サフランボルは古き良き町並みが残る世界遺産!観光のポイントを解説
更新日:2023.02.28
投稿日:2021.11.16
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サフランボルは、黒海から約50km内陸へ入った険しい山々の間にある小都市です。日本からの観光ツアーでは訪れることが少ない町なので知らない人が多いかもしれません。そんなサフランボルは、古い町並みが残る素敵な町でトルコ国内外から多くの観光客が訪れる人気観光地なのです。
サフランボルはどういうところなのか?サフランボルについて詳しく解説していきます。
Contents
サフランボルってこんなところ!
サフランボル(Safranbolu)は、険しい山々の間にある切り立った谷に広がっている町です。空港はないので訪れる際は陸路のみとなります。
サフランボルには、トルコ国内でも特に昔ながらの民家が数多く残されており、土壁に木の窓枠が並んだ独特の木造家屋には今も多くの人々が暮らしています。木造家屋は現在2,000軒並び、そのうちの800軒ほどが保護されています。
サフランボル最大の魅力が、この歴史ある木造家屋が多く残る古い町並みで、1994年には「サフランボル市街」として世界遺産に登録されました。
現在ではサフランボルの主な産業は観光となり、年間を通して15万人もの人が観光に訪れ、サフランボルは多くの人々を魅了しています。
また、トルコは親日国として知られていますが、その中でもサフランボルは毎年5月に「日本文化の日」を開催するなど、トルコの中でも特に熱心に日本との交流を行っている都市でもあります。
ちなみにサフランボルという名前は、その昔、この地域に香料サフランの花が群生していたことから「サフランの町」として名付けられたのが由来です。
サフランボルの歴史
サフランボルの歴史は紀元前3000年までさかのぼると言われています。しかし、いつから人々がこの地に暮らし始めたかは分かっていません。
サフランボルの地は、ヒッタイト人、フリギア人、リディア人、ペルシャ人、ギリシャ人、ローマ人など多くの民族に支配されてきましたが、1423年にオスマン帝国に入ると、17世紀には最大の繁栄期を迎えます。
サフランボルが最も栄えたのは14~17世紀頃でした。シルクロードの宿場町でもあったため、当時は馬の鞍や革靴作りを中心とした商業都市でした。
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しかし、20世紀になると鉄道が発展、サフランボルは鉄道網から外れたことによって衰退し過疎化が進んでしまいます。これにより、サフランボルは過疎化した田舎町となってしまいます。しかし、かえって古い町並みが残り、木造の伝統的古民家集落の町として注目を浴びるようになりました。
そして、これらオスマン朝時代からの古い町並みは世界遺産に登録され、現在では多くの人が訪れる、トルコが誇る人気観光地の一つとなりました。
最大の見どころ!サフランボルの古民家の特徴
サフランボルの最大の魅力は古くから残っている木造家屋ですが、これらの民家はおよそ100~200年前に建てられたものです。そのほとんどが木と土壁を基本に造られています。
壁は馬のエサとなる藁、土、そして卵をこねて造られ、夏は涼しく、寒い冬の日は、数日前に燃やした火のぬくもりが感じられるというほどの保温力があると言われています。
現代のトルコの家や日本の家との違い
トルコの民家は廊下というのがなく、「ソファ(Sofa)」と呼ばれる居間空間の周りに部屋があるという独特の造りが特徴です。ソファと呼ばれる居間空間は地方によって呼び名が異なり、サフランボルでは「チャルダック」と呼んでいます。
そして昔のトルコでは、夏と冬の住み分けが行われており、ソファがバルコニーにあるならば夏の家、屋内にあるならば冬の家となっていました。サフランボルの家をよく見ると冬の家が多いのが分かります。
こんな違いを知って民家を眺めるのも面白いかもしれませんね。
昔のトルコは日本と同様に大家族で、一族がひとつ屋根の下に住んでいました。そのため、家は大きく、家長、その子供たちの家族が住む部屋と、いくつもの部屋がありました。
基本的に1~2階建ての家が多く、1階には玄関と馬車の駐車場、および客用のサロン(セラムルク/Selamlık)がありました。女性用のセラムルクは外部からは見えないように目隠しがされていました。
民家を改築したホテルに宿泊するのもおすすめ!
