トルコ女性のスカーフ事情とは?巻き方や人気ブランドもあわせて紹介!
更新日:2023.04.05
投稿日:2022.08.25
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トルコの女性といえば、スカーフを着用しているイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。また、「トルコ旅行中はスカーフが必要なのかな?」と悩む方もいるはずです。
ここでは、トルコのスカーフ事情や旅行時の注意点、基本的な巻き方、人気ブランドなどをまとめて紹介します。
Contents
トルコ女性のスカーフ着用事情とは
私たち日本人にとって、スカーフはお洒落を楽しむためのアイテムです。しかし、イスラム教徒の女性にとっては、スカーフをする目的はお洒落だけではありません。
トルコのスカーフ事情|禁止されていたことも?
イスラムの教えで「女性は髪や肌を隠すように」とされていることが、イスラム教徒の女性がスカーフを身につける第一の理由です。しかし、遵守の度合いには地域差や個人差があります。
例えば、イランはスカーフなどの着用が徹底されている、ルールの厳しい国です。一方でトルコは、過去にスカーフの着用が禁止され、その後に規制が緩和されたという経緯があります。その結果、トルコはスカーフの着用に対して比較的自由度が高い国となりました。
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また、中東ではスカーフを巻くべきかどうかについて論争が起きたこともあります。イスラム教徒のなかにもさまざまな考え方が存在するため、イスタンブールなどの街中ではスカーフを着用しない女性も多くみられます。ただし、礼拝時やモスクへの入場時はスカーフを着用するのが基本です。
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トルコ旅行にスカーフは必要?
日本人がトルコへ旅行する際、街中でスカーフを着用する必要はありません。しかし、スカーフの着用が求められる施設もありますので、あらかじめ覚えておきましょう。具体的には、イスラム教の礼拝堂である「モスク」を見学する際、女性は髪や肌を隠すためのスカーフが必要です。
手持ちのスカーフがない場合は貸し出してくれる施設もありますが、常に用意されているとは限らないほか、衛生面での心配も残ります。せっかくの機会なので、ご自身のお気に入りのスカーフを被って異国気分を味わってみてはいかがでしょうか。
また、トルコの夏は気温以上に日差しが強烈なので、スカーフがあれば簡単に日差し対策もできます。冬場の防寒対策としても役立つでしょう。例えば人気観光地の一つカッパドキアでは、夏でも夜から朝方にかけて気温が下がることがあるので、寒さをしのぐ際にスカーフを重宝します。
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着脱しやすく、荷物としてもあまりかさばらないスカーフは、一枚持っていくとさまざまな場面で活躍してくれます。
トルコにおけるスカーフの巻き方
私たち日本人がスカーフを頭に着用することはあまりないので、巻き方に悩んでしまうかもしれません。トルコでは、スカーフの巻き方について厳格なルールは定められていません。ただ、あまり首から下には垂らさず「首回りでまとめる」のが一般的です。ここでは、簡単な巻き方とアレンジを紹介します。
トルコで一番ポピュラーかつ基本的な巻き方は、正方形のスカーフを三角形になるよう二つ折りにし、折り目を顔側にして顎の下をピンで留める方法です。ポイントは額の上にかかる部分を防止のヒサシのように出っ張らせ、高く美しくカーブさせることです。
スカーフの端は肩にかけたり、片方だけ垂らしたりします。両端を少し斜めに持ち上げ、ピンを使って側頭部でしっかり止めると首まわりがスッキリして洗練された印象になるはずです。
使用するピンは安全ピンなどシンプルなものでもよいですが、お花や蝶などデザイン性が高いものを使えばお洒落度が高まります。使うスカーフの色や柄に合わせてピンをコーディネートするのもおすすめです。
トルコスカーフの特徴や人気の素材・ブランド
