランを使ったおすすめのレシピなどをご紹介します。さまざまな角度からサフランの魅力に触れてみましょう。
スパイスとしてのサフランの使い方
サフランは、甘く華やかな香りとほんのりビターな風味が感じられるスパイスです。唯一無二の鮮やかな発色が特徴的で、古くから広い地域でさまざまな料理に利用されてきました。特に、魚や貝などの魚介類との相性が良く、魚介類特有の臭みを消して旨味を引き立ててくれるレシピが数多く存在します。
サフランの色素成分は水に溶けやすいため、料理に取り入れる際は水に浸けてしばらく置いてから使用します。水に浸すほど色と香りが出やすくなりますが、24時間以上浸すと香りが減ってしまうとも考えられているため注意しましょう。
サフランを保存する際は、保存容器を密閉して高温・多湿の冷暗所に置きます。湿気や空気に触れると、せっかくの香りが落ちてしまいます。
サフランの代用として使える食材は?
サフランは高価な食材で、さらに、店舗では取り扱いが無い場合もあり手に入れるのが難しいこともあるでしょう。サフランがないときの代用として使えるスパイスとして、ターメリックやクチナシ、ベニバナ(サフラワー)などが挙げられます。
カレーによく利用されるターメリックは、サフランと同じく黄色いスパイスです。別名ウコンとも呼ばれ、ドリンク剤などにも使われています。サフランの色素成分は水に溶けやすい性質なのに対し、ターメリックの色素は油に溶けやすい性質があります。風味付けや色付けで使うことができ、サフランのように幅広いレシピで使えるスパイスです。
また、クチナシの実も黄色に着色するため、サフランの代わりとしてパエリアなどに使えます。サフランと同じように水溶性で使いやすい食材です。
さらに、日本でも平安時代より染料や口紅として使われてきたベニバナもサフランの代用品として使えます。サフランと比較して少し苦みがありサフラン特有の香りは得られませんが、値段が安く気軽に利用しやすいのがメリットです。
サフランのおすすめの選び方|値段が高い理由は?
サフランは高価なスパイスですが、品質によってばらつきがあったりグレードがあったりします。
なかには粗悪品も出回っているため、質の悪いサフランを避けるためにはパウダーではなく糸状のホールスパイスを買うのがおすすめです。パウダー形状だと、本来は必要のない部分まで粉砕し、かさ増しして一緒に販売していることがあります。レシピでパウダー形状のサフランが必要な場合は、すり鉢などを使えば自宅でも簡単に粉砕できるのでホールスパイスでも問題ありません。
サフランの栽培は労働集約的であり、育てるのにも時間がかかります。花一輪からわずかな量しか採れず、めしべを摘む作業には熟練を要します。サフランは繊細なため、収穫は非常に慎重で時間のかかるプロセスです。サフランが高級スパイスとされるのはこのためで、偽物が流通していることもあるので注意が必要です。
サフランは古くから珍重されてきた
地中海原産のサフランは、紀元前からスパイス・染料・生薬として人々に利用されてきました。ギリシャのクレタ島にあるクノッソス宮殿の壁画には、サフランを摘む女性の様子が描かれています。
また、旧約聖書にもサフランについての記載があり、古来人々の生活に身近な存在だったことがわかります。サフランは、歴史上で有名な人物にも愛用されてきました。アレキサンダー大王は、戦闘で負った傷を癒すためにサフラン風呂に浸かっていたと言い伝えられています。
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さらに、クレオパトラは、男性に会う前にサフランと馬乳のミルク風呂に浸かり、サフラン化粧水で手入れをするなど美容効果を期待して利用していました。
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このように、サフランはスパイスとしてだけではなく、さまざまなかたちで使われてきた植物です。14世紀にはヨーロッパでペストが流行しましたが、この際にサフランは特効薬と信じられたため、高価なサフランを巡って戦争が起こったほど、希少価値の高いものだったのです。
サフランの産地
サフランの主な産地はスペインやイラン、フランス、イタリアです。サフランというと、魚介を使ったスペインのパエリアを想起する人も多いでしょう。スペインでは、世界でも質の高いサフランが手に入ると考えられています。
また、現在サフランの世界最大の生産量を誇る国はイランです。この他にも、ギリシャやモロッコ、インドなど世界の各地で栽培されています。
サフランは日本でも栽培されており、大分県竹田市が代表的な産地です。最近では、山梨県甲府市産のものも有名になっており、国産のサフランが手に入ります。
さらに、世界遺産に登録されているトルコの街、サフランボルも産地として有名です。