サフランボルには、全体で2,500人を収容できる宿泊施設がありますが、その中には民家を改築したホテルもあります。
民家を改築したホテルに行くと、シャワールームが一見して分からないことがあります。タンスの扉を開くと、いきなりシャワールームがある仕掛けになっている客室もあり、昔の洗い場はこんな形だったのかと思わせる、興味深い造りとなっています。
サフランボルのおすすめ観光スポット
サフランボルは1日あれば十分観光ができるほどの小さな町です。町は大きく3つのエリアに分かれています。
- 高台にある住宅街「バーラル(Bağlar)」
- バーラルの南東にありドルムシュ(Dolmuş=乗合ミニバス)が到着する「クランキョイ(Kıranköy)」
- 伝統家屋などが集まる「チャルシュ(Çarşı)」と呼ばれる旧市街
サフランボルの主な観光スポットはチャルシュ(旧市街)に集まっています。
石畳の坂道をたどりながら、古き良き町並みをじっくり見て回るのも良いですが、サフランボルで押さえたい観光スポットも紹介していきます。
サフランボル歴史博物館
サフランボル歴史博物館は、眺めのよい旧市街西側の丘に建ちます。旧役場「エスキ・ヒュキュメット・コナウ(Eski Hükümet Konağı)」を改装した博物館で、建物は1907年にカスタモヌ県知事エニス・パシャによって建てられました。1976年に起きた火災で長らく廃墟となっていましたが、2007年に博物館としてオープンしました。
博物館1階はサフランボルの歴史に関するパネルや写真の展示がメインとなっており、2階にはオスマン朝時代の家財道具などが展示されています。
地下は通商史や伝統工芸をテーマとしており、鍛冶屋や靴屋など職人の作業風景を人形で再現されており、とても興味深い内容となっています。
名称 | サフランボル歴史博物館(Safranbolu Kent Tarihi Müzesi) |
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住所 | Çeşme, Kale Altı Sk. No:19, 78600 Safranbolu/Karabük, Turkey |
開館時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 月曜日 |
入場料 | 5 TL |
カイマカムラル・エヴィ
サフランボルには古民家の内部を一般に公開して、当時の生活の様子を再現している場所があります。それが「カイマカムラル・エヴィ(Kaymakamlar Evi)」で、サフランボル観光の見どころのひとつです。
カイマカムラル・エヴィは、サフランボル兵舎長であったハジュ・メフメット・エフェンディが、オスマン帝国時代の19世紀初頭に建てたと言われています。
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オスマン帝国はイスラム教国であったことから、男性と女性の空間が分かれており、セラムルクと呼ばれる男性専用のサロンと、ハラムルクと呼ばれる女性専用のサロンがありました。女性は男性の空間に入ることはできず、家の中は女性が直接男性と顔を合わせないようにする工夫がされています。
そんな家庭内の様子を、人形などを使って分かりやすく展示しているので、当時の生活の雰囲気を感じられ、伝統的なトルコの暮らしを垣間見ることができます。他にも、土間に展示された昔の生活用具、上階のオジャック(暖炉)や飾り棚なども歴史を感じさせ、とても興味深い場所といえます。
サフランボルを訪れたら欠かせない観光スポットです。
名称 | カイマカムラル・エヴィ(Kaymakamlar Evi) |
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住所 | musalla mah, Hıdırlık Sk. no:6, 78600 Safranbolu/Karabük, Turkey |
開館時間 | 夏季(4/1~10/31)9:00~18:00 冬季(11/1~3/31)9:00~17:30 |
定休日 | なし |
入場料 | 5 TL |
フドゥルルックの丘
麓から旧市街の町を歩いていくと、頂上が平らな公園になっている「フドゥルルックの丘(Hıdırlık Tepesi)」にたどり着きます。この丘にある公園から世界遺産であるサフランボルの町並みを一望でき、絶景スポットとして人気の場所です。