トルコでは、着用するスカーフの色や柄などについて明確な決まりはないとされていますが、基本的に落ち着いた無地のものが多い傾向にあります。ここでは、トルコスカーフの特徴や素材、人気ブランドについて紹介します。
トルコのオヤスカーフ
「オヤ」はトルコの女性が着用するスカーフの縁飾りとして利用される、伝統的な手芸品です。さまざまな技術を用いて作られるオヤですが、なかでもイーネオヤは縫い針によるレース編みになっており、トルコ独自の繊細で美しい手芸品です。また、多種多様なオヤのモチーフには花言葉のようにそれぞれ意味があり、かつては身に着ける女性たちの気持ちを表していたそうです。
よいお嫁さんの条件として手先の器用さが挙げられるトルコでは、オヤなどの手芸は年頃の女性にとって自分をアピールする手段でもありました。そして、結婚が決まると親戚や近所の人に嫁入り道具をお披露目する伝統があり、その際にも細かくオヤが施されたスカーフやタオルは欠かせません。
オヤの技術によって、花嫁がどれほど器用な女性であるかが評価されるのです。そのため、娘のいる母親は幼い頃からオヤなどの手芸を教え、オヤ付きのスカーフを一緒に編んで嫁入り道具の準備をします。
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ブルサ産のシルクスカーフ
トルコ第4の都市ブルサは、オスマン帝国最初の首都であり、シルクロード西端の都市として栄えました。
20世紀後半まで蚕繭の取引が行われていたコザ・ハン(コザ=繭、ハン=専門外・職人街)は、15世紀にベヤジット2世によって建てられた商業施設で、約500年以上もブルサの絹取引を牽引してきた場所です。蚕繭の取引はなくなりましたが、現在でもシルクにちなんだ製品を販売するお店が並んでいます。
特に女性がモスクに入る際に欠かせないスカーフが有名で、大きさや模様など種類も豊富です。シルクロードの最終地点ブルサにしかない高度な技術で一つ一つ丁寧に作られたシルクスカーフは、世界各国で人気があります。
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トルコの人気ブランドVakko(ヴァッコ)
トルコ発のブランドVakko(ヴァッコ)は、高級シルクスカーフで有名です。ほぼすべての商品がトルコ国内で生産されており、スカーフに使用されているのもトルコ産のオーガニックピュアシルクです。
日本ではなかなか目にしないようなトルコ伝統のエキゾチックな柄から、ヨーロッパ風デザインを彷彿させるような色合いのスカーフなど、数多くの美しい品物を取り扱っています。
トルコでスカーフを買うならグランドバザールがおすすめ!
トルコでスカーフを購入するなら、中東最大規模の屋根付き市場といわれるイスタンブールのグランドバザールがおすすめです。スカーフ専門店が何軒もあり、大きさや素材の種類、模様も豊富なため、シルク100%や綿など予算や好みに応じて選べます。
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お店の方が被り方や巻き方を教えてくれるので、試着してから購入できるのも嬉しいポイントです。
イスラム女性のスカーフ・服装事情
トルコのスカーフ文化は、イスラム教の影響を強く受けています。ここでは、イスラム教における女性のスカーフ事情について紹介します。
イスラム教におけるスカーフ
イスラム教の女性といえば、頭髪や身体がスカーフや長い衣服で覆い隠された姿をイメージされるでしょう。イスラム世界における女性の服装には、顔全体を覆い隠すブルカや顔だけを出してその他全体を覆うチャドル、頭髪を隠すヒジャーブ(スカーフ)などがあります。形状や色彩は国や地域、民族などによりさまざまです。
イランやサウジアラビアなど一部の国や地域では、法的に女性の服装を規定しています。しかし、多くの国ではスカーフを被るかどうかは個人の自由裁量となっています。そのため、イスラム教徒の女性(ムスリマ)のなかにはスカーフを着用しない方もいます。
そもそもイスラム教徒がスカーフを着用する理由には、イスラム法(シャーリア)が関係しています。イスラム教の経典「コーラン」には、「女性は自分の飾りとなる部分を露出してはいけない」という記述があります。これは、女性の美しい部分はむやみに異性に見せてはいけないという意味です。