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およそ100年前のトルコ人の生活を垣間見れるサフランボルの民家建築が印象的な街ですが、かつてはサフランの産地としても有名で都市の名前の由来にもなっています。
サフランの栄養と効果・効能
サフランが古代から人々に愛されてきたのは、その栄養や効果・効能にも理由があります。サフランの主成分は、クロシン、クロセチン、サフラーナ、ピクロクロシンです。クロシン・クロセチンは黄色い天然色素成分で、これが料理に鮮やかな色を添えてくれます。また、サフラーナはサフラン独特の香りを与えてくれ、ピクロクロシンは苦みをもたらす成分です。
こうした成分から構成されるサフランにはさまざまな効果や効能があり、代表的なものとして下記のようなものが挙げられます。
- 抗酸化作用
- 抗うつ効果、気分向上
- 抗がん作用
- 性欲促進
- 子宮収縮
- 食欲抑制
- 月経前症候群(PMS)の症状緩和
- 睡眠障害改善
- 眼精疲労改善
- 疲労回復
- シミ・くすみ予防
- 記憶障害の改善
特に抗酸化作用や抗うつ効果などに注目され、古くから生薬として用いられてきました。成分が強いため、食べ過ぎには注意が必要です。また、子宮収縮作用があるといわれるため、妊娠中の摂取には特に気を配る必要があるでしょう。
さらに、サフラン100g当たりは310kcalのエネルギーがあり、タンパク質11.4g、脂質5.85g、炭水化物65.4g、食物繊維 3.9g、そしてカルシウム、鉄分、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、亜鉛、マンガン、セレン、ビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンAなどさまざまな栄養価が含まれています。
サフランを使った料理のレシピ
サフランを使うとレシピが華やかになったり食材の臭みを消してふんわりと香り高くなったりします。水溶性で使いやすく、少量でも存在感を示してくれるスパイスです。ここからは、サフランを使ったおすすめのレシピをご紹介します。
サフランライス
サフランライスは、煮込み料理の付け合わせとして用意するだけでも食卓が色鮮やかになり映えるレシピです。特別感があり、いつもの料理を少しグレードアップして食事を盛り上げたいときにピッタリの一品です。炊飯器を使って簡単に作れるので、サフランを初めて使う人にもおすすめです。
サフランライスの材料
- 米:2合
- 水:2合分
- サフラン:一つまみ(ホールスパイスの場合、10~15本程度)
- オリーブオイルまたはバター:小さじ1杯程度
- 塩:少々
- まずはお米を丁寧に洗い、炊飯器の目盛りに従ってお米と水をセットします。そこにサフランを入れ、20~30分程度浸しておくと色が出てくるでしょう。
- オリーブオイルまたはバター、そして塩を加えて軽く混ぜてから炊きあげます。炊き上がったら、優しく混ぜ合わせて盛り付けます。
パエリア
サフランといえば、スペイン料理のパエリアを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。フライパン一つで作れ、見た目も綺麗で豪華さを感じられる一品です。サフランの香りと魚介の風味が混ざり合い、パーティやおもてなし料理としても大活躍するレシピです。
パエリアの材料(2~3人分)
- 玉ねぎ:1個 ※みじん切り
- 赤パプリカ:1個 ※さいの目切り
- ピーマン:1個 ※さいの目切
- オリーブオイル:大さじ3杯弱
- ニンニク:4片
- 完熟トマト:3個 ※みじん切 (トマト缶240mlでも代用可)
- ローリエ:2枚程度
- パプリカパウダー:小さじ1杯
- サフラン:一つまみ(15~20本程度)
- 塩:少々
- 胡椒:少々
- 白ワイン:1/4カップ(50 ml)
- 皮なし鶏もも肉:4枚 ※一口大よりちいさめ
- パセリ:2~3本 ※みじん切
- 米:2カップ ※リゾット専用米やバレンシア米が好ましい。
- チキンストック:1L
- 大きめの海老:10匹 (尾は残して皮をむいておく)
- ムール貝:10~12個
- イカ:250g
- レモン:適量
- まずは、野菜やお肉をそれぞれ適当な大きさに切って準備します。必要があればお米を洗いますが、ベタっとした仕上がりを避け旨味を吸収しやすくするためには洗わずにそのまま利用します。
- 大きめのフライパンを用意し、オリーブオイルを入れて中火で温めます。ここに玉ねぎ、ピーマン、ニンニクを投入し、玉ねぎが半透明になるのを目安に炒めます。刻んだトマト、ローリエ、パプリカ、サフラン、塩、胡椒を追加し、5分程度かき混ぜながら炒めましょう。
- 白ワインを加えたら、10分程度煮込みます。ここで味見をし、必要があれば塩を追加します。
- 鶏肉とお米を加えて1分ほど炒めます。
- チキンストックをフライパンの縁から回し入れ、フライパンを揺らしながらお米が均一になるように煮込みます。このまま弱火で煮込み、様子を見ながらフライパンを揺すります。