公園の近くにはカフェもあるので、チャイを飲みながらゆっくりと休憩するのもおすすめです。さらに登っていった先には、19世紀半ばに建てられたハッサンパシャ廟があります。
名称 | フドゥルルックの丘(Hıdırlık Tepesi) |
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住所 | Çeşme, 78600 Safranbolu/Karabük, Turkey |
入場料 | 8:00~24:00の入場は1 TL |
アラスタ・バザール(Arasta Çarşısı)
サフランボルの旧市街の真ん中には「アラスタ・バザール(Arasta Çarşısı)」と呼ばれる、可愛らしいバザールがあります。17世紀から続いている伝統のあるバザールで、葡萄棚が上部にあり、夏には葉が茂って自然の日よけとなり、冬は陽が指し、素敵な雰囲気となっています。
アラスタ・バザールには、繊細な細工が施された手編みレースのクロスやスカーフ、可愛らしい刺繍のバッグなどの他、木彫りのキャンドルスタンドや手鏡などの手工芸品が揃っているので、のんびり散策しながらショッピングも楽しめます。
サフランボルへの行き方・アクセス
サフランボルはトルコの首都アンカラから200kmほどの場所にあり、サフランボルへのアクセスは陸路のみとなります。
イスタンブールやアンカラなどの主要都市からバスが走っており、イスタンブールからは約7時間、アンカラからは約3時間となっています。イスタンブールからは夜行バスも出ているので、出発翌日の朝に到着してそのまま観光が楽しめます。
サフランボルの気候と観光のベストシーズン
黒海と中央アナトリア気候の中間に位置しているサフランボルは、夏は暑く冬は寒くなります。夏は日本のような湿気はなく比較的乾燥しています。平均最高気温は30℃ほどです。
冬には降雪もあり、早いと12月には雪が降り始めます。また、最低気温はマイナスになる日も多くありだいぶ寒くなります。
そして特徴的なのが、春と冬が長く、夏は7月上旬から9月下旬頃までとなること。四季の訪れに関しては、東京と似ているかもしれません。
雪の積もった町並みの冬景色も魅力的ですが、過ごしやすい気温である6月中旬から9月下旬頃までがサフランボルを訪れるベストシーズンと言えます。
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サフランボルの治安情報
観光地でもあるサフランボルの治安は比較的良いと言えます。
しかし、他諸外国同様に日本と比べるとスリや置き引きといった軽犯罪に遭う可能性はあるため、「貴重品は肌身離さず持ち歩く」「夜は人通りの少ない場所に行かない」といった海外旅行における基本的な対策は心がけましょう。
少し足を延ばして…サフランボル近郊の「ヨリョク村」もおすすめ
サフランボルから南東へ11kmの場所に「ヨリョク村(Yörük Köyü)」という、小さな村があります。ヨリョク(Yörük)はトルコ語で「遊牧民」を意味しており、ヨリョク村にはテュルクメン系のカラケチリ(Karakeçili)族が中心となって定住していたと言われています。
ヨリョク村にも伝統家屋が保存されており、そのいくつかは公開されています。
スィパーヒオウル・エヴィ(Sipahioğlu Evi)
ヨリョク村で公開されている古民家の中に「スィパーヒオウル・エヴィ(Sipahioğlu Evi)」と呼ばれる、築350年の古民家があります。
ここは見学できる部屋も多く、ベクタシュ教団(トルコの神秘主義教団)の思想に影響された12の数に合わせた装飾や、独特の装飾模様に昔のお風呂などはとても興味深いです。天井や壁に描かれた装飾も必見です。
サフランボルの家は冬の家が多いですが、ヨリョク村は夏の家が多いのがよく見ると分かります。のんびりとした時間が流れる小さな村ですが、シーズン中は伝統料理を出すチャイハーネもオープンするので、食事を楽しむこともできます。
名称 | スィパーヒオウル・エヴィ(Sipahioğlu Evi) |
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住所 | 78600, Karabük, Turkey |
開館時間 | 夏季(4/1~10/31)8:30~20:00 冬季(11/1~3/31)8:30~18:00 |
定休日 | なし |
入場料 | 2 TL |
サフランボルで食べたいご当地グルメ!