ちなみにトルコでは、1923年のトルコ革命で初代大統領に就いたケマル・アタテュルクが政教分離を行ったことにより、多くのイスラム教女性が街中ではスカーフを被りません(礼拝時やモスク訪問時はスカーフを着用します)。
アタテュルクは宗教と政治を分離しなければトルコの発展はないと考え、イスラム教を国教とする条文を憲法から削除し、アラビア語の筆記方法に代えてアルファベットを採用しました。さらに一夫多妻制を廃止し、1934年には女性参政権の確立も成し遂げました。
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イスラム教では禁止されることの多い飲酒についても、トルコでは広く親しまれています。
イスラム女性の服装の種類
スカーフ(ヒジャーブ)に代表されるイスラム女性の服装ですが、国によってさまざまな種類があります。ここでは、代表的なものを紹介します。
ヒジャーブ
ヒジャーブは一般的にスカーフやヴェールと呼ばれるもので、頭髪を首までしっかり隠しながらも顔は覆いません。ヒジャーブは、「隠す」という意味のアラビア語「ハジャバ」が語源となっています。
ヒジャーブの付け方には決まりがなく、基本的には自由です。髪を隠すという目的のため、はみ出ないよう内側にインナーヒジャーブというヘアーバンドのようなものをつけることもあります。
ブルカ
もともとはアラビア半島で使われていた顔マスクで、目と顎だけを露出し、鼻や口を隠すのがブルカです。今はそこから転じて、アフガニスタンなどでは女性の体をしっかり覆い隠す服を指すことも多くなっています。見た目はてるてる坊主のようなデザインで、メッシュ状になった目の部分から外が見えるようになっています。
ニカブ
ニカブは主にサウジアラビアの女性が身に着けるものですが、エジプトやモロッコなどほかのアラブ諸国に加え、インドのイスラム教徒などにも見られます。ニカブはかなり保守的な考えの女性が着用する傾向にあります。
アバヤ
アバヤは黒いガウン(長衣)で、サウジアラビアなど湾岸諸国の女性が身に着けています。丈はくるぶしまであり、黒いヒジャーブと一緒に身に着けるのが一般的です。
チャドル
大きな一枚の布で全身を覆うチャドルは、主にイラン女性が羽織る衣服です。布を体に巻いて着用するため、ずり落ちないよう手で持っておく必要があります。黒だけでなく、花柄のデザインなども存在します。
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ファッションとしてのスカーフの発展
イスラム教女性は、12歳頃からヒジャーブ(スカーフ)の着用を始めるのが一般的です。しかし着用は基本的に自由意志とされているため、被らない人もいます。
ヒジャーブの着用は、社会の近代化とともに廃れていくのではないかと考えられていたそうです。しかし、1980年代からヒジャーブの着用は逆に増加することとなりました。1979年のイラン革命に伴うイスラム復興の動きが背景とされています。
イランはイスラム共和国となり、1982年にはヒジャーブの着用が義務化されました。そのほか、エジプトでも1980年代から急激にヒジャーブの着用が広がりました。
ヒジャーブの着用には、政治的なシンボルとしての意味が強く表れます。しかし、政治的反発の象徴でもあったヒシャーブの着用は、1990年代後半以降の経済発展によりお洒落としての側面を強めていきます。そしてヒジャーブは多様化し、現在のようにファッション性の高いものも多く見られるようになりました。
トルコ女性のスカーフ事情まとめ
本記事では、トルコにおける女性のスカーフ事情をまとめて紹介しました。イスラム教の影響によって根付いたトルコのスカーフ文化ですが、周辺国と比較すれば厳格なものではありません。旅行で訪れる際には、モスクなどに入る場合のみ用意しておけば問題ないでしょう。
トルコには、世界遺産にも登録されている美しいモスクが多数存在します。ぜひ現地を訪れ、ご自身のスカーフを用意して観光してみてください。
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