- 蓋をせずに15~18分間煮込んだら、海老、ムール貝、イカをのせて約5分間熱します。この段階では、かき混ぜないようにしましょう。
- お米の芯がなくなり火が通り切ったら完成です。芯が残りお米が固い場合は、お湯またはチキンストックを少し足して煮込みましょう。
- フライパンを火からおろし、ふきんで包んで10分程度休ませます。お皿に盛り付け、レモンやパセリを加えてできあがりです。
ブイヤベース
地中海料理の代表格ともいえるブイヤベースは、魚介の旨味をたっぷりと味わうことができるレシピです。
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南フランス、マルセイユの名物で、香味野菜と地元の魚介を堪能できます。
ブイヤベースの材料(4~6人分)
A:ハーブ束
- 長ネギの緑部分:1本分
- 生タイム:少々
- ローリエ:3枚
- パセリ:2~3本 ※茎はそのままにし、葉はみじん切りにする。
- オレンジの皮:2片
B:スープ
- 鷹の爪:1本 ※種をとってみじん切り
- オリーブオイル:大さじ4杯
- 玉ねぎ:小さめ2つ ※みじん切り
- 長ネギの白部分:1本分 ※薄い斜め切り
- フェンネル:1本 ※みじん切り
- ニンニク:4片 ※みじん切り
- トマトピューレ:大さじ1杯
- スターアニス:1つ
- 白ワイン:大さじ2
- 完熟トマト:大きめ4個 ※みじん切り
- サフラン:一つまみ(20本ほど)
- フィッシュブイヨン:5L
- じゃがいも:1/4個
- 白身魚:1㎏ ※エビ、アンコウ、タイ、ボラなど
- ムール貝またはあさり:10~15個
C:ルイユソース
- ニンニク:2片
- 鷹の爪:1本 ※種を取り除き、みじん切り
- サフラン:一つまみ(10~15本ほど)
- ジャガイモ:1/4個 ※Bのスープで煮込んでおいたものを使う。
- 卵黄:1個分
- オリーブオイル:100 ml
- レモン汁:大さじ1杯
- 各材料をそれぞれ適当な大きさに切って準備します。
- 「A:ハーブ束」から作りましょう。タイム、ローリエ、パセリ、オレンジの皮、鷹の爪などの香味野菜を長ネギの緑部分で包んで束にし、タコ糸で巻いて固定します。
- 次に、「B:スープ」を用意します。大きめの鍋にオリーブオイルを敷いて火を加え、玉ねぎのみじん切り、長ネギのスライスとフェンネルのみじん切りを炒めます。柔らかくなるまで、約10分程度火を通しましょう。
- ニンニクを追加して約2分炒め、ハーブ束とトマト、スターアニス、白ワイン、トマトのみじん切りとサフランを加えます。かき混ぜて1~2分程度煮込み、フィッシュブイヨンを追加します。
- 塩・胡椒で味を調え、ジャガイモを追加して煮込みます。火が通って柔らかくなったらソース用に取り出して別にしておきます。
- スープを煮込んでいる間に、「C:ルイユソース」を作り始めましょう。ニンニク、鷹の爪、サフランと塩一つまみを乳鉢に入れて潰し、調理済みのジャガイモを加えてペースト状にします。ここに卵黄とオリーブオイルを加え、マヨネーズ状になるように泡だて器で混ぜます。最後にレモン汁を合わせたらルイユソースの完成です。
- スープに魚介類を加えて煮込みます。魚はほろほろと柔らかく、貝類は口が開くまで煮込んだら出来上がりです。スープからハーブ束とスターアニスを取り除き、残りをブレンダーで滑らかに粉砕し網で濾すと、手間はかかりますがより本格的に仕上がります。魚介類を足す際は、火の通りにくいものから順に入れて煮込んでいきます。
- 盛り付けには、穴あきお玉などを使うとほろほろの魚介を崩さずに取り分けることができます。最後にスープを上から注ぎ、パセリを飾りましょう。お好みでルイユソースを添えて完成です。
サフランティー
さまざまな効能があるサフランは、お茶として飲むとほっとします。寝付けない夜や生理中、更年期症状で苦しんでいるときなどには症状の緩和効果も期待できおすすめです。簡単に準備できるので、日頃のティータイムに取り入れてみてはいかがでしょうか。
トルコ紅茶「チャイ」のおいしい飲み方や淹れ方から購入方法まで紹介!
サフランティーの材料(カップ1杯程度)
- サフラン:一つまみ(5~10本程度)
- 熱湯:100ml
- ティーカップにサフランを入れ、熱湯をゆっくり注ぎます。
- 鮮やかな黄色が出てきたら完成です。
サフランはトルコでも欠かせない食材
トルコでは、古くから主にサフランボルでサフランが栽培されてきました。サフラン入りピラフやチキンスープ、デザート、飲み物をはじめとしたレシピや化粧品など、さまざまな用途でサフランが親しまれています。
伝統名物のサフランボルロクムやサフラン石鹸、サフラン入りはちみつ、サフラン・コロンやなど、トルコならではのアイテムはトルコ旅行の思い出やお土産にもおすすめです。
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