トルコ料理は世界三大料理のひとつということだけあって料理の種類もとにかく豊富です。そして、広大な面積を誇るトルコでは地域ごとにご当地グルメも多くあります。トルコ旅行でもし様々な土地を訪れる機会があるならば、ご当地グルメも楽しみたいところです。
もちろん、サフランボルにも名物グルメはありますので紹介します。
ビュクメ(Bükme)
トルコ料理の中に「ピデ」という名の細長いピザのような料理があり、ピデはピザの起源とも言われています。ピデにはたくさんの種類があり、各地方や土地によっても様々なピデがあります。
ビュクメは、サフランボル名物のピデで、ひき肉やほうれん草入りのピデの生地を織りこんでフタをして焼き上げたものです。パリパリの食感が特徴で、お店によってはハチミツやバターを塗って食べます。
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クユ・ケバブ(Kuyu Kebabı)
クユ・ケバブとは、石造りの井戸のような窯に子羊のお肉のかたまりを吊るして何時間もかけて焼き上げた料理です。テーブルに出される際、お肉は食べやすくカットされて出されます。
臭みもなく、ジューシーなお肉をパンにはさんで食べるとまた絶品です。ちなみに、「クユ(Kuyu)」はトルコ語で井戸を意味しています。
王子様のピラフ(Şehzade Pilavı)
王子様のピラフは、耐熱のお皿にピラフを入れ、その上にチーズをかけてオーブンで焼く、まさにドリアのような料理です。
珍しいのが、中のピラフはシナモンをメインに何種類もの香辛料が入っている「シナモンライス」であること。日本人の口にはあまり合わないかもしれませんが、興味のある方は是非試してみてください。
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サフランボル・ロクム
ロクムは日本のゆべしに似たトルコの伝統菓子で、トルコのどこででも買って食べることができます。そんなロクムですが、サフランボルのロクムは一味違います。サフランボルの名前の由来にもなっている「サフラン」を使っているからです。
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サフランボルならではの名物なので、サフランの入った紅茶「サフラン・チャイ」と共に、ぜひ一度味わってみてください。
サフランボルのお土産におすすめの名産品
サフランボルは古くから手工芸が盛んで、木彫りや手編みレース製品を扱うお店が多くあります。また、最近ではサフランの栽培も復活し生産量も増加していて、サフランを使った食品や化粧品もあるほどです。
サフランボルで買いたい、サフランボルならではのお土産を紹介します。
サフラン
サフランボルという名前の由来にもなった「サフラン」にちなんだお土産は欠かせません。サフランの香水や石鹸そしてサフランを含む各種の食べ物など、サフランボルにはサフランを使ったたくさんの種類のお土産があります。
特に、サフランが入った「サフランボル・ロクム」は一種のブランドのようになっていて、サフランボル土産の定番中の定番です。もちろん、サフランはそのままサフランとしても販売されています。
手工芸品
サフランボルは古くから手工芸が盛んであったことから、木彫りや手編みレースの製品を扱うお店が多くあります。大量生産にはない、温かみのある物ばかりで、女性にはテーブルクロスやサシェ(匂い袋)が人気です。
また、温かみのある木製のおもちゃは日本の木製品にも似ていて、懐かしさもありこちらもお土産として人気です。
銅製器
サフランボルには鍛冶屋さんも多く、銅製器もサフランボルの特産品です。職人が丹精込めて作った食器などはとても味わい深く、銅製器はお土産として人気です。
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